「米兵を連れ戻そう」−−米兵家族が反戦運動に立ち上がる。

■ ブッシュは「かかってこい」と言った。我々は言う。「彼らを連れ戻せ!」と。
ブッシュ大統領は相次ぐイラク人のゲリラ攻撃に「かかってこい」(Bring 'em on)と言った。こうした発言に対して、米国内の米兵の家族たちは「BRING THEM HOME NOW!」(今すぐ彼ら[米兵]を連れ戻せ!)という反戦運動を開始し、大きな広がりをみせている。イラク戦争の泥沼化と、「大量破壊兵器」のウソが露呈したことで、開戦前には戦争を支持していた部分も、多くがブッシュ批判を始めている。

運動の中心になっているのは、昨年11月に結成された「Military Families Speak Out (軍人家族は反論する)」という、米軍に身内や恋人を持つ人々の反戦組織である。結成以来、全米および世界中の軍人家族との連絡を築いてきたが、会員数を急激に拡大し、数百家族、数千人規模の組織に成長した。
※Military Families Speak Out
 http://www.mfso.org/


(MFSOのサイトより)
MFSOは、「United for Peace and Justice(平和と正義のための連合)」や「Veterans for Peace(平和のための退役軍人)」などのグループとともに、新たな運動「BRING THEM HOME NOW!」(http://www.bringthemhomenow.org/)を立ち上げた。BRING THEM HOME NOW! は、米兵家族、退役軍人、現役軍人、予備役兵、その他の進行中のイラクでの戦争に反対する運動である。最近立ち上げられたHPのトップに掲載された彼らの「声明」は、次のように述べている。
「真実が露呈しつつある。米国の人民は、ブッシュ政権によってイラク侵略の欲求と意図についてだまされた。」「多くの米国人は我々の軍隊がそこにいることを望まない。多くの軍人の家族は我々の軍隊がそこにいることを望まない。多くの兵員自身もそこにいることを望まない。圧倒的多数のイラク人も米軍隊がそこにいることを望まない。」
「もうこれ以上一人の兵員も殺させるな。」「もうこれ以上一人の兵員も、恐ろしい屈辱的な、無辜の人々を傷つけ殺戮する行動で精神的に傷つけられるな。」「もうこれ以上一人の兵員も、もう一日も劣化ウランを吸わせるな。」

 また、「United for Peace and Justice」や「Veterans for Peace」は、バグダッド現地に“Occupation Watch Center(占領監視センター)”を開設し、米軍による人権侵害の申し立てや、イラクのインフラを再建するにあたってのハリバートンのような企業の行動の監視する活動を行うとともに、イラクの米兵が良心的不服従に訴えるためのカウンセリング活動も準備している。
※ Peace groups open Baghdad office
  http://www.msnbc.com/news/941541.asp?0dm=N14PN


■ 40万通の手紙が殺到−−真相を調査せよ。
 「大義なき戦争」への米市民の批判が強まっている。それを端的に示すのが、3週間の間に40万通を越える手紙が、戦争開始の根拠を示せと米議会に殺到したことである。
 その手紙には、イラク戦争の根拠となった主張についての調査を議会に対して要求するMoveOn.orgの請願署名が含まれる。

 「United for Peace and Justice」と「Win Without War」という反戦連合組織も、戦争に導いた情報についての調査を要求する請願運動を立ち上げた。キリスト教協議会(National Council of Churches)やAFL-CIOを含む数百のメンバーを有する連合組織である。
 Win Without War と MoveOn.org は、30秒広告のための共同出資を呼びかけて、ワシントンやニューヨークのケーブルテレビなどで放映し、ブッシュに「ミスリーダー」のレッテルを貼った広告が大ヒットした。

 MoveOn.org などの反戦運動グループは、9.11テロ攻撃を調査している調査委員会のような独立した超党派の委員会を求めている。議会では真相調査に関する2つの法案が提出された。1つは、無党派、独立の調査委員会の創設を求めるもの、もう一つは議会内の委員会をつくり2004選挙前に結果を出すことを求めるもの。これらは、戦争を承認する投票を行った民主党議員、ヘンリー・ワックスマンとエレン・タウシャーによって提出されたものである。ワックスマンは、議会審議の期間中毎晩MoveOn.org署名の手紙を読み上げた。
 反戦運動グループはこの運動が、開戦前、戦争を支持していたような米国人の広範な部分を刺激活性化することを期待している。

※ 400,000 Letters to Congress Seek War Evidence Probe
 http://www.reuters.com/newsArticle.jhtml?type=topNews&storyID=3136483
※ Antiwar Groups Say Public Ire Over Iraq Claims Is Increasing
 http://www.washingtonpost.com/ac2/wp-dyn/A25527-2003Jul21

2003年8月9日
アメリカの戦争拡大と日本の有事法制に反対する署名事務局