ヨーロッパと世界の反戦運動グループがG8エビアン・サミットへの大衆動員を計画 −反戦平和運動と反グローバリズム運動の結合めざす− |
■以下は、「ワーカーズ・ワールド」5月8日号に掲載された記事「反戦グループがベルリンで会合」("Anti-war groups meet in Berlin")です。簡単な報告ですが、ヨーロッパとアメリカ、そして中東などの反戦運動が一堂に会するのは、バグダッド陥落以降初めてです。重要だと考え私たちで翻訳しました。
■記事の最後では、反戦運動が次の運動の目標や戦略を議論するには、まだ時間がかかると言いつつ、当面の行動としてフランスで開かれるエビアン・サミットに大衆的動員を行うことを決めたようです。その他インティファーダ連帯、イラク民衆法廷など、幾つかの提案が議論されました。
■ヨーロッパの運動がこのエビアン・サミットに照準を合わせていることは、イギリスの反戦統一戦線「ストップ戦争連合」がHPのトップに紹介していることからも、分かります。ポスターには「G8と対決 デモを エビアン5/28−6/3 ビジネスと戦争の主人たちにストップをかけよう!」http://www.stopwar.org.uk/ とあります。6月1日の一大デモンストレーションを山場に5月28日から6月3日まで約1週間様々な集会や討論が予定されています。
またこの大衆動員を計画している「グローバライズ・レジスタンス」という団体のHP http://www.resist.org.uk/g8evian.html には、動員の目的と狙い目がはっきりと示されています。それによれば、今回の行動がバグダッド陥落以来最大の行動になるであろうこと、G8のリーダーたちに世界の平和運動がまだ健在であることを示さなくてはならないこと、イラク情勢が「軍事的な爆撃」から「企業の乗っ取り」(石油強奪や戦争特需)に移行するにつれて反戦運動が反グローバリズム運動とリンクするであろうこと等々、元気一杯です。
■実は昨年10月以来の世界的な反戦平和の歴史的な高揚を実現したのは、反戦平和運動にイスラム教やキリスト教などの宗教者の運動が合流したことと併せて、日本ではまだ育っていない反グローバリズム運動が加わったことが大きな要因でした。米の軍政(ORHA)に群がる石油メジャーや軍産複合体や土建企業、戦争で金儲けをする、これはまさしく反グローバリズムが狙い目とする企業犯罪です。彼らはブッシュと米系企業だけではなく、ブッシュの戦争には反対しましたが戦後のイラク利権に食指を動かすEU諸国政府やヨーロッパ企業に先制パンチを食らわせようとしているのです。「ブッシュに追随するのは許さんぞ」と。
1990年代にクリントン政権時代に世界を席巻した米主導の帝国主義的なグローバリゼーションへの対抗、これが今反戦運動と結合し始めているのです。ヨーロッパの運動の広がりと深さを実感させられます。立ち止まることなく、手を緩めることなく持続的に敵を追い詰めていく姿勢、歴史を動かしていく力とエネルギーには、いつもながらただただ驚くばかりです。
■なお、この機関紙「ワーカーズ・ワールド」は、アメリカの左翼グループ・ワーカーズ・ワールド党の週刊紙です。同党は、インターナショナルANSWERを創設した中心グループの一つであり、インターナショナル・アクション・センター(IAC)にも大きな影響を持っています。
2003年5月8日
アメリカの戦争拡大と日本の有事法制に反対する署名事務局
反戦グループがベルリンで会合
Anti-war groups meet in Berlin
http://www.workers.org/ww/2003/berlin0508.php
新聞 Workers World 2003年5月8日号より
ジョン・カタリノット
ベルリン 22か国の反戦グループの代表者が4月25日にここに集まった。そして世界の人民に対するワシントンの終わりのない戦争に挑戦するために過去1年を通じて起こった運動をどのようにして継続するかについて議論した。
それは、米軍がバグダッドに向かってばく進し、イラクの帝国主義的占領を始めて以来最初のヨーロッパ調整委員会(European Coordination)の会合だった。
その調整委員会は2月15日のデモンストレーションを呼びかけた欧州社会フォーラム(European Social Forum)の一部である。それらの抗議は、米英の対イラク侵略戦争を止めようとする世界中の600都市の街頭へ1000万人を越える人々を導いた。
そのグループは、始まる前に戦争をストップしようと集まった様々な国々の異なった政治的傾向から構成されている。その成功は、ブッシュ政権の公然たる侵略に対する世界的な憎悪から生じた。
その調整委員会は、進行中の戦争とその後のイラクの占領に抗議するために、3月15日、3月22日、そして4月12日に、国際的な抗議のより限定された要求を引き続いて行った。
今回のベルリン会合で、100人近くの参加者 ―― 西ヨーロッパのほとんど、イラン、トルコ、フィリピン、アメリカ、カナダ、コスタリカ、エジプトおよびレバノンを代表するグループ ―― のほとんど全員が、イラクの占領との戦いを継続することを要求した。
インターナショナル・ANSWER連合のラリー・ホームズはベルリン会議の口火を切った。 彼は、アメリカでの4月12日のデモンストレーションに関する報告書の中で、継続的な闘争の必要という基調を打ち出した。
ホームズは、帝国主義的占領に抵抗してイラク人と連帯する必要を強調した。
彼は世界の残りの部分、特にヨーロッパの運動に対し、彼らの闘争 ―― アメリカ国内の運動の発展にとってきわめて重要なものと彼はそれを表現した ―― を継続することを訴えた。
抑圧された国々からの多くのグループは、欧米の強い反戦運動の存在が彼らの国々の大衆に肯定的な印象を与えている、と述べた。また彼らは言った。そのことがそれら抑圧された国々の人々が、帝国主義諸国の政府とその人民とを区別するのを助けた、と。
すべてのグループが闘争を継続することを誓約した一方、次の具体的な行動はフランスのエビアンでのG-8サミット会議に反対する6月1日の動員に設定された。そこで、調整委員会は、イラクの占領に抗議し、次に何を行うべきかに関する議論を継続するために会合を開催するだろう。
他の提案には、パレスチナでインティファーダが開始された日にあたる9月27日を将来の国際的な闘争日にしようというギリシア代表団の要求を含んでいた。トルコの代表団は、米英の指導者を戦争犯罪の裁判にかける民衆法廷(Peoples' Tribunal)を組織する準備ができていると述べた。また、米国製品をボイコットするという要求もあった。
それ以上の具体的な行動がベルリン会議中に合意されなかったという事実は、米軍の征服後、人々が彼らの運動の変化した状況の影響を評価するのに十分な時間がまだ経過していないということを反映しているのかもしれない。