国際的な反戦平和運動の新しい挑戦
−−イギリスやアメリカで大行動が計画される−−

■ ブッシュの「悪の枢軸」と戦争拡大に反対する新しい挑戦
 国際的な反戦平和運動の新しい挑戦が計画されています。3月2日にロンドンで、4月20日と27日にはワシントンで。
 来る反戦平和行動は非常に重要な意義を持つものです。第一に、ブッシュの「悪の枢軸」発言以来初の全世界的な大衆行動になることです。第二に、“アフガンの次”が取り沙汰される中で、とりわけイラクへの新たな侵略行動が公然とブッシュ政権から流される中で行われることです。私たちも含めて世界の反戦平和運動は米によるアフガニスタンへの侵略を阻止することはできませんでした。しかし「アフガンの次」は絶対阻止しなければならないとの思いで一杯です。第三に、1ヶ月前に行われた反グローバリズム運動の復活・再生を受けて、今度はブッシュの戦争拡大に反対する反戦平和の課題で新たな復活と再生を遂げようとしているのです。

■ 3月2日にはイギリスの反戦平和運動が総結集
 口火を切るのはイギリスです。3月2日にはロンドンのハイドパークで全国行進が行われます。「STOP THE WAR COALITION」(戦争阻止連合)が主催するものです。大スローガンは「示威を−ブッシュとブレアの戦争を止めろ!」。ブッシュの「悪の枢軸」以来問題になっている「テロとの戦争の第二段階」を何としても阻止しよう、というのがその狙い目です。 デモの呼びかけ文を見ると、私たちもフォローしてきたキューバ・グアンタナモ基地の「X線収容所」の反人道的な扱いを主要な糾弾対象にしていることが分かります。ここにブッシュの残忍さが現れている、と。そしてブッシュのアフガン侵略こそがパキスタン・インドの一触即発の戦争状態を引き起こし、シャロンのパレスチナに対する戦争を引き起こしている、と弾劾しているのです。彼らはまたロンドンにあるイスラエル大使館の前で座り込みを行うことを呼びかけています。
 3.2行動は、ブッシュが口火を切ったアフガンへの戦争、イラクなどその第二段階、ブッシュの戦争が引き起こしたパレスチナなどでの新しい戦争、これら全てを阻止しようとしているのです。私たちが昨秋来やってきた反戦平和の活動の関心とぴったりと一致するもので、大いに勇気付けられます。

■ 4月20日にはアメリカの広範な反戦平和団体が統一行動を計画
 次いで4月20日には「STOP THE WAR AT HOME AND ABROAD」(国内外で戦争を阻止しよう)なる大スローガンを掲げてワシントンで全国デモ行進が行われます。副題は「テロとの戦争は更なるテロを引き起こす−−そしてそれも非米的(unamerican)なものだ!」。全国民の約8割がブッシュの「悪の枢軸」を支持する異様なほど好戦的で侵略主義的な気分がまだ支配的な中で、その現状をしっかり見据えて、好戦的な雰囲気の中で反戦運動を再構築しようという意気込みが感じられるものとなっています。この行動には反MD(戦略ミサイル防衛)運動で形成されたアメリカ国内の反戦平和の運動団体が数多く参加しています。運動の広範さでは次に紹介するANSWERのものよりも格段に広いのではないでしょうか。

■ 4月27日にはANSWERが平和行動を計画
 最後に4月27日。署名運動開始以来私たちが最も注目してきたアメリカの反戦平和運動であるインターナショナルANSWER(Act Now to Stop War & End Racism)が主催するワシントン行動です。「戦争と人種主義に反対して」が大スローガン。彼らも「STOP BUSH'S WAR AT HOME AND ABROAD」が副スローガンになっています。要求項目は3つ。
1.戦争や企業へのくれてやりではなく教育・住宅・雇用・医療へ予算を回せ!
2.人種主義的な攻撃をやめろ!
3.市民的自由、市民的権利、移民の権利を防衛せよ!
 呼びかけでは、まず米の企業と銀行がグローバルな支配を目論んでおり、一方でこれが戦争と膨大な軍事支出を生み出し、他方で多数の米国民が失業や教育・医療・雇用・住宅への予算カットで困窮していることを指摘しています。そして一方での対外侵略と他方での国内的な人種差別主義とアラブ人・イスラム教徒への抑圧に抗議するのです。特に現在もなお継続しているアフガンへの侵略行動、イラクなど新たな侵略拡大を厳しく非難しています。彼らもまたシャロンの戦争、これに対する米の加担を糾弾しています。パレスチナ人民連帯が主要課題の一つになっているのです。
 4月20日と27日に分かれたアメリカでの春の大行動は、おそらく今アメリカに存在する反戦平和運動の二つの潮流を反映しているのではないでしょうか。可能な限り広範な大衆を結集しようとしている前者の平和主義的でリベラルな潮流、そして反米と自国の戦争責任を厳しく追及する後者の潮流。
 圧倒的絶対的な軍事力と軍事技術を保有するに至ったアメリカ、世界各地で戦争の火種をまき散らす、世界平和への最大の脅威になったアメリカの国内で、どのような反戦平和運動が生み出されて行くのかは、アメリカ一国だけの問題ではありません。私たちもその帰趨を注目して見ていきたいと思います。

■ 反グローバリズム運動の復活・再生と結び付く
 反グローバリズム運動が復活・再生しました。1月末から2月初めにかけてほぼ同時に行われたのですが、NYでの世界経済フォーラム(WEF)反対行動に1〜2万人が結集、ブラジルのポルト・アレグレでの世界社会フォーラム(WSF)に5〜6万人が結集したのです。大成功と言って良いでしょう。この反グローバリズム運動の成功は、9.11以降守勢に立たされ、分裂させられ、敵から消滅したとまで誹謗・中傷されたこの運動が、底力を発揮し復活・再生したことを意味します。アメリカの「一極支配」とグローバリゼーションが生み出す様々な危機と矛盾に対して、これに正面から対峙し対決してきた闘争が新しいスタート地点に立ったのです。
 しかも反グローバリズム運動の復活・再生には、新しい要素である反戦平和運動が合流しています。反グローバリズム運動そのものが反戦平和を担い始めていることもあれば、反グローバリズム運動とは相対的に別に取り組んできた旧来の反戦平和運動が反グローバリズム運動に参加してきた場合もあります。昨年夏のジェノバ行動から秋に予定されていたワシントン行動(9.11同時多発テロ事件で中止された)に向けて10万人の動員を目指した当時の目標からすれば、確かに大きく動員力を落としたかも知れません。しかし「戦時下」という反政府運動が異常に困難な状況に置かれている下では、“確信犯”がNYに約1万人、2万人も結集したということは非常に大きいことです。ブッシュ政権による「悪の枢軸」戦略と世界各地への軍事介入に対して、反グローバリズム運動が復活・再生し、反戦平和運動と結合することで新しい様相を帯びることになれば、非常に大きな力とエネルギーを発揮することになるでしょう。

2002年2月28日
アメリカの「報復戦争」と日本の参戦に反対する署名運動事務局



 アメリカの「報復戦争」と日本の参戦に反対する署名運動 事務局