アボリション2000 
2002年 年次総会宣言

2002年4月13日 ニューヨーク市

2000年5月、ニューヨーク市で開催された核不拡散条約(NPT)再検討会議において、187カ国が核兵器廃絶に向けた13項目の計画に合意しました。

この13項目には、核保有国が核軍縮に向けて「それらの国の核兵器の全面的廃絶を達成するための」道筋が列挙されています。

2001年9月11日の攻撃は、すべての国が脅され、文明社会が脅威にさらされているという深刻な危機を示しました。それは、深刻で普遍的な脅威であり、テロリズムと核兵器に劇的に共通する脅威です。

それゆえに、2002年4月13日、米国ニューヨーク市でのアボリション2000年次総会に出席したわたしたちは、NPT条約が発効して32年も経過したにもかかわらず、次のことが事実であることを残念に思います。(以下はその一部です。)

● 核兵器と、その設計、製造、および維持のための施設近代化を目的とする計画が継続されています。これらの計画の規模と特質を見れば、核保有国が今後何十年にもわたって、かなりの規模の核兵器保有を維持しようとしていることがわかります。加えて、核保有国は核兵器およびその運搬手段の能力を高めようとし続けています。

● 米国の「核態勢見なおし」に明らかなように、実際の使用により適した新型核兵器の開発がなされています。このことによって、国力を示す道具として核兵器が合法化され、新たな軍拡競争の可能性が高まるため、核軍縮に向けた動きは逆行するものです。

● 対弾道ミサイル制限条約を破棄し、野望に満ちた、多方向的なミサイル防衛計画をすすめるという米国の決定は、核軍縮作業の進行を著しく損なうものです。それに対応して、他の核保有国もその核兵器を維持あるいは拡大しようとするでしょう。
さらに、ミサイル防衛とそのために開発されている技術は、広い範囲にわたって軍事に適用されます。宇宙における情報探知システエムとミサイル防衛のために研究されている兵器とともに、これらの技術は、宇宙での軍拡競争を招く可能性があります。

● 米国とフランスは、国立点火施設とメガジュールという施設でそれぞれ、レーザー核融合計画を進行中であり、それは、核兵器の実験、および新世代の核兵器設計者たちの訓練に利用されることになっています。

権力への渇望、不平等、および不公正から生じる深い地域紛争、あるいは地球規模での危機のあらわれであるさまざまな紛争に対して、核兵器が有効な解決ではないということを、国際的な現状は、これまでにないほど明確に示しています。
近年ルワンダやコソボで起こったような虐殺と戦争犯罪を、核によって抑止することはできませんでした。同様に、国際テロも核の脅しによって防ぐことはできません。

民主主義、正義、および平和の達成と、人類を絶滅させる脅迫とは共存不可能です。さらに留意すべきは、南アフリカや、東ヨーロッパのような人種差別国家や全体主義国家の崩壊をもたらしたのは、核兵器の使用やそれによる脅しではなかったということです。わたしたちの結論は、安全に生きられる社会のために核廃絶は緊急に必要であり、平和と正義の達成に向けた国際社会の努力をすすめることが、きわめて重大だということです。

わたしたちは、アボリション2000グローバル評議会の2002年3月14日の宣言「行動の呼びかけ」を確認します。その中でアボリション2000は、米国の核態勢見なおしと、より使用に適した、使用される可能性のより高い、新たな核兵器開発をめざす米国の計画を非難しました。わたしたちが要求するのは、そのようなものではなく、即時の核兵器廃絶です。

わたしたちは、すべての核保有国、そしてまた2002年4月のNPT準備委員会会議に出席したすべての国に、具体的な行動によってあらためて核軍縮推進の意思を示すよう訴えます。第一段階として、すべての核保有国に対して、緊急警戒発射態勢解除を求めます。さらに、2000年に採択された13項目措置の実施状況を毎年のNPT準備委員会会議、および再検討会議で定期的に報告することを要求します。最後に、国際社会に対して、核兵器の完全な廃絶を実現するために、核軍縮と適切な検証方法を確立するための期限を定めた、核兵器禁止条約に向けた交渉のための会議を、これ以上遅らせることなくただちに開始するよう求めます。

2002年4月13日、アボリション2000年次総会出席者
米国、英国、ロシア、フランス、ノルウェー、ドイツ、日本、ベラウ、エジプト、
およびアオテアロア(ニュージーランド)より。
核兵器廃絶を目指す地球ネットワークアボリション2000は、世界90か国以上の
2000以上の非政府団体で構成されています。


連絡先: 

マリナ・ハリソン、アリス・スレイター
Maryna Harrison
Alice Slater
Tel: 212-726-9161 Cell: 917-523-7151 Fax: 212-726-9160 Email:
mharrison@gracelinks.org
URL: www.abolition2000.org

ジャッキー・カバッソウ 
Jacqueline Cabasso: 510-306-0119 (Cell)


(日本語訳: 大庭里美 アボリション2000グローバル評議員)
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