「対テロ戦争」への加担に反対し、イラク・インド洋からの自衛隊撤退を求めるシリーズ(その2) イラク戦向け給油=テロ特措法違反は確定的に
誰が違法行為を指示したのか、責任を明らかにせよ!
今すぐ給油活動を中止せよ!インド洋から撤退せよ!
もはや、テロ特措法に違反して、海上自衛隊の補給艦がイラク戦争に向かう米艦船に燃料を補給していたことは確定的となった。11月1日にテロ特措法の期限が切れるのを待っている訳にはいかない。法律違反の活動は今すぐやめるべきである。今すぐ給油活動を中止し、インド洋から直ちに撤退すべきである。
9月20日には、市民団体「ピースデポ」が、米軍より入手した公文書である航海日誌をもとに、イラク戦争直前の2003年2月25日午前、アラビア海において、海上自衛隊の補給艦「ときわ」が米の補給艦ペコスに約80万ガロン(約1万9000バレル)の艦船用燃料を行ったことを明らかにした。ペコスはその日の午後、ペルシャ湾内に入り対イラク作戦に向かう空母キティホークに給油したという。これによって、自衛艦の供給した燃料が米補給艦を通じて、イラク戦争用に使用されたことが確定的となった。防衛省は翌21日、米の公文書通りであることを認めた。これまで政府が答弁していた「20万ガロン」が誤りであり、実際には約4倍の燃料を給油したことが事実であることを認めたのである。
※米艦への給油量「政府説明違う」 市民団体
http://www.asahi.com/national/update/0921/TKY200709200396.html
※海自給油:防衛省、給油量の食い違い認める
http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20070922k0000m010142000c.html
さらに、9月22日には、朝日新聞の同日付夕刊が一面トップで、2005年当時米軍揚陸艦ジュノーの艦長で現在空母エンタープライズの艦長であるロナルド・ホートン艦長が「当時は、いまよりも頻繁に海自の補給艦から給油を受けた。日本の貢献は絶大だった」と語るインタビューをスクープした。ジュノーは05年当時、イラクの自由作戦(OIF)の一環として、沖縄に駐留する海兵隊をイラク国内に投入するためペルシャ湾北部に派遣されたが、この間、インド洋のアデン湾などで海自の補給艦から3回にわたって燃料、食料の補給を受けたという。 ファルージャなどでの大虐殺作戦にかかわった沖縄海兵隊をイラクに派遣するための燃料供給を海上自衛隊が行っていたことになる。しかもこれは、間接給油ではなく、直接給油である。
※海自補給艦、イラク作戦の米艦に給油 元艦長が証言
http://www.asahi.com/politics/update/0922/TKY200709220136.html
米中央軍の第5艦隊のもとで、不朽の自由作戦(OEF)とイラクの自由作戦(OIF)は不可分一体のものとして遂行されている。テロ特措法に基づいてインド洋に派遣されたはずの海上自衛隊の補給艦は、アフガニスタンへの攻撃だけでなく、空母キティホーク、ドッグ型揚陸輸送艦ジュノー、強襲揚陸艦ペリリューなどイラク攻撃の最前線に位置する米艦船と行動を共にし、補給を続けてきたことになる。一旦派遣されてしまえば、事実上米軍の指揮の下に入り、米軍が進めている侵略戦争に次々となしくずし的に加担させられてしまうのである。
しかし、「結果的にイラク戦用に使われた」「OEFかOIFを区別するのは困難」というような言い訳は成り立たない。とりわけ第2番目のジュノーは、約1万8千トンという巨大なドック型揚陸輸送艦であり、イラク戦争向けであってアフガニスタンや「海上阻止行動」とは何の関係もないことは明らかである。なぜならこの艦は、海兵隊を乗せて輸送ヘリや上陸用舟艇で上陸作戦を行うための船であり、速度は21ノットと遅いため高速の小船舶を追跡できず、また武装も20ミリファランクスなど短射程の機関砲しかない。しかも給油当時は沖縄からの海兵隊を満載している。どう考えてもアフガニスタンと関係あるとか「海上阻止行動」に従事しているとかは考えられないはずである。従って自衛隊の現場の給油艦の艦長も、派遣艦隊の指揮官も、この艦がイラク戦争の一環として行動しており、アフガニスタン戦争とは何の関わりもないことをはっきりわかった上で給油したのは明らかである。
政府は新しい事実が発覚するたびに、「空母が1日で使う量だから転用はない」「入力ミス」等々としらを切り、「同法の趣旨に沿って適切に使用されていると認識している」などと閣議決定まで行い、9月初めに江田憲司議員が、「日本の政府はこれまでに、8,862万9,675ガロンの貢献をしてくれた」という米海軍のホームページの記述をもとに「イラク向け給油は8割以上だ」と暴露したときには、米軍に関連サイトの閉鎖の依頼をしてまで証拠隠滅をしてきたのであるが、もはや、テロ特措法さえ逸脱して、イラク戦争のために給油が行われてきたことは明らかである。
この違法行為の責任を徹底して追及しなければならない。まずは誰の権限でこの違法行為が行われたのかをはっきりさせることである。現場の指揮官が権限を逸脱してイラク戦争に従事する米艦に給油したのであれば、この違法行為の責任をとらせなければならない。あるいは海上自衛隊又は政府が現場の派遣艦隊にイラク戦争従事艦船に給油することが法律違反であることをわかった上で許可していたのであれば、政府そのものに責任をとらせなければならない。
自民党総裁選の最終局面において、次期首相が確実となっている福田氏は、インド洋での給油を継続するための新法を臨時国会で出す姿勢を示している。しかし、テロ特措法違反とイラク戦争への加担が明らかになった以上、その責任を明らかにする事が先決である。国会の中で事実関係を徹底的に明らかにさせること、逃がさないことが重要である。
政府は、今すぐ給油活動を中止すべきである。テロ特措法を廃止すべきである。アメリカの「対テロ戦争」、侵略戦争に加担する新たな法律をつくってはならない。
2007年9月22日
アメリカの戦争拡大と日本の有事法制に反対する署名事務局