国民投票法強行採決・成立糾弾!
戦争できる国づくりのための
憲法改悪を許すな!

 本日5月14日、参院本会議において国民投票法が強行採決され、成立しました。与党による数の力を背景にした暴挙、「議会制民主主義」さえ破壊する安倍右翼反動政権の暴走です。与党は、衆院での強行採決からわずか1ヶ月たらず、まともな審議も答弁も行わないまま反対の声を無理矢理封じ込め、強行採決へと突き進んだのです。野党第一党の民主党は反対票を投じたものの、徹底抗戦をすることなく、早々と採決方針を受け入れました。この国会の異常事態に対して、与党の横暴に対して、私たちは強く抗議します。
 国民の間で広範な憲法議論が巻き起こされるべきはずの国民投票の手続き法が、慎重審議を求める民意を踏みにじりこのような形で強行採決されたことに、この法律の本質が表れています。国民投票法は、憲法に関する国民の間の自由な議論を封じ込め、反対意見や運動を圧殺するための言論規制法、思想弾圧法、マスコミ規制法です。憲法「改正」に反対する人を弾圧したり、自由な報道を封じ込めるための様々な仕組みが取り込まれています。教職員の教育活動や公務員の政治活動、マスコミの報道などをことごとく規制しています。学校の先生が日本国憲法の意義を授業で教えることさえ違法となり処分の対象となる危険性を持っています。しかも法案は現行憲法が定めた改憲に対する厳しい規制をすり抜けるために、国民投票の最低投票率さえ定めず、国民の2割程度の圧倒的少数の投票と賛成で改憲が実現できるように巧妙に仕組まれているのです。 
 国民投票法が成立した今、私たちは改めて日本国憲法の意義とその改悪の危険性を知り、憲法改悪反対の声を強めなければなりません。日本国憲法は天皇制軍国主義による侵略戦争に対する反省から生まれ、戦争放棄と武力の不保持を謳った第9条に表される平和主義、国民主権、基本的人権の尊重を3原則として掲げた、世界の中でも先駆的な憲法です。安倍政権の狙う憲法改悪は、自衛隊を合憲化して「自衛軍」とし、日本をアメリカの戦争に堂々と協力できる国に作り変えようというものです。それは憲法9条の改悪にとどまりません。自民党の出している「新憲法案」は、国を愛し支え守ることを「日本国民の責務」と規定しています。そして、侵すことのできない永久の権利であるはずの基本的人権を「公益」=国益によって制約することや国民主権を天皇制の下に貶めるなど、憲法の根幹を改悪する極めて危険な内容を持っています。
 憲法改悪問題は、戦争のできる国造りと侵略戦争への人民の動員、言論の自由や生存権などの諸権利の剥奪等々の問題として、例外なく国民一人一人に襲いかかってきます。また、現に進行している格差拡大や生活保護の切り捨て、「ワーキングプア」の問題、医療社会保障の切り捨てなどは、現行憲法に規定された生存権が脅かされるかどうかという瀬戸際の問題です。決して憲法問題は遠い問題ではなく、私たちの生活に密接に結びついています。日本国憲法を守るのか、改悪させるのか、闘いは新しい段階に入ります。憲法改悪を阻止するための闘い、国民投票を実現させないための闘いを作り上げていきましょう。

2007年5月14日
アメリカの戦争拡大と日本の有事法制に反対する署名事務局