公開質問状
内閣総理大臣小泉純一郎様
以下の質問についてお答えください。
質問:2003年3月20日にアメリカのイラク戦争を支持するにあたって、(1)「イラクによる大量破壊兵器の保有」を断定した根拠は何ですか。(2)またどのような「イラクの脅威」が日本に差し迫っていたのですか。
1. あなたは、「イラクの大量破壊兵器」の保有を断定し「国際社会に対するイラクの脅威を取り除く」ためとして、アメリカが3月20日に始めた対イラク戦争を支持しました。
大量破壊兵器をイラクが保有していたという根拠を具体的に示してください。また、日本に対してどのような脅威が差し迫っていたのかを具体的に示してください。
私たちが問いただしているのは、今見つかっていない理由ではありません。だから「いずれ見つかるでしょ」という逃げ口上は通用しません。3月20日の段階で「大量破壊兵器の保有」「イラクの脅威」を断定した根拠です。その断定に基づいてイラク戦争支持を決めた根拠です。日本の軍事外交政策の根幹に関わる問題です。政府内で真剣かつ厳密に検討されたと思います。その検討・審議内容を全面開示するだけでいいのです。今すぐ答えられるはずです。
2. 「疑わしきは国際社会が皆認めていた。」−−このようにあなたはまるで国連や国際社会の多数がイラク戦争を承認したかのように説明していますが、それはウソです。「イラクに責任がある」とイラクに責任転嫁をしていますが、これもウソです。もうこれ以上ウソとデマで政治をしないで下さい。
「イラクに大量破壊兵器保有の確実な証拠はない」「イラクはこれまでになく協力的だ」−−これが国際社会の大勢だったのです。昨年10月に採択された大量破壊兵器廃棄へのイラクの協力を求めた国連決議1441によれば、イラクが「重大な違反」をしたかどうかは新たな安保理決議によって認定されることになっていましたが、国連安保理は国連決議1441違反を決議しませんでした。事実、フランスやロシアは武力攻撃を求める新たな決議に反対していましたし、中国は態度を留保しました。常任理事国で新決議を主張したのは米と英たった2カ国にすぎません。さらに、国連査察の公式機関であるUNMOVICもIAEAも査察の継続を主張し続けました。だから米英は新たな決議を断念したのです。
米英日のイラク主戦論は孤立していた。それが事実だったのです。すなわち、国連の常任理事国の過半数がイラク攻撃に反対し、安保理の大半がイラク攻撃に反対し、査察公式機関が査察の継続を主張し、全世界の数千万人もの市民がデモや集会で戦争反対を訴え、日本での世論調査でも約7割の人々が戦争に反対していました。にもかかわらず、アメリカは3月20日にイラクに対する武力攻撃に踏み切り、あなたはすぐさま戦争を支持したのです。「世論が間違うこともある」とまで言い切ったのです。どう責任を取るのですか。
3. あなたは自分の下した戦争支持の重大さを感じておられるのですか。甚だ疑問です。あなたが支持した戦争の結果はどうであったのか。一個の独立主権国家が何の理由もなく壊滅させられました。数万人の無実の一般市民と攻撃される謂われのない兵士が殺され、おびただしい数の子どもたちが傷つき親を亡くしました。社会的インフラと国土が破壊され、今人道的危機が激化しています。劣化ウラン弾で放射能汚染が都市部に広がっています。そんなことをしておいて「人道」や「復興」を口にする資格があなたたちにはないはずです。
多くのイラク民衆は米英の占領に反対し抗議行動やゲリラ戦を拡大しています。イラクの民衆ははっきりと米英の占領の中止と軍隊の撤退を要求しているのです。
あなたにはこのような悲惨で一片の正当性もない戦争を支持した政治的道義的責任があります。本来なら何よりもまずイラクの民衆に対して、米英の侵略戦争に加担した根拠をきちんと説明すべきです。にもかかわらず「大量破壊兵器」について「そのうち見つかるでしょ」「フセインも見つかっていない」「ないとも断定できないでしょ」など、言い逃れや“こんにゃく問答”でごまかし逃げ回っています。あなたはそれ相応の政治生命をかけて戦争支持という重大な判断をしたのではないのですか。重大決定を行った最高責任者として逃げ回り続けるのは卑怯です。首相として真摯に、かつ真面目に答えるべきではないですか。
回答は7月4日までに文書でお願いします。
2003年6月28日
アメリカの戦争拡大と日本の有事法制に反対する署名事務局
〒580-0023 大阪府松原市南新町
3-3-28
阪南中央病院労働組合気付 TEL/FAX
072-331-1919
担当 吉田正弘
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