教科書検定:沖縄戦集団自決への日本軍強制削除に抗議する!
文部科学省は、検定意見を撤回せよ!
−−「日本軍がいたから『集団自決』は起きた」という根本を認めよ!

 12月26日、沖縄戦集団自決にかかわる訂正申請の結果が明らかになった。文部科学相の諮問機関・教科用図書検定調査審議会は、沖縄戦での住民集団自決に対する日本軍の「強制」を認めず、今春の検定意見の撤回にも応じなかった。9月末沖縄県県民大会での検定意見撤回を求める11万6千人の声を全く無視するものであり、悲痛な思いで集団自決に関する証言を行ってきた沖縄戦経験者らの思いを踏みにじるものである。私たちはこの暴挙に断固抗議する。
 「本土」の新聞は、おしなべて「沖縄集団自決『日本軍関与』復活」(毎日新聞)、「沖縄集団自決『軍の関与』表現承認」(読売新聞)、「『軍の関与』記述復活」(朝日新聞)などと、あたかも軍の関わりを認めたかのような見出しが躍った。しかし、日本軍関与についてあいまい化し巧みに修正を行わせ、「日本軍がいたから『集団自決』は起きた」という決定的な事実、「強制」や「強要」を一切認めなかった。琉球新報や沖縄タイムスは号外を出し、強制を認めず、検定意見を撤回しなかったなかったことを批判した。マスコミレベルでさえ、沖縄と本土の大きな温度差がある。
※沖縄タイムス:「軍が強制」認めず、検定意見「今後も有効」
http://d.hatena.ne.jp/ni0615/20071226
※琉球新報: <号外>「軍強制」認めず 「集団自決」教科書検定 
http://ryukyushimpo.jp/pdf/20071226a.pdf
http://ryukyushimpo.jp/pdf/20071226b.pdf

 文部科学省は、大詰めの12月4日に「日本軍の直接的な命令で『集団自決』が起きた例は確認できない」などとする「指針」を作成して教科書会社に提示し、「日本軍による強制」を復活させないように露骨に圧力をかけた。今回審議会は改めて「集団自決に軍の直接的な命令はなかった」との見解を初めて示した。
 だが、沖縄戦での住民集団自決が、手榴弾による自爆から身内の首を絞めナタで頭を割るというような凄惨な集団自決が、日本軍による命令、誘導、強制、指示、関与がなければ起こりえなかったことは明らかである。
「つくる会」や「日本の前途と歴史教育を考える議員の会」などは、「日本軍『慰安婦』」「南京大虐殺」「集団自決」を3点セットとしてターゲットにし、それそのものを否定するのではなく、「狭義の強制」や殺戮された人々の数、軍の直接的命令文書の有無などという争点を勝手に作り出し、結局は事実そのものを否定し、侵略戦争を美化しようとしているのである。
 安倍政権のもとで初めて行われた教科書検定において「沖縄集団自決への軍の強制」への修正意見が加えられ、沖縄からの激しい抗議の声にもかかわらず福田政権のもとでも撤回されなかった事実は、福田政権が新テロ特措法の成立を政権の至上命題とし、小泉−安倍と続いた対米侵略戦争加担、戦争国家化を基本的に推進していることと不可分である。憲法改悪や集団的自衛権の行使などの点でテンポの違いはあるにしても、福田政権は、辺野古基地移転をはじめ米軍基地再編と日本の有事体制の構築にとって、過去の侵略戦争の美化は不可欠と考えているのである。
 沖縄では今回の事態を受けて、改めて検定意見撤回要求を堅持し、運動を再構築しようとしている。私たちも戦争犯罪の暴露と戦争責任の追及の闘いを、現在の軍国主義化反対、日本の戦争国家化阻止の闘いと強く結びつけて闘っていく必要がある。政府は、「日本軍がいたから『集団自決』は起きた」という根本を認めよ!福田首相と文部科学省に抗議の声を集中しよう。 

2007年12月27日
アメリカの戦争拡大と日本の有事法制に反対する署名事務局




[抗議の声の宛先]
◆はがきの場合
 〒100―8968 東京都千代田区永田町1ー6ー1 福田康夫内閣総理大臣
 〒100―8959 東京都千代田区丸の内2ー5ー1 渡海紀三朗文部科学大臣
◆メール、FAXの場合
文部科学省初等中等教育局教科書課調査係
      FAX 03-6734-3739   メール textbook@mext.go.jp




[参考記事]

[投稿]9・29教科書検定撤回県民大会と沖縄「島ぐるみ」闘争

改めて戦争責任を追及する[シリーズその3]政府・文科省が沖縄戦「集団自決」の日本軍関与削除を強制