ファクトシート
アフガニスタンにおけるアメリカの戦争
インターナショナル・アクション・センター





Q:米の空爆作戦は、「テロリスト」に向けられたものなのですか、それともアフガニスタンの人々に対して向けられたものなのですか?

Q:アフガニスタンの人々の現在の状態はどのようなものなのですか。

Q:アフガニスタンにおける戦争は9月11日の攻撃に対する防衛行動ではないのですか?

Q:アメリカは「テロリスト達のネットワーク」を排除することで、この地域を安定させようとしているのではないのですか?

Q:反戦運動は、なぜアメリカ国内でも戦争があると言っているのですか?

Q:アメリカ政府が、拘留中の容疑者への拷問を合法化することを検討しているというのは本当ですか?

Q:ペンタゴンはニュースを検閲しているのですか?

Q:もしブッシュの爆撃戦争が答えでないなら、何が答えになるのですか?




Q:米の空爆作戦は、「テロリスト」に向けられたものなのですか、それともアフガニスタンの人々に対して向けられたものなのですか?

A:9月11日に恐ろしい犯罪が罪のない民間人に対して犯されました。しかし、この空爆はアフガニスタンの人々に対する戦争なのです。米・英は、アフガニスタンの至る所で、民家、学校、モスク、病院および村落に何千もの爆弾を投下し、ミサイルを打ち込んでいます。
   あらゆる大都市および地方が、意図的に何千もの5,000ポンド爆弾および1,000ポンド爆弾の投下目標となっています。70,000ポンドの弾薬を満載したAC-130攻撃機は、市民に対して間断なく弾丸の雨を浴びせる巨大なガトリング砲を発砲しています。
  米の爆撃初日、カブールのワジル・アクバル・カーン病院が爆撃され、13人の女性が婦人科の建物の中で死にました。約200人の人々がヘラートの病院の中で死にました。赤十字の施設は2度も爆撃されました。
  クラスター爆弾 ―― 米の兵器の中でも最も恐ろしくまた殺傷力のあるものの一つ ―― が今、爆撃を強化するために使われているのです。クラスター爆弾は、人間およびそれ以外の生物に対して高い殺傷力をもつために、国際法によって禁止されています。カミソリの榴散弾が詰められた何百もの小さな小型爆弾が、高速で広い範囲に散らばり、人々を切り裂いて致命傷を与えるのです。
  シドニー・モーニング・ヘラルド紙は、アフガニスタンで国連の地雷撤去の指揮をとっているダン・ケリーの発言を引用しています。「これらの小型爆弾は、村民たちがそれに触ってしまった数だけ爆発することになりかねない。それは非常にむごたらしい死です。対人地雷にやられた場合と同様、腕も脚も吹き飛ばされて失い、殺されるのです。」民間人が攻撃目標にされているというもう一つの証拠は、救助者をも殺すために繰り返し爆撃するという米のやり方です。ジャララバードでは、スルタンプールのモスクが礼拝中に爆撃されました。隣人たちが閉じこめられた17人の犠牲者を救出しているとき、攻撃機が爆撃するために数分後に戻ってきて、120人の人々が殺害されました。
  クラスター爆弾、劣化ウラン弾、5,000ポンド爆弾、気化爆弾:これは世界最大の軍事力による、現存する最も貧しくそして低開発な国々のうちの一つに対して行われている(どう猛な)テロに他なりません。



Q:アフガニスタンの人々の現在の状態はどのようなものなのですか。

A:アフガニスタンでの平均寿命は43歳です。一人当たりの収入は年間180ドルです。飲料水を利用できるのは人口のたった13%です。衛生設備の恩恵を受けられるのは人口のわずか12%にすぎません。識字率は約20パーセントです。幼児の死亡率はショッキングで、誕生した1,000人のうち247人が死んでしまいます。平均で、毎年16,000人の母親が出産中に死にます。これは17人の出産に1人の割合で、世界で2番めに悪い母親の死亡率です。
  単に爆撃だけが人々を殺しているのではありません。戦争自体がもたらす混乱や無秩序状態は、飢え、寒さおよび疾病がもとで莫大な数のアフガニスタンの人々が死ぬだろうということを意味します。ユニセフによれば、100,000人を越えるアフガニスタンの子供が、冬の終わりまでに戦争に関連する原因がもとで死亡しそうだということです。



Q:アフガニスタンにおける戦争は9月11日の攻撃に対する防衛行動ではないのですか?

A:9月11日の後、米は直ちにアフガニスタンのすべてを攻撃目標とし、そしてテロに関して米政府を全面的に支持しない国や機関をすべて米の「敵」のリストに付け加えていったのです。アフガニスタンは交渉に同意していましたが、9月11日の攻撃についてオサマ・ビン・ラディンが有罪である証拠を求めました。ブッシュ政権は、交渉するつもりはないと答え、証拠を提供することを拒絶しました。本当に米はテロリズムと戦いたかったからなのでしょうか?それとも米が、恐ろしい9月11日の攻撃を、ペンタゴンが中東と南および中央アジアにおけるその支配を拡張するのを正当化することに利用しようと、計算して決定を下したからでしょうか?
  1991年に米がイラクと戦争し、そしてイラクの人々に対して制裁を続けている真の動機は、ペルシアおよびアラビア湾岸の石油に対して完全な支配下に置いておくためです。世界の既知の石油埋蔵量の3分の2は、その地域にあります。米の湾岸戦争により、サウジ・アラビア、アラブ首長国連邦およびその他の地域に、ペンタゴンは多数の軍事基地を設置できました。
 さらに知られていないことは、米国の石油会社、銀行および軍需企業が、南アジアおよび中央アジアに対して、石油および天然ガス開発における次の戦略的な地域として、莫大な利害を持っているということです。
 カスピ海沿岸地域 ―― タジキスタン、ウズベキスタン、トルクメニスタンおよびアゼルバイジャンから成る ―― は石油および天然ガスについて5兆ドル以上の潜在的な価値を有しています。これら旧ソ連の一部であった国々はアフガニスタンと国境を接しており、そしてまさに米軍が現在、基地と兵員を展開している国々なのです。その地域の米による軍事化は9月11日の以前に始まっていました;今やそれは、どんどんと全面的なものになりつつあります。
  ユノカル・オイル(Unocal Oil)社スポークスマンの、ジョン・J・マーサ副社長は、1998年2月12日に国際関係に関する下院の委員会で証言を行いました。彼は、「カスピ海沿岸地域は、巨大な未開発の炭化水素埋蔵量をもち・・・天然ガスの確認埋蔵は・・・ 236兆立方フィート以上にもなる。・・・ [石油埋蔵量の]見積もりは2000億バレル以上だ。」と述べました。
  CIAは「その地域の政治を監視し、その富を測定するための極秘の特殊任務部隊を創設した。CIA高官や何人かの訓練された石油エンジニアたちが隠密に、南部ロシアおよびカスピ海沿岸地域にかけて、その潜在的な石油埋蔵量をかぎつけるために回っている。政策立案者たちがCIAの報告を聞いた時、[当時の国務長官]マドレーン・オルブライトは次のような結論を下した「その地域の将来像を形成するために働くことは、私たちのできる最も興奮する仕事の1つだ。」」(タイム誌、1998年5月)
  ペンタゴンは、NATOのいわゆる「平和のためのパートナーシップ」に結びついた軍事同盟に、その地域の諸政府を引っ張り込もうと努力していました。これら旧ソ連の一部であった国々は、彼らの石油およびガス資源を、元、米の軍事および政治指導者であった人達の経営する会社が無制約に開発するのを許すようになりました。以前レーガン、ブッシュそしてクリントンの大統領顧問であったブレント・スコウクロフト、ズビグニュー・ブレジンスキー、前ホワイトハウス首席補佐官ジョン・N・スヌヌ;前国防長官リチャード・チェイニー、国務長官ジェイムス・ベーカー、前クリントン財務長官ロイド・ベンツェン、これらの人々全てが、カスピ海沿岸地域に関係する石油およびガス会社の幹部になっていました。(ワシントン・ポスト、1997年7月6日)



Q:アメリカは「テロリスト達のネットワーク」を排除することで、この地域を安定させようとしているのではないのですか?

A:これは、すべて最も危険な作り話です。さらなる戦争、爆撃、暗殺が、さらなる暴力、死、経済危機をもたらすだけです。テロを止めるための唯一の方法は、アメリカに大きな責任がある、この地域での圧制を止めることです。
 「テロと闘う」という手法を用いて、アメリカ政府は、正義のためのすべての主張にテロリストの烙印を押し、企業や軍隊のグローバル化に対する抵抗を押しつぶそうとしています。アメリカは、中東やその他の地域に対する米、英、イスラエルの占領に反対して断固として闘ってきた世界中の全ての人々を追いまわすための、決定的な支配力と合理化を欲しています。
 9月11日の無実の市民に対する重大な犯罪は、だれも否定しません。しかし、ニューヨークでの数千人の死が、アメリカがアフガニスタンで行っていることを正当化するために、そしてアメリカがイラクやパレスチナの人々に対して行ってきたこと、行い続けていることを隠蔽するために利用されるべきではありません。
 アメリカによる制裁の直接の結果として、イラクでは毎月、約8,000〜12,000人 ― このうち5,000人が5歳以下の子供 ― が死んでいる中東では、非常に大きな怒りが存在します。この制裁は11年間続いています。このジェノサイドの犯罪は、アメリカの人々には隠されていますが、中東の人々の間ではよく知られています。
 第2のインティファーダが2000年9月に始まって以降、800人以上のパレスチナ人が殺され、16,000人が重傷を負っています。パレスチナ人が彼等の土地での残忍で長期にわたるイスラエルの占領に反対して、自分たちを守ろうとすると、彼等の住宅はブルドーザーで壊されました。すべての弾丸、すべてのヘリコプター、すべてのF15とF16戦闘機がアメリカから来ています。アメリカはイスラエルに対して、毎年40億ドルを供給し続けています。これこそ、あつかましいテロリズムであり、世界中のますます多くの人々が、アメリカ−イスラエルのパレスチナ人に対する圧制を止めるよう要求しています。



Q:反戦運動は、なぜアメリカ国内でも戦争があると言っているのですか?

A:数千のアラブの人々、南アジアの人々、イスラム教徒は、アメリカ国内で暴力的に攻撃されてきました。住宅やモスクや商店が傷つけられてきました。アラブ系、南アジア系の人々は、飛行機から降ろされてきました。ウォール・ストリート・ジャーナルのような主要メディアの放送局は、人種のプロファイリングを合法的なものと認めるよう要求してきました。これは、紛れもない純然たる人種差別です。1995年にティモシー・マクベイがオクラホマ・シティー連邦ビルを爆破し、168人が殺された時には、人々が白人男性の存在を「不快」と感じると言う理由で白人男子を飛行機から降ろすというようなキャンペーンはありませんでした。白人男性が、罪もなく検挙されることも拘束されることもありませんでした。しかし9月11日以降、1,000人以上の大半が中東出身の人々が拘留されました。その多くは9月11日以降であり、何の罪もありませんでした。
 反テロリズムのお題目のもと、超人種差別主義者の司法長官ジョン・アシュクロフトは、いわゆる反テロリズム・アメリカ愛国者法案を押し通そうとしました。ウィスコンシン州の民主党上院議員、ラッセル・D・ファインゴルドだけが、この法案は違法な調査を許し、曖昧に定義された「テロリストの可能性のある人々」とのつきあいを理由に個人を罰することを許すことになると主張して、上院でこの草案に反対票を投じました。この法案は人種のプロファイリングを合法化しており、逮捕された人々の正当な法的手続きを無視し、政府がテロリストの定義を、米政府の政策に抗議しようとする数百万の人々を潜在的に含むよう大幅に拡大することを許し、政府が罪のない移民たちを拘留することを許すものです。さらに、基本的なプライバシーの権利が無視されており、「疑わしい」と思われる全ての人に対する電子メールの管理と盗聴を行う、ほとんど無制限の権限を政府に許すことになります。



Q:アメリカ政府が、拘留中の容疑者への拷問を合法化することを検討しているというのは本当ですか?

A:ショッキングなことですが、本当です。FBIとジョン・アシュクロフトの司法省は、法律上の黙秘権を主張する拘留中の人々に対して、米連邦の是認される手段として、拷問を使用することを検討しています。ワシントン・ポストによれば、米政府は、情報を聞き出すために、イスラエルの尋問官がときに採用しているような「強制戦術」を使うことを検討しています(さらなる情報はwww.justiceonline.org参照)。イスラエル方式の強制戦術とは、まさに拷問の婉曲的な表現なのです。
 イスラエルの人権組織、B’Tselemによる1998年の報告によれば、尋問の戦術は、睡眠を奪う、隔離、精神的苦痛、直接の肉体的暴力 ― ここには叩く、暴力的に揺さぶる、痛みを伴う束縛(かせ)、極限の苦痛を加えるために設計され使用されるものの使用が含まれます− が組み合わされています。尋問は、絶え間のない断続的な尋問の期間と、間断なく数日間続く暴力とを伴って、繰り返し数ヶ月にもわたって行われます。



Q:ペンタゴンはニュースを検閲しているのですか?

A:マスメディアによる戦争報道のほとんど全てが、ペンタゴンが知らせたいと思う情報だけを取り入れています。ペンタゴンは、ベトナム戦争の際、人々が戦争について真実を知り、政府が嘘をついている(1970ペンタゴン・ペーパーズ等)ことを知ると、戦争に反対するようになったということをよく知っています。米政府のNational Mapping and Imaging Agencyは、アフガニスタンでの戦争の映像を流している全ての衛星を独占的に管理する契約に調印しています。彼等は、10月7日に、全ての衛星の商業権を買い取りました。アフガニスタンへの爆撃開始の日にです。



Q:もしブッシュの爆撃戦争が答えでないなら、何が答えになるのですか?

A:この地域の人々は、アメリカを占領者で植民地主義の軍隊と認識しています。サウジアラビアやペルシャ・アラビア湾岸を占拠している数万のアメリカ軍は撤退すべきです。アメリカ政府は、ただちにイラクへの経済制裁をやめなければなりません。アメリカ政府は、パレスチナを占領するための、イスラエルへの毎年40億ドルの資金供与をやめなければなりません。1998年に17発の巡航ミサイルで破壊されたスーダンのアル・シファ工場のような製薬工場を破壊するかわりに、アメリカ政府は、スーダンやこの地域の他の国々に対する経済制裁を解除すべきです。もし平和であれば、パレスチナの人々やこの地域のアメリカ軍に占拠された人々は、真の自決権と正義を楽しんでいるはずです。

(2001年11月7日 “International ANSWER”のHPより)



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