石油と戦争 Oil and War ゴパル・ダヤネーニ&ボブ・ウイング WAR-TIMES (www.war-times.org) 2002年6月 第3号 |
戦争―それは何の役に立つのか?
ブッシュ大統領は、戦争がテロを撲滅すると言う。だが「テロとの戦争」の地図を作ることは、世界の石油の地図を作ることである。
中東では、最優先はサダム・フセインを除去するイラクへの大規模侵攻であると、米政権は発表した。フセインは冷酷な指導者であるが、しかし米は多くの独裁者を支援している。ワシントンが彼を銃の射程に入れているのは、フセインがペルシャ湾の莫大な石油という富の米支配に対する主要な敵対者だからである。
アフガニスタンでは、「テロとの戦争」は親米政府を生み出し、そして周辺9カ国に米軍事基地を生み出した。その中央アジア諸国は、石油と天然ガスが豊富である。米はアフガニスタンを十字路にし、西側と成長するアジア市場とへパイプラインを敷くために、軍事行動によって道をあけようとしている。
カスピ海地域では、米は、9.11のすぐ後から、新しい軍事基地を建設し続け、地元の防衛軍を訓練し続けている。以前ソビエト共和国だったトルクメニスタンとウズベキスタンは、5兆ドルに値すると見積もられる未開発の石油と天然ガスであふれている。ここはペルシャ湾に次いで世界で最も大きな石油の宝庫である。
石油はまた、「テロとの戦争」をラテンアメリカとアフリカへ輸出する米の最近の行動の中心に位置するものでもある。コロンビアでは、米は政府軍に9800万ドルを与える用意があるが、それはオキシデンタル・ペトロリアム社の石油パイプラインを反乱軍の破壊から防衛するためである。米国への3番目に大きな石油供給国であるベネズエラでは、米は民主的に選出された大統領に対する失敗したクーデターの指導者たちに会い、資金を提供して支援していた。
アフリカでは、米国は最近、アフリカ大陸最大の対米石油供給国であるナイジェリアへの軍事援助を増加させた。
石油産業は世界で最もパワフルである。それは現代の工業、農業および輸送に燃料を供給する。その資本の流れはグローバルな金融システムを形成する。
チェイニー=エンロン計画
大手石油会社は、また、ブッシュ政権をも支配している。ブッシュ大統領、副大統領のディック・チェイニー、そして政権内のほとんど全てのトップ高官たちは、トップの石油会社役員であるか、あるいはこの産業との積年の絆を持っている。(“Bush's Oil Machine”参照。)その例外となる者たちは、国務長官コリン・パウエルのように、軍事防衛産業と結びついている。
この政権の石油戦略は、エンロンその他のエネルギー巨大企業役員からの悪名高い援助を得て、チェイニーが昨年作成した国家エネルギー計画の中で推し進められた。驚くべきことではないが、その計画は米自動車の燃費向上に反対している。そしてその計画は、手つかずのアラスカ国立野生動物保護区の開発を要求している。だがそのような掘削をしても、より大きなエネルギー状況の中では大した違いをもたらさないだろう。
マイケル・クレア教授は、『パシフィック・ニュース・サービス』への論評で、チェイニー報告を次の3点に要約している
・米は海外の石油にますます依存している。現在、米は1日当たり約1000万バレル、全消費量の53%を輸入している。2020年までに米の石油輸入量は、1日当たり約1700万バレル、全消費量の65%に上昇するだろう。
・それゆえ米は、現在の供給国であるサウジアラビア、ベネズエラ、カナダに加えて、新しい海外の石油供給源を確保しなければならない。その計画は、米の将来の石油需要を満たし、OPECへの依存を終わらせるために、カスピ海諸国、ロシア、アフリカを当てにしている。
・米は市場の力だけでこの石油へのアクセスを獲得することができない。――米エネルギー会社に対する外国の抵抗は積年のものがある。報告にあるように、「外国勢力はいつもアメリカの利益を心にかけているとは限らない。」
戦争ビジネス
こういう理由からワシントンは、9.11の悲劇をとらえて、世界中の産油諸国で米の軍事プレゼンスを拡大させたのである。
『アジア・タイムズ』のコラムニスト、ペペ・エスコバールは次のように考察している。「戦争ビジネスに匹敵するビジネスは他にない。イラクに対する戦争のお陰で、米はペルシャ湾に自己の軍事基地を持つようになった。ユーゴスラビアに対する戦争のお陰で、米はボスニア、コソボ及びマケドニアに自己の軍事基地を持つようになった。タリバンに対する戦争のお陰で、トルクメニスタン、ウズベキスタン、パキスタン、アフガニスタンに米は今プレゼンスを持っている」と。トルコ、グルジア、アゼルバイジャンもそれに加えることができる。
世界の石油を支配するための米の戦争には、もっと大きな利害関係が関わっていると、エスコバールは考えている。「もし米が、ライバルたち――ヨーロッパ、日本、中国、及びより自立的であることを熱望する他の諸国家――のエネルギー供給源を支配するなら、米は勝利する。」石油の支配は世界経済支配の鍵である。
ブッシュは彼の戦争計画を「不朽の自由」と呼ぶ。しかし、それよりも「永続的な利益」を生むことに適合していそうだと、エスコバールは考えている。
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