[大量殺戮を狙うアフガン空爆再開、地上戦突入糾弾]
アメリカはアフガニスタンへの空爆、大量殺戮をやめよ!

「サーモバリック」(熱圧)爆弾使用糾弾!
新型爆弾の人体実験をやめよ!
一切の戦闘を停止し、兵力を撤収せよ!



 米軍は、3月1日未明から、昨年10月7日の空爆開始以来最大規模の空爆を開始し、本格的な地上戦に突入した。米軍はこの作戦を「アナコンダ」と命名し、東部パクティア州の州都ガルデス近郊に激しい空爆を加え、アルカイダ兵、タリバン兵との地上戦にアフガン侵攻作戦後初めて大量の米正規軍を投入している。投入された正規軍の規模は、第101空挺師団等の2000人以上に上る。
 この攻撃は、これまでのアメリカの対アフガン攻撃とは異なる新しい、危険な段階である。これまでの地元アフガン兵を前にたてた地上戦から、米軍が先頭に立つ本格的な地上戦に突入した。これまで使われたことのなかった新型爆弾が使用された。その攻撃に独、仏など同盟軍を巻き込んでいる。さらに「対テロ作戦の第二段階」としてフィリピン、グルジア、イエメン、コロンビアなどへの介入を本格化させるのと並行して行われている。そして、民主党が戦線拡大を批判し始めており、戦争賛美一辺倒であったマスコミからも異論が出始めている中で行われている。
 「悪の枢軸」論をぶち上げ孤立したブッシュ政権が政治的巻き返しをはかり、米の戦争に同盟国を巻き込み戦果を上げるために強行した軍事行動である。

一般人も含めた大量殺戮、破壊作戦
 この戦闘ですでにアフガン人200人が死亡!?

 すでにこの戦闘で200人が犠牲になったと伝えられている、米側の被害ばかりが報道されているが、実際に起こっているのはアフガン人の大量殺戮の再開である。一般住民も含めて攻撃し破壊し尽くすというアメリカのこれまでの戦術がエスカレートしている。われわれはこれまでも、一般住民だけでなく戦闘員も含め無実であることに代わりはないと主張してきた。ガルデス近郊アルマにはアルカイダやタリバン兵とその家族500人が居住していると米筋によって発表されている。間違いなくアメリカは、これらの人々を殲滅するつもりである。チョーカーカレズの村が爆撃され、多くの一般住民が犠牲になったとき、米軍は「彼らはタリバンのシンパだった」といい放ったことを思い出さねばならない。昨年11月にはトラボラ、クンドゥズ、今年に入ってザワル・キリで大規模な空爆が行われ、その地域は攻撃目標が無くなるほどまで破壊され、人の住めない廃墟となっている。アメリカが発表している残存アルカイダ戦闘員数千人という数が真実なのかどうかわれわれには現在のところ確認するすべはない。しかし、アメリカが「これが最後ではない」といっているように、残虐な掃討作戦が継続していくことは間違いない。

「サーモバリック」(熱圧)爆弾使用糾弾!!新型爆弾の人体実験をやめよ!


 3日のアフガニスタン東部ガルデス近郊への空爆で、米軍は、新型特殊大型兵器「サーモバリック」(熱圧爆弾)BLU−118を初めて使用した。B52から2発を投下した。この熱圧爆弾は、起爆すると爆薬が拡散し高熱の熱風と強い衝撃波を生み出す、きわめて殺傷力が強い爆弾である。洞くつや地下施設に潜む敵は、高熱と激しい衝撃波にさらされるうえ、内部の酸素が奪われて窒息死にも至る、非人道兵器の見本のような大型爆弾である。米軍は、アフガン侵略戦争に突入してすぐに、洞くつに潜む敵を殺傷するため、この新型爆弾の開発に着手し、昨年12月下旬に実験に成功したが使用する機会がなかった。米は対アフガン戦争を新型兵器の人体実験場、「在庫兵器の一掃セール」として利用している。今回の軍事作戦は、数日前から突然「ビンラデンは生きているようだ」とリークされはじめ、さらに「アルカイダ兵の結集」を口実として開始された。それは、「生け捕りか死体か」をとわず「オサマビンラディン捕獲作戦用」に開発されたこの爆弾を実験するために情報操作されたのではないかとも考えられるほどである。

「悪の枢軸」外交の孤立からの巻き返しを狙うアフガン攻撃
 圧倒的な戦力の差を笠に着た、空爆と地上作戦

 今回の新しい攻撃は、外向的に孤立し内外からの批判にさらされたブッシュ大統領が、手っ取り早く戦果を上げたいという衝動から行われているのは間違いにない。その意味で、フィリピン、グルジア、イエメン、コロンビアなどへの軍事介入と連動している。「アルカイダ結集」は口実にすぎない。B52、B1爆撃機、F15、戦闘ヘリ「アパッチ」等を大量投入しての大規模空爆を行い、わずか3〜4日で350発以上の爆弾を投下し、地上戦を開始した。アメリカはこの圧倒的な戦力差に乗じて、無防備でヘリを飛ばし、塹壕も掘らずに兵を前進させるという、まさに丸腰の住民に重装備の武装部隊が侵攻するという犯罪的な侵略作戦を行ったのである。そのずさんな作戦過程で、ヘリが撃墜され、数人の米兵が死亡し、「アルカイダは強力だ」と騒ぎ立てているのである。早くも「地上戦」から空爆中心の戦術に再変更したとも伝えられている。

西側の同盟国が結集して最貧国を攻撃


 この地上戦には、米軍だけでなく、ドイツ、フランス、カナダ、オーストラリア、デンマーク、ノルウェーの各部隊も参加し、米軍と共に、アルカイダ兵等との戦闘に加わった。「悪の枢軸」論とイラク攻撃準備への批判を強めている同盟諸国を結集し弱っている「獲物」に襲いかからせているのである。フランス国防省は、空母シャルルドゴールから発進した戦闘機のほか、キルギスタンの基地から発進したミラージュ戦闘機がこの空爆に参加したことを明らかにした。アフガン空爆開始以降フランスが正式に空爆への参加を表明したのは始めてである。

暫定行政機構とアフガン復興計画の破綻を取り繕うアフガン攻撃

 この空爆と地上戦は、アメリカが進めてきた暫定行政機構の破綻、アフガン復興計画の破綻を覆い隠し、破綻があたかもタリバン兵、アルカイダ兵の残存が原因であるかのように描き出そうとしている。各地で部族衝突が頻発し、殺人や強盗、誘拐など凶悪犯罪が多発している。政権内部で権力抗争が閣僚暗殺となって顕在化した。ケシ栽培が復活し、麻薬生産量がタリバン時代の10倍にもなっている。難民の帰還が進むどころか、このような状況を嫌って新たな難民が生み出されているほどである。どれもこれもタリバン政権の崩壊と米の空爆がもたらした惨禍である。
 米政権と米軍以外に何の物質的人的基盤を持たないカルザイの底の浅さが表面化している。米軍はまたカルザイ以外に頼れる者はなく、今やカルザイ政権に反抗する部族を攻撃する、いわばカルザイの「用心棒」になっている。7月予定のロヤジルガ(国民大会議)に向けて、各勢力間の争いが激化している。米軍は、2月16日と17日にアフガニスタン東部ホスト近郊で暫定政権に対抗する地元部隊を攻撃して以降、アフガンの国内抗争に直接関与しはじめ、このことが反政権派の反発を強めている。暫定政権側はB52を「平和の守護者」と呼ぶ一方、特殊部隊でさえ反政府派の偽情報に振り回されるなど混乱を極めている。米中東軍司令部は正直にも、今回の軍事作戦がアフガン暫定政権の安定に欠かせないと判断していると説明した。攻撃の中心地ガルデズはとりわけ軍閥・派閥間の対立・軋轢が激しく、カブールから車でわずか3時間という近距離にもかかわらず国連の援助物資さえまともに運ぶことができない地域である。あるいは、現在の空爆は、ガルデズの反カルザイ勢力に対して恫喝を加えるためにやられているという可能性もある。
 
2002.3.5.
アメリカの「報復戦争」と日本の参戦に反対する署名運動事務局



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