2007年2月1日から3日、ECPMのイニシアティヴおよびWCADPのサポートのもとパリに集まり、
我々、市民そして市民社会と公共団体の代表者は、2001年第1回ストラスブール死刑廃止世界大会および2004年第2回モントリオール大会を上回る人数が集い、証言、分析あるいは経験や戦略の交換のほか30もの議題を含む議論の結論として、この宣言を採択する。
我々は、死刑が世界において減少しつつある事実、及び、モントリオール大会以後、ギリシャ、キルギスタン、リベリア、メキシコ、フィリピン、セネガルが死刑を廃止した一方で、死刑を再導入した国はなかった事実を歓迎する。同時期において、いくつかの国においては、2006年におけるバーレーンのように、長く続いたモラトリアムの後に死刑の執行が再開されたこと、また、中国、イラン、サウジアラビア、アメリカ合衆国、ベトナムを含む多くの国において死刑がいまだ大規模に適用されていることを遺憾に思う。我々は、いくつかの死刑廃止国における死刑再導入の動きを強く非難し、とりわけペルー当局がこうした活動をやめるよう求める。
我々は、死刑廃止の過程には、公正かつ修復的な司法の枠組みにおいて、被害者のニーズをよく考慮し、また、刑事政策及び刑務所制度を徹底して熟慮することが伴わねばならないと認識する。
我々は、全世界における、人を殺す司法の終焉を、満場一致で要求する。いかなる政府も人の命を奪う権利を有しない。我々は、死刑が、残虐で、非人道的であり品位を傷つける取扱いであることを想起し、人権に反し、犯罪との闘いにおいてなんら有用性がなく、常に司法の欠陥を示すものであることを想起する。
第3回死刑廃止世界大会は、以下の勧告を採択する。
1.我々は、すべての国が死刑を廃止し、国際的および地域間の死刑廃止条約を批准すること、とりわけ国連人権(自由権)規約第二選択議定書を批准することを求める。
2.2006年12月の国連総会における、かつてない数の国から支持を受けた発言(*)に続き、世界のすべての国が直ちに死刑の執行をやめることを真摯に求める。
国連総会により成功裏に採択された決議は全世界の死刑廃止にとって大いなる価値をもつという認識のもと、我々は、以下のような決議が国連総会によって確実に採択されるよう、国連加盟各国が、必要なあらゆる措置をとることを要望する;
- 全世界における死刑廃止を視野に入れつつ、すみやかな、そして全世界における、死刑判決及び死刑執行のモラトリアム、そして既に下された死刑判決の減刑を求め、
- 死刑は人権及び基本的自由を侵害するものであることを想起し、
- 国連とその加盟国、及び他の関係する国際組織、地域組織、地域内組織が、資源と専門知識を結集することを含め、このモラトリアムの実現を支持するよう働きかけること
我々は、既に500万人以上の署名を集め、世界死刑廃止連盟も支持する、聖エジディオ共同体による請願書に、世界の市民が、全世界的な死刑執行モラトリアムに賛同し署名することを求める。
3.我々は、北アフリカ及び中東地域からの多くの死刑廃止活動家がパリに集ったこと、及び、彼らが自国内、地域内、あるいは地域間の連合体を構築しようとしている努力を歓迎する。我々は、モロッコ、レバノン及びヨルダンにおいて、死刑廃止に向けてとられているイニシアティヴを歓迎し、当該地域の諸国が死刑を廃止するよう求める。
4.中国の死刑廃止活動家がパリに集ったことを歓迎し、我々は、中国政府に対し、2008年の北京オリンピック及び2010年の上海万博を展望しつつ、漸次死刑を廃止していくという目的のもと、すみやかに死刑執行に対するモラトリアムを確立し、とりわけ、経済犯罪や薬物犯罪といった非暴力犯罪を死刑の適用範囲から除外することを求める。
さらに、2007年1月から中国最高人民法院が、第一審裁判所により科せられたすべての死刑判決を再審理することに鑑み、我々は、中国当局が、死刑の管理に関する秘密主義を撤廃するよう求める。
5.2001年のストラスブール大会以来、2002年に設立され今や50を超える組織が加盟する世界死刑廃止連盟を中心として、各メンバーの多様性を十分に尊重しつつ、世界的な死刑廃止運動が構築されてきたことを歓迎する。
我々は、死刑廃止の目的を共有する組織及び機関−NGO、弁護士会、労働組合、地方自治体−が世界死刑廃止連盟に参加することを求める。
我々は、全世界の死刑廃止活動家が、毎年、世界死刑廃止デー(2007年はオリンピックを展望し中国を焦点化し、2008年には死刑廃止の教育をテーマとする)に参加することを要請する。すべての地域レベル及び国際的な組織、とくに欧州連合が、10月10日を、全世界における死刑廃止に賛同する正式な日として採用するよう求める。
我々は、世界の都市が、毎年11月30日の「シティーズ・フォー・ライフ」に参加するよう求める。
最後に、我々は、全世界の、死刑廃止に賛成票を投ずる権限をもつ国会議員が、この宣言に署名することを求める。
パリにて、2007年2月3日
(*)2006年12月19日、EU議長国フィンランドがEU加盟国を含む85ヶ国の賛同書名を得て、死刑の廃止に向けて取り組み、当面の措置として死刑執行モラトリアムの確立等を求める演説を行ったことを指す。