日弁連人権擁護大会シンポジウム

21世紀=日本に死刑は必要か

死刑執行停止法の制定と死刑制度の未来をめぐって

        報告;シンポジウム実行委員会 事務局次長 小川原優之

1 日弁連は、2004年10月7日、多くの高校生や大学生を含む833名の参加を得て、タイトルにあるシンポジウムを開催しました。死刑をテーマとしたシンポジウムは、日弁連の人権擁護大会においては初めてのことです。また2004年4月から9月までの間に、札幌から福岡に至る、全国9ヵ所で、地元弁護士会と共催で開催したプレシンポジウムには、延べ1500人が参加しました。
2 シンポジウムの内容を簡単にご紹介すると、欧州連合(EU)駐日欧州委員会代表部副代表ミヒャエル・ライテラー公使は、「21世紀=日本に死刑は必要か」というシンポジウムの問いかけに対し、即座に、その答は「ノー」、つまり死刑は必要がないという回答を呈示しました。そして、まず死刑執行の停止を、また、それが困難であるならば、最低限の権利を保障する基準の制定を呼びかけました。他方、アメリカ法曹協会(ABA)死刑モラトリアム実行プロジェクト責任者ジェームズ・コールマン・デューク大学教授は、アメリカからの答えはヨーロッパのように「シンプルではいかない」と述べ、死刑事件を担当する弁護士の経験不足や人種差別等の問題があり、「死刑制度がきちんと機能しているかを確認することができるまで死刑執行のモラトリウムをするという決議」をABAが採択していることを説明しました。韓国死刑廃止運動協議会事務総長車亨根(チャ・ヒョングン)弁護士は、韓国では、すでに6年以上にわたって死刑の執行が事実上停止されていること、その間、凶悪犯罪は増えなかったこと、死刑執行停止が「社会における人権状況全体のレベルを上げる」ことなどを話しました。また台湾淡紅大学日本研究所胡慶山(フ・チンシャン)専任助教授から、台湾は、弁護士出身の陳水扁総統の誕生以来、総督府を中心にして、死刑廃止への努力が続けられており、これに反対する立法府との間で厳しいせめぎ合いがあるものの、大幅に死刑執行数が減少し続け、新たに制定される憲法にも死刑廃止が盛り込まれようとしているとの報告がありました。そして死刑廃止を推進する議員連盟会長亀井静香衆議院議員からは、「死刑制度を一挙になくすことができればいいんですけれども、なかなかそういかなければ、まず終身刑を導入することによってこれを一里塚にしたというのが、議員連盟の当面の方針」で、「終身刑創設及び死刑制度問題臨時調査会設置並びに死刑執行の停止等に関する法律案」を、次の通常国会には上程する予定であるとの意向が表明されました。
3 シンポジウムの翌日10月8日には第47回人権擁護大会において、「死刑執行停止法の制定、死刑制度に関する情報の公開及び死刑問題調査会の設置を求める決議」が採択されました。これは、日本政府及び国会に対し、@死刑確定者に対する死刑の執行を停止する旨の時限立法(死刑執行停止法)を制定すること、A死刑執行の基準、手続、方法など死刑制度に関する情報を広く公開すること、B死刑制度の問題点の改善と死刑制度の存廃について国民的な議論を行うため、検討機関として、衆参両院に死刑問題に関する調査会を設置することを求めるものです。=日弁連では、この決議を実行するため、「日弁連死刑執行停止法制定等提言・決議実行委員会」を設立し、新たな体制を構築して、死刑執行停止法の制定に向け取り組みを強めていくこととなりました。これからも多くの皆さんと協力しあいながら取り組んでいきたいと思いますのでどうぞよろしくお願いします。

南野法相に抗議・要請のハガキ・手紙・FAX集中してください

就任記者会見にはじまり、国会での答弁や東京拘置所(死刑場)見学後に、何度も何度も「死刑を執行する」と発言しています。起案があがってくれば執行しかねません。
極めて危険です、執行するな!のハガキなどを集中してください。

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