死刑執行への抗議声明と、抗議集会のご案内

抗 議 声 明

本日(3月29日)、松田康敏さん(44歳:福岡拘置所)古澤友幸さ ん(46歳:東京拘置所)上部康明さん(48歳:広島拘置所)に死刑が執行 されたことに対し、強く抗議する。

 2010年7月27日から1年8ヶ月間、3人の法務大臣によって、死刑執 行停止状態が継続され、法務省内では、死刑の是非を巡って勉強会が続けられ てきた。そして、この勉強会がきっかけとなって、死刑制度について政府や国 会だけでなく、広く社会一般に議論が広がることが期待されていた。

 しかるに、小川敏夫法務大臣は、十分な議論もまったくないまま、検察・法 務官僚に指示されるままに勉強会を終了させ、死刑を再開した。これは、官僚 主導を廃し政治主導の政治を目指すという民主党政権のマニフェストに真っ向 から反するものであって、およそ許されないことである。
 また、就任後わずか2ヶ月間しか経過していない段階での十分な記録の検討 もされないままの拙速を極めた執行であり、慎重のうえにも慎重でなければな らないという法務大臣の職責を放棄するものであって、強く非難されなければ ならない。
 小川法務大臣は、死刑執行後の記者会見で、「刑罰権は国民にある。国民の 声を反映するという裁判員裁判でも死刑が支持されている」と述べたが、これ はまったくの誤りである。死刑の是非は、国民の支持・不支持によって決めら れるものではない。民主主義の理念と人道主義のもとに高度な政治的な判断に よって決められるべきものである。

 上部さんは、一審の段階で心神耗弱の精神鑑定が出されていた。松田さんも 知的に限界級と鑑定されていた。いずれも責任能力の有無について、死刑の判 決の是非が問われていたケースである。とりわけ、松田さんの場合は、弁護人 に再審請求を依頼し、弁護人もその準備に着手していた。上部さんは、再審弁 護人との接見において秘密交通権が保証されていないことに対して、これを違 法として国賠訴訟を提起したこともあった。死刑執行は当然に回避されるべき ケースであった。

 死刑には犯罪抑止の効果はなく、また、被害者の救済や社会の平穏にも資す るものではない。死刑は人道と民主主義に反する。
 私たちは、死刑の廃止を願う多くの人たちとともに、また、小川法務大臣に 処刑された松田さん、古澤さん、上部さんに代わり、そして、死刑執行という 苦役を課せられている拘置所の職員に代わって、小川法務大臣に対し、強く、 強く抗議する。

2012年3月29日

  死刑廃止国際条約の批准を求めるフォーラム90

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●小川敏夫法相による死刑執行に抗議する緊急集会
4 月5日(木曜)午後7時〜
文京区民センター2A会議室
都営三田線・大江戸線「春日駅A2 出口」
参加費500 円(予定)

死刑執行抗議集会

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