本日(3月25日)、鎌田安利さん(75歳:大阪拘置所)、吉田純子さん(56歳:福岡拘置支所)に死刑が執行されたことに対し、強く抗議する。
これで安倍晋三内閣は、第一次で10人、第二・三次で16人、合計26人という多数の死刑を執行したことになる。岩城光英法務大臣は、昨年12月に就任後わずか2ヵ月あまりで死刑を執行し、その3ヵ月後の今日、二度目の執行を行った。執行された二人の死刑囚の記録を精査することもなく、慎重な検討をせずに死刑を執行したことは明白である。今回の年度末ギリギリの執行は、岩城法務大臣に年度内に複数回の執行をさせ、死刑制度を存続するという、安倍内閣の強い意思表示である。岩城法務大臣は、死刑執行に積極的で、人の生命を奪うことになんら痛痒を感じない大臣であると断じざるを得ない。
鎌田さんは、2005年7月に確定し、再審請求も行っていたが、その後弁護人を解任した。2015年のFORUM90のアンケートには「びょうきで字が思うように書けません。それにボケがすすんでむつかしいことが分かりません」とふるえる字で書いている。
吉田さんは、2010年1月に確定し、再審請求も行ったが、2015年に棄却された。その後は、再審も恩赦も拒否し、クリスチャンとして被害者の冥福を祈る日々だった。
岩城法務大臣は、すでに70%の国と地域が死刑を廃止していることに目を向け、また死刑に誤判が不可避であることを理解し、さらに先の世論調査で終身刑を導入すれば死刑を廃止してもよいとする意見が40%近くに及んでいることを踏まえ、死刑執行を停止して、広く社会に向かって死刑廃止に向けた議論を開始すべきであったのである。
私たちは、死刑の廃止を願う多くの人たちとともに、また、岩城法務大臣に処刑された鎌田安利さん、吉田純子さんに代わり、そして、死刑執行という苦役を課せられている拘置所の職員に代わって、岩城法務大臣に対し、強く、強く抗議する。
2016年3月25日
死刑廃止国際条約の批准を求めるFORUM90