2015年6月 のアーカイブ

抗議声明

2015年6月25日 木曜日

本日(6月25日)、神田司さん(44歳:名古屋拘置支所)に死刑が執行されたことに対し、強く抗議する。

これで安倍晋三内閣は、第一次で10人、第二・三次で12人、合計22人という他に類をみない多数の死刑を執行したことになる。安倍内閣の人命軽視、人権無視の姿勢は際立っており、極めて危険な内閣と言うほかない。

とりわけ、上川陽子法務大臣は、その地元で発生した袴田事件により、捜査機関の証拠のねつ造によって誤って死刑が宣告されることを認識したのであるから、当然に死刑制度を抜本的に見直し、死刑廃止に向けて努力すべき立場にありながら死刑を執行したことは、その責任を放棄したものであって強く非難されなければならない。

神田さんに対する死刑判決の確定は、神田さんが「10種類以上の投薬を受けており」「(取り下げた当時は)精神病だったと思います」と述べているとおり(2011年FORUM90のアンケート)、精神疾患により控訴の取下げを余儀なくされたことによるもので、無効であるばかりか、憲法が保障する控訴審・上告審の審理を欠くものであって、手続的に重大な瑕疵があり、およそ死刑執行の根拠となるものではない。とりわけ、神田さんと同じく1審死刑であった共犯者が控訴審で無期に減刑されていることからすれば、控訴審が保障されていれば、無期に減刑されていた現実的可能性があったものである。

しかも、神田さんは、現在、再審を準備している最中であり、そのための弁護人との接見を名古屋拘置所に妨害されたことに対し、国家賠償請求をして勝訴したばかりであった。

上川法務大臣は、執行後の記者会見で「裁判所の十分に審理を経た上で死刑が確定」したと語っているが、前述のとおり、それは全くの事実の誤認であり、誤りである。

私たちは、死刑の廃止を願う多くの人たちとともに、また、上川法務大臣に処刑された神田司さんに代わり、そして、死刑執行という苦役を課せられている拘置所の職員に代わって、上川法務大臣に対し、強く、強く抗議する。

2015年6月25日

死刑廃止国際条約の批准を求めるFORUM90