キャンパス・セクシュアル・ハラスメント全国ネットワーク(CSH)は、大学のセクシュアル・ハラスメント問題に関心のある個人と団体の会員が、情報交換、意識啓発、問題解決のための諸活動、被害者の支援などを行うことを目的に、1997年に結成されたネットワークです。
全国集会は、ネットワークのメンバーが集い、セクシュアル・ハラスメント問題、それらに関連した問題について議論と情報交換を行います。これらの問題に関心のある方の参加をお待ちしています。
規則やガイドラインを定め、相談・苦情申立に対応したにもかかわらず、法的責任を問われる大学があとを絶ちません。セクシュアル・ハラスメントの予防と対応のために、大学はどのような制度を整え、その制度をどのように運用していく必要があるのでしょうか。
各大学の制度や運用を改善するための基本的視点がえられればよいと考えています。
近年、学生の多様化や多層化が指摘される中、学生支援の重要性が叫ばれています。学生相談の「専門家」ではない教職員はどのような学生対応を行えばよいのか。また、ハラスメント防止という視点からみた学生支援の在り方とはどのようなものかについて皆で考えます。
初めてハラスメント委員や相談員になった方を対象とした研修プログラムを体験する分科会です。ハラスメント被害者の相談を受けるときの基本的な姿勢、注意するべきことなどをワークショップ形式で考えます。
日本においてキャンパス・セクシャル・ハラスメントへの法的対策がすすめられるようになって、10余年がたつ。この間、ガイドライン策定、相談窓口や委員会の設置など、各大学でのセクハラ対応は大きく前進した。今日では大学に職をもつ人で「セクハラ」の言葉を知らない人はまずいないし、大学生き残り競争のなかで「危機管理としてのセクハラ対策」は、経営側にとっても重要課題と認識されるようになってきている。
しかしその一方で、他のジェンダー・イッシューと同様、セクシュアル・ハラスメントについても「定着にともなう拡散」が生じているように思われる。たとえばセクハラ対策を専門に担うスタッフの任用がすすみ「対応スキル」は精緻なものになってきたが、その一方で、セクハラ問題の原点であった「人権問題」との認識の共有が難しくなってきている現象に、「拡散」を端的にみることができる。そのような現状認識にたって、2010年の全国集会シンポジウムでは、いま一度原点にたちもどるという意味をこめて、「セクシュアル・ハラスメントとキャンパスの中の人権」というテーマを設定した。
シンポジウムでは「人権問題としてのCSH」「被害者としての男性」「セクシュアル・マイノリティ」の三つの視点に沿って、パネリストの方々に問題提起していただく予定である。「人権問題としてのセクセクシュアル・ハラスメント」の原点にたちもどるとともに、キャンパスにおける人権問題の「いま」を考える議論を共有する場にしたい。