NPO TOPICS'98.2〜'98.6

■NPO状況全体にかかわるもの ■他の都道府県での特筆すべき動き ■埼玉県内の動き(行政などの動き、横断的な市民団体の動き)

【土屋知事 NPO支援強化の方針を明言】

■埼玉県の土屋知事は、NPOについて「阪神大震災や日本海のタンカー重油流出事故などで大活躍し、目覚ましいものがある。県として強力に支援したいと考えている」などと支援強化の方針を明言した。県では県民活動センターの他に、市民活動の情報交換や活動の拠点として「市民活動サポートセンター」の設置に向け、構想づくりの作業に着手している。

(埼玉 98.02.03)

【大宮で国際協力フォーラム】

■国際貢献活動をしている県内各地の市民グループのメンバーらが集まって、「地球市民!地域から世界とつながろう」を開催した。1月に春日部で、2月に川越でそれぞれフォーラムを開いた結果を報告。「まず相手の希望を知ることが大切」「ネットワークは市民が支えていかなければならないが、行政の協力も必要」などの意見が出された。地域の活動から世界とつながる国際協力のあり方を考えようというもの。写真家の吉田ルイ子さんと埼玉国際協力協議会代表の二子石章さんの基調対談などが行われた。午後は外国人の生活相談、日本語教室、海外協力活動などのグループによるディスカッションなどが行われ、各グループが抱える問題点などを話し合った。(埼玉 98.02.22)

【県、NPOの実態調査実施】

■埼玉県は、NPO法案成立を前に団体名簿や市町村のネットワークを頼りに探し出した3142団体に昨年九月、アンケートを依頼した。49.8%にあたる1466団体から回答があった。この結果、福祉を目的にしている団体が全体の2割を超え、最も多いことが分かった。今後、法人格取得を目指す団体がどのくらいあるかを調べる考え。県の担当者は「行政とつながりが薄い団体など、調査が行き届かなかった団体もあるはず。今後、行政を監視する団体や、家庭を事務局にするような小さな団体との接点を増したい」と話している。

(朝日 98.03.11)

【NPO法成立を受けた橋本首相のコメント】

■「これはある意味で未経験の分野だ。NPOやNGO(非政府組織)は歴史の積み重ねの中で育った組織で、初めは正直言って行政も苦々しい顔をしていた。それがお互い協力することを時間をかけて学んできた。これから先、この法律を生かすには、行政側の対応はもちろん、非営利組織の方々がどこまで胸襟を開いて話をして役割分担するかにかかっている。例えば、地球環境、その中の日本の環境問題にお互いに対応し、チームプレーをしないといけない時代が目の前に来ている」。(産経 98.03.20 )

【市民運営のNPOセンターがオープン】

■神奈川県鎌倉市で、自主的で営利を目的としないボランティア活動を支援する施設「NPOセンター」が2カ所開設された。このセンターは市が施設を提供し、運営は市民が行うという全国初の「公設市民運営型」の施設。打ち合わせ場所、印刷機、情報掲示板など活動に執拗は機能を提供し、「ボランティアに興味あるけど何をやったらいいかわからない」「私たちの活動をPRしたい」などと考えている人々のために相談業務も行う。運営は市民による「市民活動センター運営会議」が行い、有志による運営委員が具体的な活動を企画、実施する。

また、竹内市長は、「国で導入される日を待たずに税制上の優遇措置を取っていきたい」と発言。法人市民税や固定資産税、軽自動車税などの減免を行いたい意向を表明している。(毎日 98.05.18)

【「住民互助型」団体 県内で65団体】

■福祉サービスを低料金で提供する民間団体が増えている。介護から家事手伝い、移送と幅広い仕事をこなす。「有償ボランティア」と自称する団体もある。ビジネスとボランティアの中間的な「市民事業」といえる。利用者も会員になって一時間数百円を謝礼として支払う仕組みが多い。行政サービスの絶対的な不足だけでなく、ボランティア活動が盛んになったことが背景にある。県社会福祉協議会によると「住民参加型在宅福祉サービス供給団体」と定義する団体は、県内に65を数える。「社協の運営型」「住民互助型」「生活協同組合型」などに分けられるが、「住民互助型」が急増し、1994年の10団体から、いまは22団体になる。(朝日 98.05.23)

【デイサービス連絡会が発足】

■高齢者を介護する県内のボランティア団体が24日、県の財政的な支援を取り付けたり、お互いの経験交流を図ろうと、連絡会を発足させた。連絡会の名称は、「さいたま痴呆性高齢者小規模デイサービス連絡会」。浦和市の「生活介護ネットワーク」、朝霞市の「メイ文庫」など六団体が参加。各団体の活動内容は様々だが、共通しているのは財政的な基盤が弱いこと。利用料金だけでは運営費をまかなえず、バザーや寄付金集めに苦労している様子が浮き彫りとなった。連絡会では今後、民間の小規模デイザービスに対する支援、助成を求める要望書を県に提出する予定。埼玉県は単独事業としてのボランティア団体に対する補助は行っていないが、全国では約3分の1の都道府県が行っている。(埼玉 98.05.26)

【NPOに税制優遇を 経済審部会が提案】

■首相の諮問機関である経済審議会の経済主体役割部会は、経済社会システムの担い手として、民間の非営利組織(NPO)の役割を初めて取り上げた。「NPOを企業部門や政府部門から独立した第三のセクターとして認知すべきだ」とし、NPOに広く税制上の優遇を認めるなどの支援策を提案した。(朝日 98.06.10)

【宮城県と議会が県内各地でNPOの説明会】

■宮城県と県議会が、福祉や環境、人権問題など、広い分野で活躍する民間の非営利組織(NPO)の活動を、共同で後押しする支援策の検討を本格的に始めた。宮城県内各地で、「みやぎのNPOなんでもフォーラム」と題する説明会を開き、県内のNPOの活動状況などについて県民に理解を深めてもらうとともに、こうした活動への参加を呼びかける。このフォーラムでの討議を参考に、今年度内をめどに、NPO活動を支援する条例が、議員提案される方針。宮城県議会は昨年末、有志議員がNPO支援条例提案のため動きだし、県側に働きかけた。今年三月の法制定とともに県側が応じた。県と県議会の取り組みは、法の整備を受け、NPO単独だけでなく、自治体や企業などとのネットワークをつくることも目的にしている。フォーラムは、県内七カ所の地方県事務所の担当区域ごとに開く予定で、地元のNPO関係者や企業、自治体関係者などが出席する予定。(朝日 98.06.10)

【NPO15兆円の価値 経企庁試算】

■経済企画庁の「NPOに関する経済分析調査」結果が発表された。民間の非営利組織(NPO)は活動を通じて年間十五兆円規模の付加価値を生み、その経済規模は国内総生産(GDP)の約3.1%を占めるという。また、市民活動団体のボランティア活動を「有償」として試算した評価額は約6,500億円とのこと。15兆円の付加価値を分野別にみると、医療が約七兆円で最も大きく、次いで教育が四・二兆円、社会保険・福祉が二兆円。NPOにははっきりした定義がないため、(1)構成員の間で剰余金を分配しない(2)広く社会に経済的価値を生み出している(3)運営・資金面で政府の支配を受けていない(4)活動者が自発的に参加している、との四点を満たす団体を調査の対象としている。(朝日 98.06.11)


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