浦和・越谷・所沢で埼玉NPO連続セミナー

 埼玉NPO連絡会は、2月1日の「さいたまNPOフォーラム」で示された「NPO」への高い関心を受けて、4月から6月にかけて、浦和、越谷、所沢の各地で「埼玉NPOセミナー」を開催しました。

第1回セミナー 浦和

 4月29日に浦和の埼玉会館で開かれた第1回のセミナーの参加者は45人。講師に松原明さん(C's(シーズ=市民活動を支える制度を作る会)事務局長)を招き、できあがったばかりの「NPO法人ハンドブック(発行C's1300円)」をテキストにお話を聞きました。

 松原さんは、法案づくりの段階から成立に至るまで、ずっと「NPO法」に関わってきたこともあって、この法律の背景にあった考え方のぶつかりあいや、成立の経過のうえでのこだわった点、妥協した点など、詳しくお話しいただきました。

 この法律が、成立の過程も含めて、いままでの官僚と企業主導型の日本社会から、市民の活動をこれからの日本社会の大切な構成要素として位置づけていこうという思想に裏付けられていることがよくわかりました。また、松原さんは、これからの社会の一翼であるためには、官僚組織や企業組織の過ちを繰り返さないためにも、市民グループの側の「活動の情報公開」に大胆に取り組むことが重要であることを、とくに強調されていました。

 参加者からも、たくさんの質問があり、活気に溢れたセミナーになりました。

 松原さんたちの「NPO法」づくりの努力を実りのあるものにするのは、今後の全国各地の、とくにNPO法人格を取得しようと考えている市民グループの肩にかかっているという印象を受けました。

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第1回セミナー講師の松原さん

第2回セミナー 越谷

 第2回セミナーは、5月17日、越谷コミュニティセンターに「埼玉NPO連絡会」の世話人であり、「NPOサポートセンター」代表の山岸秀雄さんを講師に招いて開かれました。

 山岸さんからは「NPOの定義」「アメリカのNPOの紹介」「今後の日本社会でNPOが期待されていること」「NPO法が成立するまでの経過」などについてわかりやすく解説していただき、約35人の参加者からは、「町内会はどう位置づけられるのか」「介護保険と福祉市民活動とNPOの関係は」「リサイクルショップで働く人たちのために利潤をあげようとしたらNPOではなくなるのか」「行政との関係はどう考えたらよいか」など次々とと質問があり、活気に満ちたやりとりになりました。

 「埼玉NPO連絡会」の世話人で、越谷のセミナーの責任者だった村田恵子さんは、「異なる分野で活動する市民が共通の問題について語り合えた貴重な場にもなった」と感想を述べています。

 セミナーの終わったあとには、村田さんたちが「市民のたまり場にしたい」と昨年の11月にオープンした「喫茶&コミュニティスペース ルンの樹」で打ち上げ会。たくさんのおいしい料理を用意していただきました。

※「ルンの樹」は、越谷市赤山町1-211 電話0489-66-7773 営業時間は10時から18時です。お近くにお出かけの際はぜひお立ち寄りください。

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45人の参加があった浦和の第1回セミナー

第3回セミナー 所沢

 第3回セミナーは、6月20日所沢の小手指公民館分館に、第1回と同じC'sの松原さんをお招きして開かれました。このセミナーにも、近隣だけでなく神奈川県や千葉県からの参加者も加えて約50人の方が参加し、関心の高さをうかがわせました。

 松原さんは、第1回のセミナー同様、NPO法成立にいたる経過をくわしくお話しされ、会場からはたくさんの質問がありました。

 このセミナーで、松原さんがとくに強調されたのは、法人格を取得する際に各NPOグループが作成することになる「定款」の問題です。松原さんによれば、すでにいくつか出回り始めている『NPO法人の作り方』のたぐいの書籍に掲載されている『定款のモデル』は、ほとんどが従来の公益法人の定款(寄付行為)にならったもので、これらはもともと行政のコントロール下に位置することを前提として作られたものであり、決してNPO法人がまねしてはいけないものであるということです。

 「そもそもNPOは、行政のコントロールを排した自立的な市民の活動を社会的に位置づけようというものであり、従来の定款をモデルにすることは、逆に自ら行政の傘下に入ろうということになり、NPO法の精神にもとる」という松原さんの話が印象に残ったセミナーでした。

<文責:東>

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第3回セミナーの松原さん

第3回セミナーにもたくさんの人が集まった


「市民活動サポートセンター」の勉強会も計3回行いました

 浦和、越谷、所沢の「NPO連続セミナー」と並行して行われたのが、現在埼玉県が設立を計画している「市民活動サポートセンター」についての勉強会。

第1回は、連続セミナーの1回目と同じ4月29日の午前中に、埼玉会館に神奈川県職員の「かながわ県民活動サポートセンター」の岡島龍彦さんをお招きしてお話をうかがいました。

第2回勉強会は、5月23日、与野市コミュニティセンターで、埼玉県の「市民活動サポートセンター構想策定委員会」委員長の野島正也さん(文教大学教授)に、委員会の報告書の解説をしていただきました。

第3回勉強会は、6月19日、埼玉会館で、「埼玉NPO連絡会」の世話人でもある中村陽一さん(都留文科大学助教授)を招いて、サポートセンター構想に市民サイドから、何を提案していたったらよいかについて相談しました。

 このニュースといっしょに、「サポートセンターについてのアンケート」を同封します。せっかくの「市民活動サポートセンター」を、ほんとうに市民の活動の役に立つものにするためにも、市民の声が反映されることが大切です。ぜひアンケートにご協力ください。

 埼玉NPO連絡会では、みなさんのアンケートや、この間の勉強会のほか、現在進めている近隣の各県の施設の見学や、県内の似たコンセプトの施設の実態調査などをもとに、来年度の予算案が作られる前に、市民サイドからの提言をまとめたいと考えています。

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第1回勉強会には「かながわ県民活動サポートセンター」の岡島さんを招いた


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