さいたまNPOニュース 特別号

1999.9.10発行


【NEXT STAGE】

●「埼玉NPO連絡会」は、会員制にし、世話人会の運営で、交流や情報交換などのネットワークづくりの活動を行います。
●あらたに「市民活動を支援するNPO」のためのNPO法人として、「さいたまNPOセンター」を設立します。

 ごぶさたをかさねました。

 「埼玉NPO連絡会」は、1999年2月に「埼玉に市民活動を支援するNPOをつくろう」集会を開いて以来、しばらくニュースもお休みし、ご案内するようなイベントもしてきませんでした。

 「どうなっちゃんたんだろう」「もう力つきたか」「いろんな人が集まっていたから、うまくいかなくなってしまったのか」と思われていた方もいらっしゃるかもしれません。

 実は、「埼玉NPO連絡会」は、まったく元気いっぱいです。2月以降も毎月世話人会を開き、会議の場以外でも、世話人の間でずっと論議を重ねてきました。論議はおもにふたつの点に集約されました。

 ひとつはあらたに私たちが発足させようとしている「さいたまNPOセンター」が「市民活動を支援するNPO」として、具体的にどんなことを、どういう裏付けと見通しのなかで、展開していくのかということです。

 もうひとつは、さて、そうして「さいたまNPOセンター」を設立したら、いままでの「埼玉NPO連絡会」は「センター」に吸収したほうがいいのか、それとも「センター」の活動とは別に「連絡会」を続けていったほうがよいのかということでした。つまり、「さいたまNPOセンター」に一本化して活動していくのか、「さいたまNPOセンター」と「埼玉NPO連絡会」の2本建てでいくのかということです。

 結論からいうと、「さいたまNPOセンター」と「埼玉NPO連絡会」の2本建てでいくことになりました。そういうわけで、今回のお手紙には、「さいたまNPOセンター」と「埼玉NPO連絡会」の両方のご案内が同封されています。

 2月の時点での予定では、6月に「さいたまNPOセンター」を発足させようということだったのですが、こうした論議を続けてきたために、10月発足ということになりました。

 その論議の経過を、以下にご紹介します。

埼玉NPO連絡会事務局(文責:東)

「NPO時代」の埼玉の市民活動の活性化のために
「埼玉NPO連絡会」と「さいたまNPOセンター」は
役割分担をして活動していくことにしました。

〜「埼玉NPO連絡会」世話人会で論議されたこと〜

「連絡会」の活動を母体にして「センター」の設立構想が生まれました

 「埼玉NPO連絡会」の世話人会は、1998年2月の埼玉県、埼玉県コミュニティ協議会との共催で開いた「さいたまNPOフォーラム」の実行委員を中心に形成されています。その後の1年間に埼玉県内各地で、8回にわたってNPOセミナーを開催し、号外を含めて6号のニュースを発行してきたのはご承知のとおりです。

 「連絡会」の世話人会には、福祉、教育、環境、国際協力、防災、外国人問題、女性問題、反戦・平和など分野をこえたさまざまな団体の人々が集まりました。それぞれの分野では、全県的に横断するつながりもありましたが、分野をこえた集まりははじめてのことでした。その新鮮さが、「連絡会」のエネルギーになったとも思います。

 当初の「埼玉NPO連絡会」の役割は、NPOについて、お互いに学びあおうということでした。実際に世話人会につどった人々も、NPO法人格を取得しようという団体もあれば、まったく考えないというグループの人もいて、共通していたのは、市民団体が法人格を取得できるようになることでそれまで続けてきた自分たちの運動をとりまく環境が否応なく変わっていくだろうという認識でした。

 NPOに対する大きな期待や関心もあって、「埼玉NPO連絡会」の活動は、埼玉県内の多くの市民団体に確実に届いたと思います。

 そして、次のステップとして、世話人会のなかで語られ始めたのが「さいたまNPOセンター」でした。


 「連絡会」を続けるか否かで世話人の意見が別れました

 「連絡会」の活動経験の中から、「市民活動を支援するNPO」の必要性を切実に感じたのは、世話人に共通しています。

 埼玉県内の市民団体の活動を紹介するディレクトリーの発行、読みやすいニュースを安く簡単につくるための編集講座、活動にパソコンを使いこなすためのパソコン講座の開催、またNPO法人を取得しようという団体への書類づくりのお手伝い、行政や各団体の助成金や補助金情報の集約と公開などが求められていることが痛感されました。

 こうしたことがらは、毎日、切実な課題に取り組んでいるひとつひとつの団体で行うのはなかなかたいへんなことですが、どんな課題にとりくんでいる団体にも共通の需要でもあります。

 これらの活動を積極的に行っていくために、また社会的に認知され、社会的責任を果たしていくためには、法人格を取得したほうがいいし、それにはそれなりの組織的体制と事業計画や財政計画が必要です。当然、いままでの連絡会のような世話人体制では不十分で、きちんと理事を選任し、裏づけと見とおしをたてて確実な活動を保障していかなければなりません。

 こうして「さいたまNPOセンター」をつくろうということについては、意見は一致しましたが、では、いままでの「埼玉NPO連絡会」を続けるのか、あらたな「さいたまNPOセンター」のなかで連絡会が担ってきた活動も担っていくのかということについては、世話人の意見が分かれました。


 市民団体の特質であるオープンな平場の関係を保ちたい

 今回のお知らせもそうですが、「さいたまNPOニュース」をお送りしてきたのは、当初の1998年2月に開催した「さいたまNPOフォーラム」の参加者約250名と、その後の「埼玉NPOセミナー」の参加者約300名、世話人から推薦された約150名の、計700名の方々で、団体別にすると約280団体になります。通信費をお送りいただいているのはそのうち約200人の方ですが、ニュースをお送りしている方々をすべて連絡会の構成メンバーということにさせていただいています。

 「連絡会」の世話人についてもあいまいなところがあります。98年2月のフォーラムのあとに、約15人の方を決めましたが、その中にはその後の世話人会に一度も出席されなかった方もあり、逆に世話人の紹介で世話人会に出席し、いくつもの大切な役割に責任をもって、その後世話人の一員として活躍している方もいます。そういうわけで、世話人会の案内は約30人の方にお出ししていますが、常連のメンバーは17〜18人でしょうか。

 こうした、出入り自由の、あいまいなあり方は、市民団体のひとつの特徴でもあり、個人の自覚にもとづき、組織の維持よりも、運動の目的を優先するという意味では、よい面でもあります。こうした特質を維持したいというのが、「連絡会」を続けたいという意見の大きな根拠でした。

 法人格を取得する「さいたまNPOセンター」は、より組織的であらねばならないのだから、こうした特質をうけつぐのはむずかしいのではないか、したがって「連絡会」は続けたほうがいいのではないかということです。

 一方、「センター」に一本化しようという意見は、「NPO法人格というのは、市民団体の活動をやりやすくするためにできた道具のひとつなのだから、市民団体のもつ特質をそこなうようではおかしいのであって、むしろそうした特質を維持しながら法人として活動できるようなあり方を考えるべきではないか」というものでした。

 そのほかにも、「センターの担おうとする役割と、連絡会の役割は違いがないのではないか」「ふたつの団体を維持していくのは実務面からもたいへんではないか」「対外的には、ふたつあるのはわかりにくいのではないか」という意見もあり、ずいぶん時間をかけて論議をしました。


 「連絡会」の体制をもう少し整えて
 NPO法人の「センター」と有機的な連携を

 こうした論議を経て、「さいたまNPOセンター」を「市民活動を支援するNPO」として法人化を視野に入れて発足させるとともに、「埼玉NPO連絡会」を続けていこうということになりました。

 「連絡会」のこの間の活動については、「意思決定の場が月1回の世話人会しかなく、日常的にどこに確認をとったらいいか迷った」などの反省点もあり、意思決定や責任体制などの基本的な骨格をはっきりさせる必要があると考えています。

 そこで、今後、「埼玉NPO連絡会」は、会員制とし、なるべくハードルの低いオープンなあり方で、「センター」と連携しながら、交流や情報交換などのネットワークづくりを活動を中心にすえていこうということになりました。そのためには、いままでの世話人会のあり方や、セミナーの計画も練りなおすつもりです。

 また、「さいたまNPOセンター」は、「埼玉NPO連絡会」と有機的な連携関係を保ちながら、「市民活動を支援するNPO」として前記のような活動をしていくことになります。

 当面、「センター」と「連絡会」は併存しますが、活動を続けていくうえで、いずれは一本化しようということになるかもしれません。「埼玉NPO連絡会」の世話人の多くが、「さいたまNPOセンター」の理事に予定されていますし、実際には別々の2つの団体というよりも、「NPO時代」の埼玉の市民活動の活性化のために「連絡会」と「センター」が役割分担をして活動していくと了解いただければと思います。

 これからも、県内の多くの方々とのおつきあいを大切にしながら、息の長い活動を続けていきたいと考えています。埼玉の市民の活動が少しでも、活発になるようにいっしょに歩んでいきしょう。


「埼玉NPO連絡会」と「さいたまNPOセンター」の
組織のあり方と活動の役割分担

 最も大きな違いは
 組織のあり方にあります

 「さいたまNPOセンター」と「埼玉NPO連絡会」とは連携しながら活動していくことになります。
 「センター」と「連絡会」のもっとも大きな違いは、組織のあり方にあります。
 「さいたまNPOセンター」は、NPO法人を取得する予定で、理事会を中心にした組織体制で運営します。一方「埼玉NPO連絡会」は交流とネットワークづくりを大きな目的とし、ゆるやかな個人と団体の連合体として、オープンな世話人会が運営にあたります。
 実際には「センター」の理事と「連絡会」の世話人はダブる人も多く、その活動においては、有機的に連携していくことになります。


 活動の内容は重なる面も多く、
 連携しながら進めていくことになります

 活動の内容には、重なる面も多いのですが、「さいたまNPOセンター」は埼玉県内の市民活動団体を支援するために、「市民活動を支援するNPO」として、情報をはじめさまざまな資源の収集と編集、発信を主な活動とし、「埼玉NPO連絡会」は、埼玉県内の市民活動団体の交流や情報交換などの機会を積極的に追求し、行政に対して要求や提言をする活動などを通じてネットワークづくりをめざしていきます。

 現在考えている、それぞれの具体的な活動は次のとおりです。

 それぞれの会費は異なります
 両方に加入することも可能です

 こうした組織形態の違い、活動内容の差異によって、それぞれの会員のあり方も違ってきます。

 「埼玉NPO連絡会」は、個人・団体とも年会費を3,000円とします。なるべく多くの方と協働していくことを考えてハードルを低くしようという趣旨です。
 「さいたまNPOセンター」は、個人と市民団体の年会費を10,000円とします。このほかに、市民団体以外の一般団体の会費を50,000円とします。「センター」の設立趣旨に賛同してくださる方を対象にと考えた結果です。

 両方に加入することも、どちらかに加入することも可能です。

 「埼玉NPO連絡会」の側からは、その重要な仲間に、法人格をもち一定の専門性ももった「さいたまNPOセンター」というNPOがあるということになります。一方、「さいたまNPOセンター」としては、情報源ともなり、制作物の供給先にもなる、広くゆるやかな個人と市民団体の連合体としての「埼玉NPO連絡会」を背景に活動をしていくということになります。


編集連絡先

TEL:048-887-9151(浦和市民連合:東)
FAX:048-811-1888
E-メール:東 一邦

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最終更新日:1999年9月23日