ワシントン
司法長官ジョン・アシュクロフトとの会見に続いて、本日プライバシー団体は
司法長官にブッシュ政権がすべてのアメリカ人のプライバシーをよりいっそう
保護するためにどのようなことができるかについて一連の特別勧告を送付した。
ACLUのワシントン全国事務所副理事、グレゴリー・T・ノジェイムは「法がテ
クノロジーに追い付けず、その結果として、個々のアメリカ人は、政府による
プライバシー侵害の格好の標的になっている。ブッシュ政権による迅速な行為
によって、望まれない侵害行為から我々を保護することが求められている」と
述べている。
「カーニボ-」として知られるFBIの強力かつプライバシー侵害となりかねない
監視システムの使用は、アシュクロフトに提起された問題のトップに来ている。
特に問題になったのは、カーニボ-は、この装置の使用をFBIから要求されたイ
ンターネットのサービスプロバイダーを通過するあらゆる電子的な通信物を連
邦政府に傍受させるという点である。プライバシー団体は、アシュクロフトに
対して、令状によってターゲットとされた個人だけが電子政府の監視のもとに
置かれることを確なものとするために、カーニボ-の技術的な管理をFBIから
ISPに移すよう求めた。
また書簡では、政府の職員は、ターゲットになっている人物の携帯電話をトラッ
キングすることによって、個人の居場所を確認する場合には、それ相当の理由
を有することが必要だと述べた。同時に、プライバシー団体は、アシュクラフ
トに対して、従来の盗聴に関する諸制限をその他の新たな電子的な監視へも拡
張するように要求した。
「コンピュータと携帯は、これを通じて、政府が個人の私生活を覗く窓になり
うる。法執行機関はあなたの隣人を盗聴捜査する場合に、あなたの電話を盗聴
してはならないことになっているのに、なぜこれと同じルールがサイバースペー
ス上の電子メールには適用されないのか?」とのノジェイムは語っている。
また書簡は、法執行機関が個人の医療情報へのアクセスに合理的な制限を設け
るべきだと述べている。
「信じられないかも知れないが、新医療記録プライバシー規制ですら、ビデオ
レンタル記録の方が、高度に取り扱いを注意すべき医療記録よりも政府の侵害
に対してはずっとプライバシー保護がなされているのだ」とノジェイムは述べ
ている。
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原文
http://www.aclu.org/congress/l050201a.html
米国自由人権協会、民主主義とテクノロジーセンター、電子プライバシーセン
ター、電子フロンティアファウンデーション、自由議会ファウンデーション、
アメリカ法執行機関連盟
前書き(略)
カーニボー
FBIによる現状でのカーニボ-の使用(およびこのシステムのさまざまなバージョ
ン)は、電子コミュニケーションのプライバシーを脅かし、憲法修正第4条、電
子コミュニケーションプライバシー法、あるいは外国諜報機関監視法と整合し
ない。カーニボ-は、法執行機関に、令状で指定された者を含むコミュニケー
ションに直接アクセスできるだけでなく、カーニボ-がインストールされたイ
ンターネットサービスプロバイダーと契約している多くの無関係の者のコミュ
ニケーションにも同様にアクセス可能である。これはプライバシーを脅かすも
のである。これにかえて、法執行機関は、カーニボーのハードとソフトをISP
が利用できるものとし、捜査過程へのチェックアンドバランスを担保するため
に、カーニボ-をISPの管理下に置くべきである。ISPは、法執行機関に、令状
記載の対象者の通信のみを渡し、法執行機関がその他のものにアクセスできな
いようにすべきである。これは、法執行機関の電話盗聴は、電話会社の中央交
換施設内でおこなうことが許されてこなかったという長いことおこなわれてき
た電話の盗聴の捜査手法に添う形で、電子的な通信の監視を行うということで
ある。
2000年12月イリノイ工科大学研究所(IIRRI)の報告書において、追跡記録その
他の限定された手段のための勧告はカーニボ-が引き起こすプライバシー問題
の疑いを晴すものではないということをはっきりさせたい。IITRIは特に、カー
ニボ-が生み出す法律上の、憲法上のプライバシー問題の考慮をあらかじめ除
外している。これらの問題は、対象となっている通信をその他の通信から分離
するために用いられる技術を法執行機関ではなく、ISPがコントロールし、法
執行機関に対象者のみの通信を提供する責任をISPに負わせることによって一
部は確保できると考えられる。最後に、我々は、法執行機関への通信支援法の
もとで電話会社に課せられているのと同様の命令にISPも服すようなことにな
る考えを断乎として拒否するということを強く申し上げる。
電子的な監視に関する諸立法におけるプライバシー保護
急速な技術進歩によって法執行機関による監視の機会が増し、プライバシー侵
害の恐れが増加している。これは私たちの電子監視諸立法の重要な性質である
プライバシーと法執行機関の必要とのあいだのバランスを法執行機関に有利な
ように逆転してきた。1986年の電子通信プライバシー法その他の監視条項は、
それら立法が適切にプライバシーを保護することを保障するように改訂される
必要がある。例えば、携帯電話はきわめて正確に個人の位置を確認するために
利用しうるようにますますなっている。にもかかわらず、法執行機関が位置情
報にアクセスする時に適用されるべき法的な基準は不明確なままである。私た
ちは、位置情報を利用すべき理由についての基準が適切なものだと考えている。
私たちは、あなたが、105議会におけるE-プライバシー(S.2067)の共同発起人
であったときにあなたがとった態度と変ることなく、これを維持しつづけるこ
とを期待するものである。同時に、連邦盗聴法のもとでの音声について規定さ
れているプライバシー保護をすべて電子コミュニケーションにも拡大し、加入
者の電話利用状況記録装置、逆探知についての法令を、通信についての交信記
録の傍受に関して裁判官に有意義なコントロールの権限を与えるように改訂す
ることが必要な時期にきている。これらをふくむ変更を行うことによって、私
たちは、電子通信にアクセスする法執行機関が適切なセーフガードのもとに服
すことを確なものとすることがでいるのである。
医療記録への法執行機関のアクセス
厚生省が健康保険の可搬性と説明責任法を実施するために出した最終規制は、
法執行機関が取り扱いに注意を要する医療情報にアクセスすることを十分に制
限していない。最終規制164.512(f)は五つの問題点を含んでいる。
(i) 医療記録への法執行機関のアクセスへの法的審査要求が欠落している
(ii)法執行機関にたいして不適切な基準を提供している
(iii)医療情報が警察に提供された人への通知の義務づけがない
(iv)警察が容疑者や逃亡者を確認しようとする際に、患者の情報を警察にいか
なる場合でも提供することを認める広範な身元確認に関する例外が含まれてい
る
(v)例外的なルールのように、適切な執行メカニズムが欠落している
このHIPAAは、リノ司法長官時代に作成されものに実質的に基づいて起草され
た。トムスン秘書官は今後2年以内に修正するつもりだとのべている。私たち
は、身元確認の例外を削除し、個人の身元を確認する医療記録への法執行機関
のアクセスには十分な理由に基づく令状ないしは裁判所の命令が必要であるこ
と、そして、医療記録の捜査対象となっている人物への通知を必要とするとい
うことによって、あなたが、トムスン秘書官が規制におけるプライバシー保護
を強化するように勧告することを求める。ビデオレンタル記録へのアクセスを
規制した法律(18USC2710)を含む多くの現存のプライバシー法はすでに同種の
保護を与えてている。私たちは、あなたが、これらの保護を医療記録にも拡大
し、HIPAA規制の侵害によって押収された医療記録が裁判での証拠となること
のないようにすることを確なものとするように要求するものである。
結論
略
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日本語仮訳(小倉利丸、ネットワーク反監視プロジェクト)
http://www.jca.apc.org/privacy/