緊急に決まったことなので、間近のお知らせになってしまいますが、盗聴法案に反対し行動するために、埼玉に住む市民有志のよびかけで、表記集会を下記のとおり開催することになりました。
岡村さんには盗聴法案の法的問題点についての解説を、また、国会で盗聴法案反対の動きの中心的存在の一人でもある枝野さんからは、これまでの経過報告と今後の動きについて報告をお願いする予定です。
現在、盗聴法案は、参議院において審議のしかたについて与野党の攻防が続いている状況です。衆議院では審議日程から委員会採決、本会議採決まで、すべて与党側のごり押しや強行採決で通過してしまいましたが、このような法案を通すことを許すかどうかは、「良識の府」参議院議員の見識と存在価値を問われる問題でしょう。
そこで、埼玉県選出の参議院議員に対して、廃案に動くならば熱烈な支持を送るし、法案に賛成したならば次の選挙では絶対に投票しないもんね、というようなアピールを送ることを考えています。有権者として一人一人でできる行動提起も行うことになると思います。
そんな目的もあって標題に「埼玉市民集会」と名付けたのですが、集会自体は、埼玉にお住まいでない方に来ていただいても全く問題ありません。お近くでご都合のつく方のご参加を呼びかける次第です。
なお、集会を呼びかけているのは、埼玉NPO連絡会などの活動を通じて知り合った市民の有志です。日曜日の集会に先立って、6月10日午後2時から埼玉県庁の記者クラブで記者会見を行い、盗聴法案反対の声明を発表する予定です。こちらの方は、現在手分けして賛同者を募っております。
下の文面にご賛同いただけ、記者会見で配布する文書に名前を連ねてもよい、という埼玉在住の方がいらっしゃいましたら、ぜひ橘まで [お名前、住所の市町村名、所属] をお知らせください。これは、声明文の作成の都合上、9日(水)中にお願いいたします。
以上、どうぞよろしくお願いいたします。
橘 雅彦 mtachiba@jca.apc.org
市民の立場からさまざまな活動をしてきた私たちには、六月一日に衆議院を通過した「盗聴法案(通信傍受を含む組織的犯罪対策法)」は、市民が自由に発言し、情報を交換しあう権利をおびやかすものとしか思えません。
この「盗聴法案」には「組織的犯罪のおそれがある場合、捜査機関が通信を傍受することを認める」という条項が含まれています。
この「盗聴法案」が「犯罪的な団体の限られた犯罪にだけ適用される」はずがありません。
あたりまえのことですが、これから電話で話すことや電子メールで送る文書があらかじめわかるはずはないのですから、理由をつけさえすれば、検察や警察はどんな会話も「盗聴」できることになります。実際、盗聴が合法化されているアメリカでは、一九九四年に盗聴された二一〇万通話のうち、八三%、一七五万通話が犯罪に関係なかったということです。
「盗聴」は、その性質上、歯止めがきかなくなるものなのです。
「裁判所の令状が必要だから大丈夫」とも思えません。裁判所が捜査令状などをチェックして却下した例は一〇〇〇件のうち一件あるかないかです。残念ながら、裁判所は検察や警察のいいなりに令状を出しているのが実態です。
会話内容を聞くことができない盗聴の「立会人」に、チェック機能は期待できません。盗聴された本人への報告義務もありませんから、私たちには異議申し立ての権利すら保障されません。
こうした「盗聴」の実態と「盗聴法案」の内容を見れば、この法案が、私たち市民の活動を阻害するものであることは明らかです。
電話をするたび、電子メールを送るたびに「だれかに聴かれているかもしれない。見られるかもしれない」と考えなければならない社会に、私たちは暮らしたいとは思いません。
市民の自由な発言や行動が、健全な市民社会を保障すると信じる私たちは、この「盗聴法案」に反対を表明するとともに、多くの市民が「盗聴法案」に反対の声をあげることを心から呼びかけます。
一九九九年六月■日