注 : 被害者の氏名は、一人ひとりの墓碑銘を私たちの心に深く刻むために、書籍等に掲載された氏名をそのまま使用させていただいています。ただし、加害者や担当教師名等については、個人に問題を帰すよりも、社会全体の、あるいは学校、教師全体の問題として捉えるべきではないかと考え、匿名にしてあります。 また、学校名については類似事件と区別するためと、隠蔽をはかるよりも、学校も、地域も、事実を事実として重く受けとめて、二度と同じ悲劇を繰り返さないで欲しいという願いを込めて、そのまま使用しています。 |
S.TAKEDA |
0611122 | いじめ自殺 | 2009.3..新規 |
2006/11/12 | 大坂府富田林(とんだばやし)市の市立第一中学校の大川理恵さん(中1・12)が飛び降り自殺。 |
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遺 書 | 自宅机のうえに「わたしは自殺します。さようなら」などと書いた遺書が残されていた。 別のメモには姉あてに「ネックレスはあげるね」などと書き込まれていた。いじめに関する記述はなかった。 |
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いじめ態様 | 女子生徒は背が低いことをからかわれたり、足を引っ掛けられる、通せんぼされるなどのいじめを受けていた。 理恵さんの身長にあわせて、男子生徒が中腰で隣を歩いたりした。 バレーボールで、わざとトスを集中させたりした。 上級生のグループが「(理恵さんを)無視しよう」という内容のメールを回していたと証言する生徒もいる。 |
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経 緯 | 10/中旬 体育のバレーの授業で、運動があまり得意ではない理恵さんに他のクラスメートらがパスを集中させていた。 11/6 男子生徒5人が理恵さんの席のまわりを取り囲み、威圧的に大きな声を出すなどしていた。 |
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被害者 | 理恵さんは生まれつきの病気で、成長が遅かった。毎日のように、ホルモン注射を打っていた。 病弱で、運動が苦手だった。 小学校時代から、「チビ、チビ」とからかわれていた。 小学校は中学校に、「身体的特徴をからかわれていた」と申し送りをしていた。 |
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保護者ほかの 認知と対応 |
理恵さんは、「ちびと言われた」と言って怒って帰ってくることがあり、母親が「学校に行って話そうか」と聞くと、「また、いじめられる」と言っていた。 11/11 亡くなる前日、「カラオケに行きたい」ち言い出し、家族でカラオケに行って、夕食にすしを食べた。 2006/11/14 遺族がこれ以上の自殺を食い止めたいと実名報道。 |
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担任ほかの 対応 |
複数の男子生徒が女子生徒を取り囲んで耳元で大声を出すなどしていることに担任教師らが気づき、その場で注意していた。 10/6 理恵さんが、男子生徒らから、耳元で大声を出された際、男子生徒を制止し、注意をしたが、理恵さんにもその場で、「嫌だったの?嫌だったら、はっきりと言いなさい」などと問いかけ、理恵さんは答えにくそうにうなずくなどしていた。 ほかの教師ら9人も情報を共有していたが、校長や教頭に報告せず、改めて生徒への指導も行わなかった。 |
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学校の対応・ ほか |
2006/11/12 校長は会見で、遺族に「(娘が)チビと言われ、悩んでいた」と打ち明けられたことを明らかにし、「生徒に『いじめがあったのなら、正直に打ち明け、私と一緒に謝りに行こう』と呼びかけたい」と話した。 学校側は、自殺といじめの因果関係を「今の段階では不明」としていた。 11/13 学校は全校集会を開いて大川理恵さんの自殺について説明。いじめがあったことを認める。 府教委もカウンセラーら専門家4人を派遣。 初七日の夜、同級生ら約30人が教員に引率されて弔問に訪れた。 |
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作 文 | 2006/11/18 結果を集約し、遺族を含む全保護者に報告。 「通せんぼをした」が5人、「大声をかけた」が4人、「バレーボール」3人、「きつい言葉を言った」3人の延べ15人が自ら加わったことを認めた。 |
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アンケート | 2006/11/13 学校は、いじめの実態解明に向けて、同学年り154人全員を対象にしたアンケートを実施。148人が回答。 アンケートは「いじめがあったとの前提」に立ち、大川理恵さんへの具体的な接し方や感じたことなどを用紙に無記名で記入させた。 2006/11/18 結果を集約し、遺族を含む全保護者に報告。 調査では、理恵さんが「チビ」と言われていたのを、1年の約4割に当たる65人が知っており、何人かの生徒が通せんぼなどの行為を認めた。 理恵さんは、亡くなる約1カ月前のバレーボールの練習中、女子生徒からわざとボールを当てられそうになったほか、約1週間前にも、男子生徒の集団から「元気がないから笑わせて励ます」と大声でからかわれそうになっていた。 11/13 市教委はこの日、教育委員会議と校長会を臨時に開催。他の市立小中学校23校に対しても、いじめの有無を確認する無記名アンケートを早急に行うよう指示。堂山博也・市教育長は「いじめは必ずあるとの認識が大事だ。今後は兆候であっても市教委に報告するよう指導したい」と述べた。 |
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学校・ 教育委員会・ ほかの対応 |
2008/11/18 「いじめが自殺の要因になった」と認める。 | |
参考資料 | 2006/11/12、11/13、11/16、11/19、12/22毎日新聞、ほか | |
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