子どもに関する事件・事故【事例】



注 :
被害者の氏名は、一人ひとりの墓碑銘を私たちの心に深く刻むために、書籍等に掲載された氏名をそのまま使用させていただいています。ただし、加害者や担当教師名等については、個人に問題を帰すよりも、社会全体の、あるいは学校、教師全体の問題として捉えるべきではないかと考え、匿名にしてあります。
また、学校名については類似事件と区別するためと、隠蔽をはかるよりも、学校も、地域も、事実を事実として重く受けとめて、二度と同じ悲劇を繰り返さないで欲しいという願いを込めて、そのまま使用しています。
S.TAKEDA
0611121 いじめ自殺 20093.新規
2006/11/12 埼玉県本庄市で、市立本庄東中学校の男子生徒Aくん(中3・14)が、別のクラスの生徒らに金銭要求されたことなどを苦に、自宅敷地内の倉庫で首を吊って自殺。
経 緯 11/6 男子生徒は友人3人と一緒に、県教委が学校に派遣している「さわやか相談室」の非常勤の女性相談員に、「今月に入ってから別のクラスの生徒らに『500円を返せ』『利子がつくので2万円返せ』と要求されている」「2年生の時も金をとられた」「金は渡していない」と相談していた。

11/8 相談員から報告を受けた学年主任は、Aくんの担任を含む3年生の教師たちに伝え、Aくんかに事情を聞いた。
Aくんは、同じ生徒から、2年生のときも金銭を要求され、1500円払った」と話していた。
学年主任は、Aくんに対して「金銭の要求には応じないように」「また金銭を要求されたら先生や親に申し出るように」と指導していた。一方、加害生徒については、生徒の欠席や学年主任らの出張などの理由で、話を聞いていなかった。

11/10 昼休みに教室前の廊下で、男子生徒が金銭を要求されているのを別の生徒が見ていた。
親の認知と対応 11/11 Aくんは母親に金銭要求の話をし、母親が「大丈夫なの?」と聞くと、「大丈夫。先生にも話したから」と答えていた。

遺族は、「金銭要求が自殺の直接原因」と主張。
加害者 2007/3/ 加害生徒を男子生徒らに対する恐喝未遂容疑で書類送検。
2007/6/ さいたま家裁熊谷支部は、加害生徒を保護処分にする。
事故報告書 2007/1/26 本庄市教育委員会は、「金銭要求はいじめにあたるが、自殺との因果関係は不明」とする最終報告書をまとめた。
市の調査では、Aくんは2年生時から金銭を要求され、3回にわたって計1500円を渡したことが判明。
ただし、3年時は金銭を渡していない、自殺前日、母親に「先生に話しておいたから大丈夫」と話したことを根拠として、「金銭要求が(自殺の)一因となった可能性は否定できないが、原因としては特定できない」とする。

2007/11/15 遺書がないことなどから「自殺との因果関係は不明」とし、文部科学省発表の2006年度のいじめによる小中学校の自殺件数に、入れられない。
法務省の対応 さいたま地方法務局が遺族から申告を受け、関係者から聞き取り調査を実施。その結果、同級生による度重なる金銭要求が人権侵犯事実と認定される。中学校に、再発防止を求める「啓発」を行った。

2008/3/25 「いじめへの対応について(啓発)」とする1枚の文書を校長に手渡す。
法務局は、「学校長はいじめの早期発見と解消のため、速やかに適切な措置をとる義務がある」と指摘。
@いじめ防止への取り組み体制の強化。
A教職員への指導を徹底。
B生徒への人権教育の徹底。
などを求めた。

一方、金銭要求と自殺との関連性については「確認できず、不明」と結論。

※「啓発」とは、法務省訓令「人権侵犯事件調査処理規定」に基づく処理の一つ。小中学校のいじめなどによる人権侵犯が調査で認められた場合、学校側に再発防止を求める「啓発」がなされる。
2006年の人権侵犯事件で、法務省は2万1228件を処理し、内194件が「啓発」
参考資料 2006/11/14毎日新聞、2007/1/27毎日新聞、2007/11/16毎日新聞、2008/3/28讀賣新聞





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