子どもたちに関する事件【事例】



注 :学校名については類似事件と区別するためと、隠蔽をはかるよりも、学校も、地域も、事実を事実として重く受けとめて、二度と同じ事件を繰り返さないで欲しいという願いを込めて、そのまま使用しています。
S.TAKEDA
941114 体罰事件 2005.6.7 2005.6.更新
1994/11/14 東京都東久留米市の市立中央中学校で、男性教師が女子生徒ら6人(中2)に文化発表会で行ったアンケートの集計を指示しことに、女子生徒らは「集計しなくていいって言った」と反論。教師は「もう一度言って見ろ」と言って平手で頬を殴った。にらみ返したK子さん(中2)に、「なんだ、その顔は」「お前らクズだ」と言って、髪の毛をわし掴んで引っ張っり、さらに2度平手打ちした。
経 緯 11/14 道徳の時間中、男性教師が女子生徒ら6人に、文化発表会で行ったアンケートの集計を指示。女子生徒らは「集計しなくていいって言ったじゃない。自分の言ったことに責任もてよ」と反論。
教師は「もう一度言って見ろ」と言って、K子さんが座っていた椅子をけったあと、平手で頬を殴った。にらみ返したK子さんに、「なんだ、その顔は」
「目つきが悪い」「お前らはなんにも分かっていないのに口出ししたり、集団でいじめをしてクズだ」と言って、髪の毛をわし掴んで引っ張り、さらに2度平手打ちした。

その後、K子さんは同教師が担当する社会科の授業をボイコット。
学校・ほかの対応 12/ K子さんの保護者が抗議に行くと、校長と教頭は、「事件は初めて知った」と述べた。
事件報告書 1994/11/ K子さんは、市公文書公開条例に基づいて事件の報告書などの公開を請求。
1995/3/ 教育委員長あての校長名の事件報告書などが開示される。
体罰の翌日、校長らは校内で、体罰の報告を受けており、学校側も体罰の事実を認識していたことが判明。
教師の処分 1995/3/14 K子さんは、同教師を暴行容疑で告訴。
1995/12/26 略式起訴で教師に10万円の罰金
裁 判 K子さんと父親が、東京都を相手取り、計600万円の損害賠償を求めて、民事裁判を提訴。

1996/9/17 東京地裁で、東久留米市と東京都に50万円の支払い命令

園尾隆司裁判長は、「優位な立場にある教師による、授業時間中の感情に任せた暴行。およそ教育に値しない」として、明確に体罰と認定。
「戦後50年を経過するというのに、学校教育の現場において体罰が根絶されていないばかりか、教育の手段として体罰を加えることは一概に悪いとはいえないとか、あるいは、体罰を加えるのにはよほどの事情があったはずだというような積極、消極の体罰擁護論が、いわば国民の『本音』として聞かれることは憂うべきことである」と判事。
そのうえで、「体罰は、将来を担うべき生徒・児童に対し暴力によって問題解決を図る気質を植え付ける」とした。
また、裁判長は主文を言い渡したあと当事者に、「けがをしていないこの事件からみると、賠償額は比較的高額と考えている。それは学校教育の場から体罰を根絶してもらいたいと裁判所が考えているからだ」と、判決理由を口頭でも説明。
誹謗・中傷 1995/3/ 同級生の父母らが、「女生徒はいじめグループに属していた」「正義感の強い教師が女生徒に反抗的な言葉を投げかけられ、それが体罰という形で現れた」と原告の少女を非難する内容の嘆願書を作成し、市教育委員会に提出。

1996/9/ 勝訴判決の直後から、生徒の自宅にいたずら電話が殺到。頼んでもいない寿司や肉が届いたり、「バカ家族」「この世のごみ」などと非難する電話が分刻みでかかる。無言電話が一晩中鳴り続けたこともあった。

生徒と家族は、「教師からいじめに関して指導を受けたことは一度もなく、嘆願書は全くの虚偽。学校に逆らうものが悪い、という意図を感じる」「学校や地域から不当な嫌がらせを受けた」として、同級生の父母ら約10人を相手に損害賠償を起こすことを決めた。
参考資料 1996/9/17毎日新聞(月刊「子ども論」1996年12月号/クレヨンハウス)、判例タイムズ919の182(福祉労働2000-2001Winter/現代書館)、1995/3/17毎日新聞(月刊「子ども論」1995年5月号/クレヨンハウス)、1996/11/28毎日新聞・夕刊(月刊「子ども論」1997年2月号/クレヨンハウス)



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