子どもたちに関する事件【事例】



注 :
被害者の氏名は、一人ひとりの墓碑銘を私たちの心に深く刻むために、書籍等に掲載された氏名をそのまま使用させていただいています。ただし、加害者や担当教師名等については、個人に問題を帰すよりも、社会全体の、あるいは学校、教師全体の問題として捉えるべきではないかと考え、匿名にしてあります。
また、学校名については類似事件と区別するためと、隠蔽をはかるよりも、学校も、地域も、事実を事実として重く受けとめて、二度と同じ悲劇を繰り返さないで欲しいという願いを込めて、そのまま使用しています。
S.TAKEDA
730400 学校災害 2002.2.25 新規
1973/4/ 大阪府高槻市の市立富田小学校の男子児童Yくん(小4)が、友だち4人とカギのかかっていなかった体育館に入り、鬼ごっこをしていて天井裏に入り、天井板を踏み抜いて約5メートル下のコンクリート床に墜落。頭を強く打って死亡。
経 緯 その日、Yくんは運動場で開催されていた少年野球大会を見物していた。
そのうちに、友だち4人と、たまたまカギがかかっていなかった体育館に入り、鬼ごっこを始めた。
Yくんは舞台下手の控え室にある鉄はしごを登って天井裏に入り、ふざけていて天井板を踏み抜いた。約5メートル下のコンクリート床に墜落。頭を強く打って死亡した。
背 景 同小学校では、朝礼や担任教師を通じて、勝手に体育館に入ったり、舞台にあがったりしてはいけないと注意していたが、必ずしも守られていなかった
事故前にも、天井裏でかくれんぼをしていて天井板を踏み抜いて落下する事故が起きていた。
事故当時、危険防止の措置としては、控え室の机の上に、赤色マジックインキで「まもりなさい」、青色マジックインキで「1、この上にあがらない。2、このばしょからうごかさない」と書いてあるだけだった。
裁 判 Yくんの両親が小学校の設置者である高槻市に損害賠償請求。

1976/2/27 1審の大阪地裁で学校側の過失を認める。
判決要旨 判断力に乏しい反面、好奇心と行動力が旺盛でこわいものしらずの児童が、学校側の注意に反して鉄ばしごを登り天井改め口から本件天井裏に入って遊ぶことは十分予測しえたと考えるべきであり、被告(学校側)としては、固定された鉄ばしごをはずし、必要な時だけ移動用はしごを用いるとか、あるいは天井改め口に本件事故後に設けたような蓋板を取り付けて施錠しておくなどして、児童が天井裏に入ることができないような措置を講じておくべきだった」として、学校側の過失を認めた。

一方で、年齢から考えて天井が遊ぶことを目的として設置されたものではないことを十分理解しえたにもかかわらず、朝礼や担任教師による注意さえ無視して天井裏に立ち入ったことに対して、児童にも3割の過失相殺。
参考資料 「賠償金の分岐点 教師が責任を問われるとき」/下村哲夫著/学研教育選書、「学校事故賠償責任法理 私法研究著作集/伊藤進著/信山社出版



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