子どもに関する事件【事例】



注 :
被害者の氏名は、書籍等に掲載された氏名をそのまま使用させていただいています。ただし、加害者や担当教師名等については、個人に問題を帰すよりも、社会全体の、あるいは学校、教師全体の問題として捉えるべきではないかと考え、匿名にしてあります。
また、学校名については類似事件と区別するためと、隠蔽をはかるよりも、学校も、地域も、事実を事実として重く受けとめて、二度と同じ悲劇を繰り返さないで欲しいという願いを込めて、そのまま使用しています。
S.TAKEDA
990600 いじめ事件 2004.8.23新規
1999/6/ 兵庫県神戸市東灘区の市立中学校で、男子生徒Yくん(中1)が、同級生A、Bの2人(中2)から学校のトイレで継続的に暴行を受ける、コンビニエンスストアでの万引を強要などのいじめにあった。いじめはほぼ毎日続き、1年生の2、3学期で少なくとも約500回以上に及んだ。
経緯といじめ態様 中学入学前から、YくんはA、Bらからいじめを受けていた。

1999/ 中学1年の夏ごろからいじめがエスカレート。休み時間にトイレに呼び出され、たばこの火を手に押し付けられたり、学校のトイレで継続的に暴行を受けるなどした。
また、コンビニエンスストアでの万引を強要されるなどした。

いじめはほぼ毎日続き、1年生の2、3学期で、少なくとも約500回以上に及んだ。
裁 判 Yくんは中学校を卒業後、同級生からいじめられ、学校なども適切な措置をとらなかったとして、同級生2人と保護者、市に計500万円の損害賠償と、今後も被告らから暴行等のいじめを継続して受けるおそれがあるとして、いじめの差し止めを求めて提訴。
判 決 2003/2/10 神戸地裁で一部認容。

上田昭典裁判長は、元男子生徒(当時中1)が1999年6月から翌年3月にかけて、学校のトイレで暴行を継続的に受けたと認定。
加害少年とその両親の不法行為責任を認め、慰謝料計100万円の支払い命令。

いじめ差し止め請求については、「平成12年3月18日の教室での暴行を最後に、その後、現在に至るまで原告に対し暴行等の加害行為を行っておらず、今後も行う意思がないことを明言していること、原告も被告から暴行を受けるおそれを現在は感じていない旨供述していることからすると、今後、これが継続されるおそれがあるとは認められない。したがって、上記不法行為の差止めの必要性は認められない」として棄却。

市への請求については、同中学教諭らの過失について「もっと早い段階で措置できなかったのか、疑念は否定できない」としたものの、「原告に対する被告A及び同Bの学校内における暴行を発見できなかったことをもって、本件中学校教諭らのいじめ防止措置が不十分、不適切なものであったと直ちに認めることはできない。また、原告が教室内で被告A及び同Bから暴行を受けたことが発覚してからは、校長を含む本件中学校教諭らの指導と各保護者らも含めた話し合いの結果、被告らによる原告に対する謝罪や、被告C及び被告D(ABの保護者)から原告に対する誓約書兼同意書の差し入れがなされ、それ以降は、被告A及び同Bらによる原告に対する暴行等のいじめは行われなくなったものであり、本件中学校教諭らの指導がその効を奏したことが認められる。」「教諭らはいじめを漫然と見過ごしていたわけではなく、予見し防止する義務を怠った過失があるとまで認められない」として学校側の責任の否定。
控訴審判決 2004/1/ 大阪高裁で、同級生側が計300万円の解決金を支払うことで和解

2004/3/15 大阪高裁(大谷種臣裁判長)で和解


神戸市は和解条項で、一審判決でいじめが認定されたことを真摯に受け止め、遺憾の意を表明し、スクールカウンセラーの配置などを一層充実させ、再発防止に努めるとした。
金銭の支払いはなし。
参考資料 2003/02/112004/03/16神戸新聞、ほか



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