子どもに関する事件【事例】



注 :
被害者の氏名は、書籍等に掲載された氏名をそのまま使用させていただいています。ただし、加害者や担当教師名等については、個人に問題を帰すよりも、社会全体の、あるいは学校、教師全体の問題として捉えるべきではないかと考え、匿名にしてあります。
また、学校名については類似事件と区別するためと、隠蔽をはかるよりも、学校も、地域も、事実を事実として重く受けとめて、二度と同じ悲劇を繰り返さないで欲しいという願いを込めて、そのまま使用しています。
S.TAKEDA
980806 いじめ自殺 2004.8.20新規
1998/8/6 新潟県岩船郡朝日村の朝日中学校の男子生徒Aくん(中2・13)が自室で電気コードを使って首吊り自殺。
遺 書 なし。
経緯といじめ態様 Aくんはサッカー部に所属。

1998/3/頃、1年生のときに、2年生のサッカー部員に不満を言った後、2年生の部員10人と口を聞いてもらえなくなったため一時部活を休んだ。

また、貸した数百円を返すよう求めたところ、殴られるなどのいじめを受けていた。

1998/5/頃、同級生から脚を引っ掛けられるなどの嫌がらせを受け親に相談していた。
その後は元気になって部活を続け、自殺前日もサッカーの練習に参加していた。
調査と報告書 1998/9/ 朝日村教育委員会の委託を受けて、大学教授や弁護士など7人で構成する「中学生徒の自殺にかかわる調査委員会」(委員長:神村栄一新潟大学助教授)が発足。
同中学校生徒からの聴取はしなかったが、計13回の会合を重ねて、事実関係を究明。

1999/2/27 記者会見で調査結果を発表。
いじめが自殺の直接の原因とは断定しなかったが、いじめの事実を確認するとともに、学校側の対応の不手際を指摘した。

報告書では、
「1998/1/ Aくんは、同級生から暴力的ないじめを受けていた。金を奪われたこともあって、保護者同士が話し合い、クラス内のいじめは6月ごろ沈静化した。しかし、部活に舞台を移して陰湿ないじめが続き、夏休みになって生徒が自室で首吊り自殺をした。」と認定。

部活でのいじめが見過ごされた背景に、「教職員相互の情報交換と危機意識の共有化に不足、不徹底があった」とし、学校側が危機意識を持っていれば、自殺という最悪の結果を回避できたとした。

また、「事件後も中学校は対応が遅れている」と厳しく指摘。再発防止策として、「建前だけでなく実質的に機能する教職員連携体制の実践」など5項目を提言。

調査報告書には、学校側が遺族に教えなかったいじめの内容が、2、3含まれていた。
学校・ほかの対応 Aくんが亡くなった夜、弔問に訪れたのは校長だけ。他の教師は訪問を止められていた。
学校側は自殺の原因がいじめだとは一概には言えないとした。

1999/7/末 両親は村に約7000万円の損害賠償を文書で求めたが、村は「遺書がなく自殺の原因は不明。夏休み中で自殺は予見できず、予見可能性もなかった。村に法的責任はない」と回答。また、男子生徒に対するいじめの事実を認めながらも、暴行は「部活動参加を促す際に行われた」とし、いじめは当事者同士の話し合いなどで「終息に向かっていた」と指摘。謝罪を求める両親側の和解案を拒否。
加害者 1999/7/ いじめた同級生のうち2人が暴行容疑で家裁新発田支部に書類送致され、1人が不処分、1人が試験観察処分。
2000/ いじめた側の生徒3人の親と話し合い、それぞれが和解金を支払って示談になった。
裁 判 2001/3/2 息子が自殺したのは、いじめが原因で「学校側が安全配慮義務を怠ったため」として、両親が同村に対して逸失利益や慰謝料など計約7580万円の支払いを求める訴訟を新潟地裁新発田支部に起こした。

父親は「村は学校側の責任を一切認めず、話し合いにも応じてくれないので、提訴しかなかった」と語る。
判 決 2003/12/ 新潟地裁は村に対して、「学校は自殺の予見は不可能だったが、生徒に対する安全配慮を怠った」として、両親に計230万円を支払うよう命じた。
参考資料 1999/2/28、1999/11/23、2001/3/3新潟日報、2003/12/18朝日新聞ほか



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