子どもたちは二度殺される【事例】



注 :
被害者の氏名は、一人ひとりの墓碑銘を私たちの心に深く刻むために、書籍等に掲載された氏名をそのまま使用させていただいています。ただし、加害者や担当教師名等については、個人に問題を帰すよりも、社会全体の、あるいは学校、教師全体の問題として捉えるべきではないかと考え、匿名にしてあります。
また、学校名については類似事件と区別するためと、隠蔽をはかるよりも、学校も、地域も、事実を事実として重く受けとめて、二度と同じ悲劇を繰り返さないで欲しいという願いを込めて、そのまま使用しています。
S.TAKEDA
970413 いじめ自殺 2002.2.13、2003.4.6 2003.6.25更新
1997/4/13 静岡県駿東郡御殿場市の私立高校の男子生徒(高2・16)が、中学時代の同級生2人(17)に恐喝や暴行され自宅で首吊り自殺。
遺 書 「親からもうお金をとれません」「楽しかった。こんなことで死ぬなんて友達に申し訳ない」「友人に15万円返さないといけない」などと記した遺書を残していた。
経 緯 1997/2/22 中学時代の同級生の土木作業員の少年(17)と高校生の少年(17)の2人が、男子生徒を脅し、金を貸したように見せかけ、高校生の父親から15万円を受け取り、さらに10万円を要求。
4/上旬 男子生徒から計16万円を脅し取った。
4/11 同郡の河川敷で生徒の顔を木刀で殴り、前歯2本、鼻の骨を折るなどのけがをさせた。
4/13 恐喝から解放された約1時間後に自宅で自殺。
親の認知 男子生徒は家族に、「友人に金を借り、返してくれと言われている」などと話していた。
友人の対応 男子生徒は学校の友だちに「殴られたりして嫌な思いをしている」ともらし、「担任に相談してみたら」などとアドバイスをされていたが、「学校の外のやつらだから」と学校には言わなかった。
加害者への処分 1997/5/7 沼津署が、少年2人を恐喝と傷害容疑で逮捕。
静岡家裁沼津支部は、2人を中等少年院送致を決定。
裁 判 1998/4/ 男子生徒の両親が、同郡の元土木作業員(20)、元高校生(20)の2人とその両親を相手取り、慰謝料など約1億1000万円の損害賠償を求めて提訴。
原告側の主張 男子生徒の両親は、息子が自殺したのは中学時代の同級生2人に恐喝、暴行されたためと主張。
また、「加害少年の親は、自分の子どもが同級生や近くの高校生を恐喝したり暴行を加えたりしているのを知りながら放置し、監護義務を怠った」と主張。
判 決 2001/4/18 静岡地裁沼津支部で、高橋祥子裁判長は、加害者2人に計7700万円、親には約1100万円、総額約8800万円の支払い命令

裁判長は、「計り知れない苦痛を受けた被害者の悲惨な状況を考えれば、極度の恐怖心から逃げるため自殺を選ぶことは予見可能だった」「おとなしい性格につけ込んで恐喝行為を繰り返した末に自殺という結果が生じた」と恐喝行為と自殺の因果関係を認定
恐喝行為を知らなかったとした2人の親については、「自殺まで予見不可能で、監督義務違反と自殺に因果関係はない」が、「恐喝、暴行の不法行為は親が十分指導すれば回避できたはずで、過失があった」責任を一部認定。
また「恐喝行為は極めて悪質で、被害者に過失はない」と自殺による過失相殺はゼロとした。
参考資料 2001/4/19讀賣新聞、2001/4/19京都新聞、2001/4/19日本経済新聞、2001/4/19共同通信(佐賀新聞サイト)、1997/4/16毎日新聞(「いじめ問題ハンドブック」/高徳忍著/つげ書房新社)1998/4/2信濃毎日新聞(月刊「子ども論」1998年7月号/クレヨンハウス)



ページの先頭にもどる | 子どもに関する事件 1 にもどる | 子どもに関する事件 2 にもどる

Copyright (C) 2000 S.TAKEDA All rights reserved.