子どもたちは二度殺される【事例】



注 :
被害者の氏名は、一人ひとりの墓碑銘を私たちの心に深く刻むために、書籍等に掲載された氏名をそのまま使用させていただいています。ただし、加害者や担当教師名等については、個人に問題を帰すよりも、社会全体の、あるいは学校、教師全体の問題として捉えるべきではないかと考え、匿名にしてあります。
また、学校名については類似事件と区別するためと、隠蔽をはかるよりも、学校も、地域も、事実を事実として重く受けとめて、二度と同じ悲劇を繰り返さないで欲しいという願いを込めて、そのまま使用しています。
S.TAKEDA
960426 いじめ自殺 2003.6.22 2003.8.更新
1996/4/26 早朝、茨城県関城町の町立関城中学校の女子生徒Aさん(中2・13)が自宅の物置で首吊り自殺。
遺 書 遺体の近くから真新しいB5サイズの大学ノートの1ページに鉛筆で書かれた遺書が見つかる。
「たぶん私はこの場にはいないでしょう。見つかった時には、私はもう死んでいるでしょう。自分の悪口を言われたら、みんな自分のせいにされたら、いやになっちゃうよね。みんなは、そんなこと気にするなと言っているけどつらい」「人間がいるかぎりいじめはなくならない」などと書いてあった。
男子生徒2人と女子生徒1人の名前が書いてあった。
文中には「いじめ」という言葉が数回、繰り返されていた。
経 緯 4/25 Aさんは、「どうやったら死ねるか」などと、友人に尋ねていた。
アンケート 学校は職員会議を開き、5時間目の授業で全校生徒を対象に緊急アンケート調査を実施。自殺の原因として思い当たることについて、無記名で書かせた。
結果、2、3年生から「自転車のタイヤにカバンのひもをぐるぐるまかれ、いたずらされていた」などの記述があった。また、Aさんは仲間から悪口を言われて悩み、自殺をほのめかす話をしていたことが判明。
いじめ態様 悪口を言われた。自転車のタイヤにカバンのひもをぐるぐるまかれ、いたずらされていた。
被害者 1年生のときに5日間欠席しただけで、2年生になってからは1日も休んでいなかった。
所属していた卓球部は休みがちだった。
担任の対応 担任教師と生徒が悩みごとや学校でのできごとなどを毎日、日記につづり交換する「活動の記録」を続けているが、Aさんの記録には、いじめなどに関する記述はなかった。
学校の対応 同校では、週に1度、学年副主任3人と生徒指導主事らが集まり、生徒指導部会を開いているが、Aさんについては今まで1度も話題になることはなかった。

1995/6 県のいじめ調査で、同校からは7件のいじめが報告され、Aさんの学年(当時1年生)には3件のいじめがあった。言葉によるいじめや無視が多く、ほとんどが解決していた。
参考資料 1996/4/27朝日新聞(「いじめ問題ハンドブック」/高徳忍著/つげ書房新社)、1996/4/26中国新聞・夕刊、1996/4/27西日本新聞(月刊「子ども論」1996年6月号/クレヨンハウス)



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