子どもに関する事件【事例】



注 :
被害者の氏名は、一人ひとりの墓碑銘を私たちの心に深く刻むために、書籍等に掲載された氏名をそのまま使用させていただいています。ただし、加害者や担当教師名等については、個人に問題を帰すよりも、社会全体の、あるいは学校、教師全体の問題として捉えるべきではないかと考え、匿名にしてあります。
また、学校名については類似事件と区別するためと、隠蔽をはかるよりも、学校も、地域も、事実を事実として重く受けとめて、二度と同じ悲劇を繰り返さないで欲しいという願いを込めて、そのまま使用しています。
S.TAKEDA
930506 いじめ自殺 2003.2.11. 2003.7.21 2005.6.7更新
1993/5/6 秋田県合川町の公立合川高校の寮生・大槻浩一くん(高1・15)が、連休明けに鹿角市の自宅前で首吊り自殺。
経 緯 1993/4/ 入学と同時に入寮。寮の上級生やクラスの同級生など十数人にいじめられていた。

5/ 自殺の直前、中学時代の友人に「いじめられるから学校へは戻りたくない」と話していた。
いじめの態様 学校の休み時間には、メガネをかけていたことから、メガネザルの物真似をさせられたり、歌や踊りを強要された。カレーうどんに大量の唐辛子を入れられ、食べるよう強要されていた。

入部したテニス部で、だれも練習相手をしなかった。

寮で、上級生から目覚まし時計を使わずに目をさますよう言われ、寝過ごすことを恐れて、ほとんど眠ることができなかった。

かばってくれる友人もいなかった。
学校・ほかの対応 学校は、「悪ふざけやからかいがあったことは分かったが、いじめといえるかどうかはっきりしなかった」と説明。
裁 判 1994/12/20 遺族が同級生らによるいじめが原因として、学校を設置・管理する公立高等学校組合に慰謝料など6870万842円の損害賠償を求めて提訴。

1996/11/22 秋田地裁で全面棄却。 。
判決要旨 片瀬敏寿裁判長は、学校側が業者に委託した指導調査で、いじめに関する記述がなかったことなどから、「いじめはなかった」と認定。そのうえで、一定のいたずら・いやがらせの事実を認定したが、自殺との事実的因果関係否定。

「浩一をめぐって、……『いたずら』や『いやがらせ』の事実が存在し、これに対し、浩一は、そのおとなしく内向的できの弱い性格や幾分奉仕的な傾向から、表面上は自発的に応じたり、嫌な顔をせずにいたことが見受けられるが、内心は、かかる表面上の振る舞いとは裏腹に、学校生活になじめない出来事の一つとして悩んでいたものと推察される。

しかしながら、……浩一の○○高校における意欲、態度及び能力、浩一の中学卒業直前に職業訓練校から普通高校へ進路変更した経緯、特にそれが浩一の希望でなはなく家族、当時の担任、本人の面談の結果決められたこと、加えて前記心理テストの結果を総合すると、浩一は当初から学業生活に充実感を抱けず、高校に進学したこと自体、不本意のまま、今後の学校生活に関し、不安を持ち、家族の者らと意見の対立ないし葛藤があったものと推認でき、このような面において、浩一には看過できない精神的負担が生じていたものと考える余地が多分にある。」

「浩一の自殺の時期が入学間もない5月の連休明けであって、学校生活も短期間であったこと、浩一の受けた『いたずら』や『嫌がらせ』は特定人から長期間にわたり執拗に行われてきたものではなく、その内容や程度も深刻なものではないこと、遺書や日記など浩一の心情を直接知ることのできる資料が存在しないこと、浩一の家庭の雰囲気、家庭生活の状況、親子関係等も明らかになっていないこと、及び、一般に自殺の心理構造やその環境要因、素質的要因に対する解明は容易ではないことを考慮すれば、本件においては、浩一の自殺の主たる動機を判定することは困難というべきであり、したがって、浩一の自殺の主たる動機が浩一の受けた『いたずら』や『嫌がらせ』であると推認することができないものと言わざるを得ない」
その後 原告控訴後、和解。
参考資料 「ルポいじめ社会 あえぐ子どもたち/村上義雄/1995.5.15朝日文庫、1994/12/21讀賣新聞(月刊「子ども論」1995年2月号/クレヨンハウス)1996/11/22産経新聞・夕刊(月刊「子ども論」1997年2月号/クレヨンハウス)



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