注 : 被害者の氏名は、一人ひとりの墓碑銘を私たちの心に深く刻むために、書籍等に掲載された氏名をそのまま使用させていただいています。ただし、加害者や担当教師名等については、個人に問題を帰すよりも、社会全体の、あるいは学校、教師全体の問題として捉えるべきではないかと考え、匿名にしてあります。 また、学校名については類似事件と区別するためと、隠蔽をはかるよりも、学校も、地域も、事実を事実として重く受けとめて、二度と同じ悲劇を繰り返さないで欲しいという願いを込めて、そのまま使用しています。 |
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910423 | 暴行致死 | 2003.2.11、2003.11.29更新 |
1991/4/23 | 福島県白河市の市立中学校で、体育の授業中に吾妻和光(かずあき)くん(中1・12)が同級生から「失神遊び」を仕掛けられ、失神して倒れたところを集団で暴行され、4日後(4/27)に死亡。 | |
経 緯 | 体育の授業中、校庭で100メートル走のタイム測定直後、同級生(中1)に和光くんは後ろから腕で首を締められ失神、その場に倒れた。これを見た周囲の生徒たち数人が、砂をかけたり、和光くんの胸や腹の上に馬乗りになったり、鼻をつまむなどした。 担当教師は、残り全員の測定を終えた時点で、ようやく異変に気づき、気道確保しないまま人工呼吸や心臓マッサージなどを行った。和光くんはすでに呼吸、脈拍がなかった。 担当教師が、他の教師2人に救急車を呼ぶように頼んだが、「安易に呼ぶべきでない」と言われ、通報が遅れた。(遺族の主張) |
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背 景 | 同中などで、一時期、相手の首を締めたり、胸を突いたりして気絶をさせる「失神遊び」と呼ばれる遊びが流行していた。 | |
学校の調査 | 学校は和光くんの死後、体育の授業に参加した生徒たちに、無記名で見たことを書かせたりしたが、和光くんが倒れた周りにいた生徒たちに直接、事情を聞くことはしなかった。 | |
学校の言い分 | 校長は、「医者が急性心不全という病死の判断をしている以上、学校としては、犯人捜しのようなことはできなかった」と話した。 | |
遺族の調査 | 生徒42人中40人の生徒から話をきく。 | |
裁 判 | 1992/9/21 両親は「息子が死亡したのは級友の暴行が原因で、学校の安全管理、救急体制などに問題があった」として、学校設置者である白河市を相手どり約9377万円の損害賠償を請求して提訴。 | |
判 決 1 | 1997/4/24 福島地裁郡山支部 一部認容。4970万8900円支払い命令。 市側控訴。 |
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判 決 2 | 1999/2/24 仙台高等裁判所で、逆転敗訴。 学校側に責任なしとした。最高裁に上告。 |
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参考資料 | 1992/9/22讀賣新聞(月刊「子ども論」1992年11月号/クレヨンハウス)、判時1182号(いじめ裁判/季刊教育法・臨時増刊号2000年9月/エイデル研究所)、「もぎとられた青春」/浅見洋子/花伝社 | |
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