注 : 被害者の氏名は、一人ひとりの墓碑銘を私たちの心に深く刻むために、書籍等に掲載された氏名をそのまま使用させていただいています。ただし、加害者や担当教師名等については、個人に問題を帰すよりも、社会全体の、あるいは学校、教師全体の問題として捉えるべきではないかと考え、匿名にしてあります。 また、学校名については類似事件と区別するためと、隠蔽をはかるよりも、学校も、地域も、事実を事実として重く受けとめて、二度と同じ悲劇を繰り返さないで欲しいという願いを込めて、そのまま使用しています。 |
S.TAKEDA |
001013 | いじめ自殺 | 2001.1.8. 2001.9.14 2005.12.8更新 |
2000/10/13 | 千葉県市原市の市立有秋中学校の女子生徒(中3・15)が、午後4時過ぎ、自宅の裏の木にロープのようなものをかけて首吊り自殺しているのを家族が発見。 | |
遺書・他 | 自宅の机の中から「早く楽になりたい。あいつらは絶対許さない。復讐してやる」などと書かれたメモが見つかった。 | |
経 緯 | A子さんは、小学校2年生のときから同級生にいじめられており、小学校4年生のときに自殺未遂をしていた。 中学生になっても入学直後から、いじめられていた。 中2になってクラス替えがあってから、いじめがひどくなった。中2から、仲のよい3人の親が交代で、学校の途中まで車で送っていた。 いじめがひどくなってきた2学期半ば頃から、A子さんは、同じ学校の生徒のジャージ姿を見ただけで、「気持ち悪い」と吐き気をもよおすようになっていた。 いじめは3年生になっても続いていた。 亡くなる2週間前、A子さんはトイレの中で友人に、「どうやったら、いじめ、なくなるの」「あいつら絶対許さない。復讐してやる」と言っていた。同学年の男子生徒5人の名前をあげて「死んでのろう」「化けてでてやる」と言っていた。友人が「あともうちょっとだからがんばろうよ。みんなと一緒に高校行こうよ」と言うと、「もう疲れた」とこぼした。 A子さんが「担任は役立たずだから」と言っていため、友人はこのことを担任に告げなかった。 学校は、これまで学級会を開いたり、いじめていた男子生徒と別のクラスにするなどの対応を取っていた。 2000/6/ 女子生徒は手首を切る自殺未遂を起こしていた。 10/13 女子生徒は3年生になってから学校を休んでいなかったが、この日は欠席していた。 |
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いじめの主な内容 | 中1から中3の亡くなるまで、ほぼ毎日のようにいじめは続いていた。 同級生の男子生徒4、5人から、机の表面に「死ね」と書かれたり、「大魔人、死ね。パンパン」などと撃つまねをされるなどのいじめを受けていた。 すれ違うとき、「臭い」「死ね」などいろんな悪口を浴びせていた。 仲間をわざとA子さんにぶつけ、ぶつけられた生徒は「腐る」と言って他の人間にタッチする。(バイキンごっこ) 本人がいないときに、持ち物を蹴っ飛ばしてサッカーボール代わりにしたり、イスを投げてベランダに出したりした。 学校を休んだ際に、本人の目の前で机に花を置いて拝む葬式ごっこをした。 昼休みにライターでA子さんの机を燃やしたり、教科書を破ったり、机に字を彫ったりした。 自転車を壊したりした。 |
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学校・ほかの対応 | 校長は、「2年生の3学期に、クラスメートの力でいじめがなくなった。3年生になる時、念のため男子生徒とクラスを別にし、それ以降は、いじめの事実を学校側は認識していなかった」「その後もいじめが続き、自殺したなら、いじめを見落としており、無力感と責任を痛感している」と話した。 10/14 A子さんの死の翌日から、3年生全員を対象に担任教師と生徒との一対一の面接が始まった。一人2〜3分だったが、A子さんと親しかった友人は長かった。 10/16、朝、緊急の全校集会を開いて悲報を伝えた。 道徳の時間に、生徒たちに「A子さんへの作文」を書かせる。 |
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警察の対応 | 教師や生徒たちに事情聴取を行う。 | |
学校・ほかの対応 | 学校側は6月の自殺未遂について、「手首にけがをしたと聞いており、自殺未遂とは知らなかった」と釈明。いじめの具体的内容を市教委に報告をしていなかった。同市学校教育課には、女子生徒に対するいじめが「昨年(1999)の2学期までに解消していた」と報告していた。 | |
加害者 | 最低でも25人、本格的にいじめていたのは15人。繰り返しいじめていたのは男子生徒5人。(生徒たちの証言) 10/16 学校で集会があった日の放課後、男子生徒20数人が集まって対策を立てていた。主犯格の名前をバラした人間を探していた。 |
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関 連 | 同中学から同市学校教育課に報告されたいじめの件数が、女子生徒が入学した1998年度は25件、1999年度が13件発生していた。過去2年間で38件に上る。 | |
調 査 | 東京新聞の取材に対し、ある同級生は、「繰り返していじめる子は4、5人いた。今年になってからも、女子生徒へのいじめはあった」と証言。 | |
裁 判 | 2001/10/ 両親が、自殺したのは学校での男子生徒のいじめが原因として、市原市や男子生徒などに総額約4400万円の損害賠償を求めて提訴。 市に対して、教師がいじめの事実を把握し、生徒らに適切に注意していれば、自殺を防ぐことができたはずと主張。また、両親がいじめの実態を報告するよう求めても、学校側は十分な調査すらしていないとし、市が調査・報告義務に違反しているとした。 |
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裁判結果 | 2005/12/26 千葉地裁で和解(予定) 市川市と千葉県がそれぞれ150万円を、男子生徒5人が計300万円の総額600万円を支払い、「市は、いじめ問題があったことを認めて謝罪し、再発防止を徹底する」の内容を和解条項に盛り込むことで合意。 |
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参考資料 | 2000/10/16毎日新聞、2000/10/16読売新聞、2000/10/17東京新聞、2001/9/10朝日中学生ウイークリー、2005/11/28共同通信 | |
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