2015/4/28 | 特別支援学校で起きた教師による児童虐待裁判(4月24日)の傍聴報告。 | |
2015年4月24日(金)、さいたま地裁105号法廷で、13時30分から、2011年に埼玉県三郷市の特別支援学校で起きた教師による児童虐待の民事裁判(平成26年(ワ)第148)の教頭と校長の証人尋問を傍聴した。 裁判官は針塚遵裁判長、荻原弘子裁判官、佐藤知弥子裁判官。 法廷と、針塚裁判長は、埼玉県さいたま市立小学校のやはり女性教師による女子児童(当時小2)への体罰・暴言裁判と同じ。(こちらも、原告代理人は杉浦ひとみ弁護士ほか) 傍聴人は25人前後。後方に記者席が設けられていたが、数名程度だった。 加害教師や内部告発した教師、原告である被害児童の保護者の尋問は約1週間前の4月17日。 裁判の予定を知ったのが前日で、残念ながらこの回は傍聴できなかったが、傍聴した人の話では、加害教諭の証人尋問の時に、なぜか法廷についたてが用意されて、その姿は傍聴人から隠されていたという。 過去に子どもが性的被害にあった母親の尋問で、ついたてが立てられたのを傍聴したことがあるが、加害者側にこういう配慮がされるのを初めて知った。 事案概要は、原告(被害者の男児側)代理人の杉浦ひとみ弁護士のフェイスブックから引用する。 <事案の概要> 特別支援学校に通っていた小学校1年の男児。 ムコ多糖症という難病(生存10〜15歳までともいわれている)で、知的障害もあり、ほとんど話す力はない。 30代の女性教員から、ほおを叩かれたり、蹴られたり、つねられたりという暴力の他言葉での傷付けが日常的にあった(クラスの他の児童も被害あり)。 1年の初夏から、夜驚、夜泣き、起き上がって「せんせいが、せんせい が・・・」と泣きじゃくって母親にすがる、などあり。 同クラスの介護職員が、管理職に同教員の暴力暴言を止めてくれるように伝えるも学校は放置。 証拠がないと管理職も動かせないと覚悟を決めて職員はICレコーダーにクラスの状況を録音。 学校との弁護士交渉あり。やっと事故報告がなされ1年後、教員・管理職は懲戒処分を受ける。 しかし、教員は事件は否認。 母親は、短い子どもの人生を楽しく過ごさせたいと思い、専門の学校に託したにもかかわらずその中で子どもたちが苦しんでいた。一日一日が貴重な子どもの命なのに。 母親は学校を信じており、そのようなことが起こっているとまったく想像だにしていなかった。 面倒をかけていると思っていた。うかつだったと母親も自分を責めているが子どものために戦うと、立ち上がった。 以下、当日の傍聴メモをもとに書いてみた。 (音で聞いてもどのような漢字を当てはめるのか、意味がわからない用語があったり、事案の時系列が頭に入っていない状態で聞いている。プラス聞き漏らしや聞き違い、記入漏れも多いので、正確性には自信がない。およそ、このようなやりとりがあったということを文脈の中から読み取っていただきたい。) |
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最初にS教頭の人証しらべ。その間、校長は傍聴席を出る。 主尋問は被告代理人の埼玉県代理人から。 Q:A教諭はどのような先生か? A:障がい児高等部の卒業後の進路に熱心。特別支援学校の経験は5年。 Q:それまでに指導上の問題を聞いたことは? A:ない。 Q:副担任のB教諭はどのような先生か? A:子どもの指導が丁寧。まじめ。 Q:今まで、何か問題は? A:とくにない。 Q:A教諭とB教諭との関係は? A:仲が良い。B教諭はA教諭の母親的存在。この件が起きる前は、うまくいっていると思っていた。 Q:どういう意味か? A:10月26日、今回の件で事情聴取した時、A教諭は感情的になり、B教諭の悪口が出てきた。 Q:B教諭からの相談について。 A:平成23年5月20日、B教諭がXくんの保護者の連絡帳をもとに、Xくんが教師からほっぺたをつねられたと書かれたが、どうしましょうと相談してきた。 Q:その連絡帳を見て、事実確認はしたのか? A:しなかった。A教諭に乱暴とかなかった。またB教諭から連絡帳を教頭に見せたのが自分だと知られると困る、子どもにもあたられても困ると言われた。 Q:校長に報告は? A:校長は、登校時や授業中に校内巡視するようにと言われた。 Q:連絡帳のことがあってからは、どのように対応したのか? A:それまでより意識してみていた。基本的には毎日、クラスの授業、朝、昼、帰りと見た。 Q:巡視で気づいたことは? A:気になることはなかった。 Q:B教諭から録音のことは? A:相談を受けた。授業の様子を録音してよいか。A教諭の言葉が荒いから保護者に訴えられたら困るからということを言っていた。 私はプライバシーの侵害になる、盗聴になる。違法性があるからだめだと言った。また、新年度が始まったばかりで、担任との信頼関係が崩れるのを心配した。 Q:だめと言われたのにB教諭は録音した? A:だめと言われたが録音したので聞いてほしいと言われた。6月末から7月頃。私は録音を聞かないと言ったが、どうしても聞いてくれと言われて、校長室で聞いた。 Q:録音を聞いてどう思ったか? A:よく聞き取れなかったというのが印象。B教諭から説明を受けた。ここが叩かれたところ、これが乱暴な言葉がけなど。2〜3分と短かった。 Q:言葉づかいは聞き取れたか? A:よく聞き取れなかった。「人の助けを…」となんとなく聞こえた。叩くくような音はわからなかった。 Q:事実確認はできたのか? A:事実確認というところまではできなかった。 Q:校長には報告したか? A:報告しなかった。よく聞き取れなかったので。また、録音はだめだと言ったのに録音したものは個人的なものと捉えた。 Q:7月5日について。 A:Xくんの保護者から、個人面談のあと管理職と話したいと言われた。前にはA教諭に直接聞けなかったので、A教諭に聞くよい機会だと思った。 Xくんの保護者は連絡帳をもとに、ほっぺたを叩かれたり、つねられたりしているようだから、調査して報告してほしいと言われた。 B教諭とC教諭に、連絡帳の内容について「どういうこと?」と確認した。 C教諭は、荒い言葉かけがあり、Xくんの頬を向かせる時に叩いたと捉えられると言った。B教諭もほぼ同じで、両手で頬をはさむように、叩いたと言えば叩いたと言った。A教諭は夏休みだったので、8月の後半に出勤した時に確認した。 Q:A教諭は何と言ったのか? A:A教諭は、「叩いたり、つねったりしていない。ただし、こっちを向かせる時に叩いたと捉えられても仕方がない」と言った。 Q:Xくんの保護者には? A:A教諭に事実確認したあと、もう一人の教頭とXさん宅に行った。不適切と思われる行動があった謝罪した。父親は、「息子に手をあげられなければよい」と言った。 Q:その後は? A:新学期になって、3人の教師にXさん宅に説明に行ったことを話し、誤解を招くような指導をしないことや何かあったら管理職に報告すること、どの子どもも分け隔てなく接することなどを指導した。 Q:分け隔てなく接するとは? A:8月に私と校長がA教諭と話した時に、「そんなことを言われるなら、Xくんと関わりたくない」と言われた。そんなことを言われないよう、再度確認した。 Q:足のあざについて。 A:子どもたちの登校前に、「Xくんの足にあざがある」とB教諭から連絡を受けた。すぐに校長に報告し、もう一人の教頭と私と校長で、確認したところ、Xくんの足には明らかにあざがあった。 担任に10月25日に聞いたが心当たりがないという。連絡帳には9月にもあざができていたとあった。 担任団に確認したが、原因はわからないという。 9月のあざについては、9月の最初の頃、A教諭がXくんの足を蹴った。そこであざができたかどうかはわからないと、B、C教諭が言った。 Q:A教諭に確認したか? A:10月25日は、A教諭は出張中だったので、26日に確認した。あざの件はわからない。9月12日の件は、「私は蹴っていない」と言った。 Q:その時のA教諭の様子は? A:非常に感情的になって、B教諭の悪口が出てきた。「新学期スタートの時に注意されて、そんなことをやるはずないでしょ」と語気を荒げた。そのあと、帰られて、ずっと休んでいる。 26日以降、A教諭に電話連絡してもも一切、応じてもらえなかった。 Q:A教諭を担任からはずしたのか? A:ちがう、1週間置きにローテーションを組んでいたが、A教諭とX君が組まないようにした。 Q:Xくんの保護者に報告は? A:電話したうえで、直接、会って説明した。学校としては8月に謝罪している。2度あった。申し訳ないと謝罪した。 Q:12月24日に県教委から連絡が来たのか? A:Xくんの保護者から訴えがあって、Xくんのほっぺたをつねったり、蹴ったりししたのか、事実確認をしてほしいと言われ、B、C教諭に確認した。 Q:Yくんの話は? A:11月にXくんがほっぺたをつねられた、蹴られたというなかで、Yくんの話が出た。 A教諭がずっと病気休暇をとるようになってから、B教諭がはっきりと、A教諭がつねった、蹴ったと断定的になってきた。 A教諭と同じ学習グループのD教諭に確認したところ、A教諭の荒い言葉がけは聞いたが、手をあげることはなかったと言った。隣のクラスの担任にも確認したが、荒い言葉がけはあるが、暴力は見たことはないということだった。 Q:12月の保護者会での録音テープについて。 A:X父が授業を録音した音を流した。A教諭の荒い言葉がけやたたいた音が入っているということだった。 Q:それは1学期に聞いたものと同じか? A:同じものだと思う。 Q:音は鮮明だったか? A:12月に聞いた時には音量があり、鮮明だった。6月よりはっきりしていた。荒い言葉がけはわかった。パチンという音は入っていたが、何を叩いたかはわからない。X父が、音を手書きで落としたメモを持っていた。 Q:ICレコーダーは預かったのか? A:県教委への報告書を書くために預かった。同じクラスの保護者がCDに焼いてくれて、聞いた。 私と、もう一人の教頭と、B、Cが2手に分かれて5日間パソコンで聞いて、メモをとった。 Q:Yくんについては? A:1月後半の保護者会で、保護者から虐待ではという訴えがあった。 Q:Yくんについてはここで初めて問題になったのか? A:Yくんは障がいのたいへん重い、配慮が必要な子ども。A教諭はよく母親と連絡をとって配慮していた。はじめて問題になった。 ここから、A教諭の代理人の質問。 Q:校内巡視はずっとやっていたのか? A:それまでもやっていたが、5月20日以降、Bから話があってからは、意識して行ってた。出張の時以外、ずっと続けていた。 Q:巡視の際、クラスの中で大騒ぎをしていたら、わかるのか? A:わかる。クラスによって教室のつくりが違うが、このクラスはだいたいオープンになっていたので、音がわかる。 Q:9月2日にX宅に伺ったあと、担任団に何かあれば管理職に報告するようにと話したということだったが、それ以前はクラスに問題があれば、管理職に報告する体制はとられていたか? A:とっていた。 Q:Bがトラブルを報告できなかった事情はあるか? A:ないと思う。 Q:S教頭はA教諭の暴言や暴力は見なかった? A:見ていない。見ていたら、事実確認している。 ここから、原告代理人弁護士から反対尋問。 Q:前回の裁判は傍聴していたか? A:はい。 Q:B教諭から、A教諭に対して指導を入れてほしいという要望は? A:全くない。 Q:先ほど、B教諭から、X母から連絡帳に書かれたがどうしましょうと相談されたということだったが、どういう意味にとったのか? A:わからなかった。 Q:5月20日に、B教諭はA教諭がほっぺたをつねったのを見たと言っているが? A:7月29日、8月9日に聞いたときには、つねったところを見たとは言っていない。自分の記憶ではない。 Q:5月20日にA教諭がつねったというX母からの連絡帳にはあったが、B教諭から見たという報告はなかったというが、A教諭には確認しなかった。校長には伝えて、事実確認しなさいという指示はなかったのか? A:なかったと思う。 Q:学校がとった対策は校内巡視だけか? A:はい。 Q:ほっぺたをつねったというのは体罰ではないのか? A:不適切な指導、体罰かなと思う。 Q:県教委に報告はしたか? A:この段階ではしなかった。A教諭から叩いたかどうか事実確認が本人からできなかったので。 Q:できなかったのではなく、しなかったのではないか。事実確認しなさいと言われなかったのか? A:…記憶があいまい。 Q:B教諭が録音した理由は? A:保護者から責められる、訴えられたらいけないということだった。何をこの人は言っているんだろうなと思った。 Q:6月14日の音について。一番最初、パチンという音は聞いたか? A:聞いていない。 Q:録音は通して聞いたのか? A:B教諭がブチブチに短く切って聞かせた。 ここで、法廷のスピーカーで音を再生。 教師の強い言葉、児童の名前を何度も言う。 明らかにイライラしている様子。 バチンという大きな音。 「しっかりしなさい」の怒鳴り声のあと、再びバチンという大きな音。 児童の泣き声。 Q:このあたりか? A:わからない。6月に聞いたのがどの場面なのか、聞き取りにくかった。 Q:ちゃんと聞かなければいけないとは思わなかったのか?相手は小学1年生の障がいがある子どもなのに? A:その時は思わなかった。十分、聴き取れなかったので思わなかった。 Q:体罰の危険性は? A:感じていなかったと思う。録音はB教諭の個人的なもので、無断で行われたので、事実確認かできる内容ではなかったので。 Q:7月15日、X保護者から相談があって、A教諭に確認している。外部から申し出があった時には確認するが、内部から告発があった時には、事実確認をしなくてよいのか? A:そういうことはない。B教諭から連絡帳を見せたのは自分だとわかると困ると言われたから。 Q:7月29日、8月9日、B教諭とC教諭に、誰について、いつの話について聞いたのか? A:5月20日の連絡帳について聞いた。 Q:先ほどS教頭は、「C教諭はA教諭がXくんのほほをはさんで顔を向けた」と証言したが、教委の聞き取り記録には、C教諭はA教諭が手を出すのは見たことがないと言ったと答えている。B教諭は19日に叩かれたと言っているとあり、証人(S教頭)が言ったことと違う。 A:…ほう。 Q:A教諭はXくんを叩いたことを認めていない。他の先生は? A:叩いたと言われたら、叩いたととらえられても仕方がないと答えた。 Q:A教諭は八つ当たり的に他の職員にぶつけていたとあるが、以前もそういうことがあったのか? A:それは、私はわからない。 Q:5月20日にA教諭はXくんに暴力を振るっている。そのあと、足を蹴られた。この間、校内巡視だけで、半年近くA教諭の行動は改まっていなかったということか? A:そういうことになるでしょうか。 Q:この件について、教委に学校から連絡が行ったのはいつか? A:校長が行っていると思うので、わからない。 Q:S教頭から教委に伝えなければとは思わなかったのか? A:私はなかったと思う。 Q:Yくんの保護者からの訴えはいつか? A:3学期に入って、1月末。保護者会の時にあった。 Q:A教諭の暴言暴行がXくんにあった時、他の子どもたちにも影響があったとは思わなかったのか? A:重複障がいの子どもが多いので、影響があるとは思わなかった。Xくんのみと思っていた。 Q:6月下旬に、B教諭がとった録音を聞いたとき、ここが叩かれている音と解説しながら説明があったと思うが? A:B教諭は叩かれたと言ったが、誰が叩かれたと説明はなかった。自分からも聞いていないと思う。 Q:B教諭が録音したのは、保護者から訴えられたら困るからということか?子どもが被害を受けているからという趣旨には受け取らなかったのか? A:そういう趣旨には受け取らなかったと思う。 Q:体罰が疑われる時には教委に報告しなければならないことは知っているか? A:知らない。 Q:6月に、A教諭の言葉づかいがひどいことは校長には報告したか? A:していない。 Q:録音のことは校長に報告したか? A:していない。 Q:事故報告書の6月14日のところで、「人に助けを借りることばかり考えやがって」というA教諭の暴言を報告書にあげなかった理由は?ICレコーダに入っているのに。 A:なんで、そういう判断をしたのかわからない。 裁判官からの補足質問。 Q:10月以降、A教諭に連絡をしても出てもらえなかったというのはなぜか? A:事実確認をするのに、私が話を進めていたからかなと思う。 Q:A教諭の病気の把握は? A:知らなかった。 Q:校内巡視は各教室、何分くらいか? A:3分から5分くらい。 Q:A教諭からB教諭の悪口を聞かされて、どう思ったか? A:2人はうまくいっているかと思っていたが、そうではなかったと思った。 Q:A教諭の悪口には根拠があると思ったか?B教諭がA教諭に悪感情を持っているように思ったか? A:私はそうは思わない。 Q:一連の事件について、今はどう思っているか? A:発端は5月20日。その時に自分が事実確認すべきだったと思う。 Q:事実確認の具体的な方法は? A:A教諭に連絡帳の件について、どうなんだと聞くべきだった。 Q:録音のパチンという音は聞こえなかったのか? A:パチンという音かどうかわからなかった。 Q:かなりはっきりした音だが、聞こえなかった原因は? A:ICレコーダーらついて、B教諭も捜査がわからなかったのでは。こんなに聞こえにくいものなのかと思った。12月にXさんから聞かされた時には、最初のとは全然ちがってはっきり聞こえた。 (15時5分前に終了) |
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15時から、校長の人証調べ。 埼玉県の代理人弁護士から主尋問。 Q:三郷特別支援学校の規模は? A:本校と分校があり、小学部、中学部、高等゛がある。知的障がいの児童生徒が230名。職員が130名。私は週のうち3〜4日は本校、何日かは分校にいる。 Q:A教諭の精神的病気の診断書は? A:それまで申請や相談は受けたことはない。 Q:平成23年5月20日のことについて。 A:S教頭からXくんの保護者から、XくんがA教諭からほっぺたをつねられたと連絡帳に記載があり、B主任から相談を受けたと聞いた。B教諭が、自分が連絡帳を見せたことがわかると困るということだったので、傷やあざがあったらすぐに管理職に伝えるよう、指示した。 Q:不適切な指導がないか事実確認をするように指示はしたか? A:事実確認のため校内巡視をするように言った。 Q:A教諭に確認は? A:年度当初だったので、チームティーチングするのに、教師間の関係がこわれると困ると思った。 Q:校内巡視はどのように? A:週3、4回、廊下側の窓から指導の様子を観察した。とくに変わった様子はなかった。 Q:7月にXくんのことで、S教頭から報告を受けたか? A:Xくんの保護者が、XくんがA教諭から叩かれたり、つねられたりしているようだと相談を受けたと聞いた。 Q:どのような指示をしたのか? A:教頭に支持して、BとCの2人の教員に事実確認するように言った。結果、X教諭は乱暴な言葉があり、Xくんの頬を両手ではさんで、叩いたといえば叩いたということだった。 Q:A教諭に事実確認した結果は? A:叩いたり、つねったりは絶対にしていない。ただ、こちらを向かせるためにほほを両手ではさんだ。たたいたと思われても仕方がないということだった。 Q:どのように指導したのか? A:誤解を与えた不適切な行為について、謝罪をするように言った。教頭を通じて、組の教員団に、不適切な指導があってはならない。3人で声をかけあうこと、何かあったら管理職に報告すること、6人の児童を平等に分け隔てなく指導を行うようにと言った。 Q:11月26日、Xくんの足にあざがあったことについて。 A:S教頭から報告を受けた。一緒にXくんの足を見た。右足にあざがあった。 Q:どこでついたのか確認したか? A:大変なことなので、事実確認をした。A教諭が出張中だったので、BとC教諭に話を聞くように言った。結果、10月には蹴ったとか見ていないのでわからないということだったが、9月12日頃、A教諭がXくんの足を蹴ったのを見たとB教諭から出た。 Q:それまでどうして知らせなかったかと思ったか? A:なぜ?とは思った。1カ月半前のことなのにと。 Q:C教諭は何と言ったか? A:蹴ったという言葉はどうかと思うが、足に当たったのは見た。 B教諭が蹴ったと証言したので、次の日、A教諭に確認した。A教諭は絶対に蹴っていないと言った。 Q:県教委に報告をしなかったのはなぜか? A:A教諭が強く否定した。蹴ったのか、当たったのか、よくわからなかった。校内で対応できると思った。 Q:Xさんに説明は? A:2人の教頭に説明と謝罪に行かせた。A教諭をXくんの担当から外した。 Q:11月24日、県教委から連絡があった? A:Xくんの父親から県教委に連絡があり、A教諭のことをもう一度調べてもらいたいということだった。すぐに県に行って、5月からのことについて、口頭で報告した。 Q:どのような指示をしたか? A:2人の教頭に、B教諭、C教諭に再度、2人はどう思っているか確認するように言った。 Q:A教諭には確認しなかったのか? A:この時、A教諭は病気で休んでいて、いない。 Q:10月、A教諭について、全職員にはどのように説明したのか? A:5月に保護者からA教諭から叩かれたと相談があり、事実確認をした。9月に蹴ったのではという相談があり、確認したが、A教諭は否定している。学校としては、このように小、中、高の教職員に説明した。 Q:12月の保護者会について。 A:例年、学校教育に関するアンケートをとっている。その中で、教員の指導に問題があるというのがあった。保護者な説明すべきだと思い、PTA会長に相談した。 Q:A教諭の録音について。 A:録音は、X父から保護者会の最後のほうで出てきた。録音があることをこの時に、初めて知った。 Q:聞いてどう思ったか? A:ICレコーダーというものは、耳に近づけて聞けばよく聞こえるかもしれないが、その場ではよく聞こえなかった。あ一部なのでわからない面があるが、言葉は明確には聞こえなかったが、乱暴な言葉がけだと思った。 Xさんがテープお越しのメモを出した。不適切な言葉がけ、乱暴な言葉だと思った。 Q:パチンという音は? A:わかった。頬を叩いた音と言っていたが、叩いた音かどうかわからない。保護者からいろいろ意見が出た。 Q:どんな意見が出たのか? A:A教諭が復帰したら説明してもらいたい、小学部の教職員に通知を出してもらいたい、学校内で体罰のようなものはなくしてもらいたい、子どもたちの心のケアをしてもらいたい、どうしてクラス担任を止められなかったのか、など。 Q:対応は? A:3日後に小低学年に通知を出した。今後、こうして行きたいということと謝罪の文を出した。また、子どもたちのケアのために、臨床心理士に来てもらった。臨時に、体罰についての講師を呼んで研修をした。6月に体罰防止のマニュアルをつくった。 Q:翌年の1月28日の保護者会で、Yくんの母親から、「うちの子も叩かれているのでは?」という訴えがあった? A:その時、初めて知った。12月19日、録音テープを聞いたとき、Xくんのことと思っていた。A教諭はYくんを気にして綿密に連絡していたので、まさかと思った。 Q:体罰防止の研修の内容は? A:他校の事例の記録を読んだり、臨床心理士の講演、指導して成果を期待し求めすぎると体罰になる。障がいの理解。 Q:ICレコーダーについて。 A:B教諭に録音ありますかと聞いたら、Xさんに渡したと言われたので、Xさんに借りた。すく゜に戻してもらいたいということだったので、1〜2日で返した。他の保護者がCDにコピーしてもらった。 Q:詳しく聞いてどう思ったか? A:教育の中で行われていることとして、不適切で乱暴な言葉。 Q:パチンという音は叩いた音か? A:音だけなのでわからない。 Q:叩いたなら? A:たいへん問題。A教諭が通院している病院で、40分程度、あった。主治医に病状を聞いて、A教諭に今まで起きたことについて詳しく話した。県の指導はあった。精神的ストレスということで、主治医のもとで聞いた。 Q:給食について。 A:B教諭がA教諭が爪を立てているように見えたと言った。給食室で栄養士や調理員、職員など7、8人から聞いた。3人が、偏食指導で、食べられないものがあって、泣いたこともあったと証言した。爪の後があったという証言はなかった。 Q:警察の捜査はあったか? A:あった。5月に頬を叩いたということは不起訴、9月に足を蹴ったということは起訴猶予と聞いている。 原告代理人から Q:平成23年5月20日に、保護者から子どもがつねられているのではないかと相談を受けてから、どうしたのか? A:校内巡回は4月からしているが、このクラスを重点的に見た。 Q:5月20日のことについて、Xさんに確認しなかったのか? A:しなかった。 Q:B教諭の言うことは信用できない? A:信用できる。A教諭のXくんに対する声かけがひどいと聞いていて、7月28日にXさんから、子どもがつねられたと相談があったと報告を受けている。 Q:B教諭、C教諭、Xくん以外の生徒の聞き取りは指導していないのか? A:していない。 Q:報告書にある事実確認の記録は残っているか? A:残っていない。 Q:頬をつねるのは体罰か? A:もし、つねっていたら、体罰にあたる。 Q:8月9日に、A教諭に事実確認するように指導しなかったのか? A:A教諭に聞いたところ、はっきり否定された。足があたったのか、蹴ったのか、はっきりしなかった。 Q:体罰を疑われる行為について、報告しろと言ったのに、今度も体罰の疑いを報告していない? A:当時はしていなかった。 Q:どうしてか? A:指導は受けている。なぜかはわからない。 Q:知的障がいがある子どもは訴えることができない。周囲の大人が守らなければならないのに、守るべき大人から体罰を受けたトラウマは深い。 11月22日、Xさんが教委に相談して、24日、教委から連絡があった? A:アンケートに、不適切な対応があったと書かれていた。 Q:アンケートは匿名か?用紙は? A:わからない。保存しなければならない決まりはないので。 Q:3年前、処分した? A:記憶はない。 Q:翌年の6月に報告書を出しているが、S教頭から報告があがってこなかった、現場から報告があがってこなかったと書いているが? A:あげるように指導していた。 Q:Yくんのことは? A:11月25日に県に行って報告した。Xくんの報告の直後。 Q:7月15日にS教頭から聞いたのは、A教諭の乱暴な言葉がけのみか? A:7月15日の保護者会のあと、Xさんが会いたいと言っていると報告を受けた。乱暴な言葉がけは、聞き取りのなかで出てきた。B教諭から訴えが出ている。 Q:言葉がけがひどいというだけか?どんな言葉がけか? A:はっきり覚えていない。具体的な言葉について聞いていないし、認識してはいたが、よく覚えていない。 Q:A教諭について、B教諭が子どもに強く当たられることになっては困ると言っていたことは聞いているか? A:聞いた記憶がある。A教諭は何か他の教員に対するいらだちがあって、子どもに当たっていたと思う。 5月20日の件は、3人の担当教諭のなかで、B教諭が主担任のA教諭をおそれ、「自分が言ったことがわかったら困る」というのが一番大きかった。 裁判官から Q:アンケートは毎年行っているのか? A:毎年、行っている。 Q:子どもたちの能力の差、どの子が訴えることができるかどうかは分かっているか? A:細かくはわかっていない。Xくんはある程度、話ができる。 Q:他の子は? A:証言することはあまりなかったと思う。 Q:B教諭とA教諭の関係は? A:2年前、組んでいた。問題があると思わなかったが、この件があってから、いろいろあったことがわかった。 Q:この件があったから悪くなった? A:この件があってから、いろいろなことを聞いて、2人の関係がよくなかったということがわかった。 Q:なぜ、よくなかったのか? A:10月にA教諭の事情聴取の際、B教諭のことが出てきた。A教諭はB教諭のことをよくないということを言っていた。 Q:2人の関係が悪くなった原因は? A:わからない。 被告代理人から補足質問 Q:B教諭はA教諭について、指導以外のことも言っていたか? A:A教諭は、教員として問題だから辞めさせてほしいと言っていた。 裁判長から Q:教育指導以外では? A:教育指導が問題だから。 (16時5分前に終了) |
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傍聴の感想 傍聴して理解したのは、B教諭がA教諭の言動を見るに見かねて、S教頭に相談したが、とりあってもらえず、証拠だてて問題を明らかにしようと授業録音の許可を求めたがそれも却下されて、止むにやまれず無許可で授業を録音したということ。 法廷で流されたICレコーダーの音は、スピーカーを使っていたので音割れしていたものの、きつい言い方は伝わってきた。一語、一語が心臓をえぐるような、強い怒気を含んだ口調だった。 バチンという音は、はっきりと2回聞こえた。パチンではなく、バチンという音だった。 なるほど、頬を殴ったかどうかはわからない。むしろ机をたたくがごとく強い音だった。それを障がいのある小学1年生の子どもに行ったこと自体、信じがたい。片頬なら、ふっとんだのではないかと思うほど、強く感じた。 他の体罰・虐待でも小学生に対してはビンタではなく、この両手の掌で頬を挟むようにして叩くということがあるが、小さい子どもの場合は、強く叩くと体ごとふっとんでしまうので、飛んで行かないように、両手ではさむように叩くのかと合点がいった。 直後に泣き声が入っており、子どもが被害にあったことは明らかだった。 録音について、教頭は違法だというが、この録音がなければ虐待を立証することは困難だっただろう。学校や教委が動くこともなかっただろう。 本来、プライバシーの問題があろとうなかろうと、子どもを守るためには手段を選ばないという考え方こそ、教育者のあるべき姿だろう。 自分の子どもがもし、教師から虐待されている可能性があるとしたら、同じように、学校の巡回だけで手をこまねいていただろうか。 そして、「人に助けを借りることばかり考えやがって」という暴言。障がいがなくとも、小学校低学年であれば当然、大人の助けを借りなければ生きていけない。まして、特別支援学校。教師が児童生徒を特別手厚く支援するための学校ではないのか。 この時期は自立以前に、親以外にも自分を助けてくれる大人いると信頼することで、家庭内から外へと世界を広げて行くステップとなる時期であり、場所だろう。 その信頼関係を教師自らうち砕いて、信頼の代わりに、子どもたちに恐怖を与えた。ここから、どのようにして、子どもたちの深い心の傷を癒し、大人への、社会への信頼を取り戻すことができるだろうか。 まさしく、この監獄実験を見るようだ。 監獄実験とは、1971年、アメリカのスタンフォード大学心理学部で、心理学者のフィリップ・バルド教授は「監獄実験」と称される実験を行った。新聞広告で集めた人々を「看取役」と「囚人役」に分け、模擬刑務所を演じさせた結果、看取役はどんどん残虐になり、その行為を楽しむようになり、囚人役は無気力になっていったという。2週間の予定ではじまった実験は、1週間程度で中止せざるを得ないほど残虐行為はエスカレートしていった。 世間一般の目が届きにくい、関心が薄い。子どもたちは自分の言葉で訴えることができない。親たちは大変な子どもの世話をお願いしているという負い目があり、また、子どもを人質に取られていて、親の言動が子どもにどのように跳ね返るかわからない、他の学校に通うなどの選択肢がないなかで、特別支援学校は極めて閉鎖された環境だ。 ひどい虐待をする看守が一人いて、まともな看守が所長をはじめ、管理職に訴えても、虐待者と同じ特権意識をもった人間たちには通じない。他の同僚たちも、子どもたちを気の毒だとは思っても、同僚との関係悪化や上司の思惑のほうを気にして、虐待の事実も、わざと過小評価してしまう。 閉鎖された場所ではどこでも、虐待は起こり得るものとして、防止に努めていかなければならない。 傍聴後、Xくんのお母さんと少しお話しすることができた。 子どもの寿命があまり長くはないであろうことは覚悟している。だからこそ、少しでもその人生を豊かにしてあげたくて、特別支援学校に入学させた。 しかし、そこで夜泣きするほどの辛い目にあわせてしまったことに、自分を責めているという。同時に、自分のストレスを最も弱い子どもにぶつけてきた教師に対する怒りも強い。 年齢的に、息子の身体的な状況はこれから大変な時期に入っていくだろう。しかし、支援学校での虐待について訴えること、次の被害を防止することが、この子が生きていた意味になるのではないか、というようなことを話された。 次回で結審。7月10日(金)13時30分から、さいたま地裁(浦和駅下車)105号法廷にて。 和解勧告などがなければ、結審の次が判決予定。 |
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