2009/12/7 | ソシオメトリック調査と発表を発端とするいじめ裁判の傍聴報告。原告家族の証言 (12/9追記) | |
2009年12月2日(火)、13時30分から、千葉地裁601号法廷で、千葉市を被告とするいじめ裁判(平成20年(ワ)第566)の本人尋問があった。 裁判長は三代川三千代氏、裁判官は片山昭人氏、宇野直紀氏。法廷には、背広にネクタイをしめた、市や教育委員会関係と思われる男性たちが何人も来ていた。 事件の発端は、平成17年4月。千葉市立の小学校の4年○組で、担任K教師が、ソシオメトリック調査を実施。同日出席していた生徒全員に、「好きな生徒」と「嫌いな生徒」を1人ずつ書かせた(原告のXくんはその日、欠席していた)。後日、その結果を児童らの多数決のもと、男女1名ずつのワースト1の児童の氏名をクラスで発表。それをきっかけに、いじめを受けるようになり、Xくんは転校せざるを得なかった。 ※「ソシオメトリック調査」とは、米国のモレノという精神医学者が提唱した理論に基づくもので、集団の中で各成員がどの成員を選択するか(好きか)、どの成員を排斥するか(嫌いか)を調査し、その相互関係をまとめるものであり、一般的に、選択者・排斥者ともに3名程度の名前をあげるもの。 この裁判では、Xさん一家4人(父、母、姉、本人)が原告になっている。宣誓は同時に行われた。 なお、この裁判の被告は学校であり、いじめていた子どもたちは訴訟の対象になっていないことから、登場する児童の名前は、原告であるXくんと姉以外は、法廷でもアルファベットで呼ばれた。 ※以下の内容は書き漏らしたり、不正確な部分もあることを承知のうえで、読んでいただきたい。 いくつか、間違っていた箇所を指摘いただいて、訂正。 同時に、当日、冷静に見えてもやはり法廷という特殊な場所で、あがっていたらしく、いくつか間違った回答をしてしまったということで、原告のほうから後日書面にて訂正予定。 |
||
X母の証人尋問。原告代理人弁護士、大石剛一郎氏から質問を開始。 Q:K教師の調査と公表をはじめて知ったのはいつか? A:平成17年5月9日、家庭訪問のとき、K先生から聞いた。 Q:本人から聞いたのは? A:次の日の10日。調査票を書いた経緯や公表に至った経緯を聞いた。 Q:このことで学校に電話したのか? A:5月11日に、Xが学校から帰ってきて、学校であったできごとを聞いた。内容から、いじめだと思ったので、学校に電話した。 担任が休みだったので、教務主任のS先生と話した。担任のK先生に時間をとってほしいとお願いしたが、運動会前の会議があるので、15日以降になると言われて、それでは間に合わないと思った。 Q:このことで、学校との話し合いは? A:15日に父親がK先生にあったが、言っていることの意味がわからず、S先生にあった。 6月1日は夫婦で学校に行った。K先生の調査が、X姉にも影響が出ていると話した。 Q:対応したのは? A:教頭とK先生。 教頭はその場で、「このたびは、申し訳ありませんでした」と謝罪した。しかし、K先生は「いじめが起きたことを全く信じたくない」と言った。私たちはXに起きたことを時系列にして書いたものをもっていったが、話をわかってもらえなかった。 教頭は、調査公表、いじめについて、その場では謝罪した。教頭は立ち上がって謝罪したが、K先生は謝罪しなかった。ソファに座ったままだった。 夫がK先生に、「謝る気持ちはおありですか?」と聞くと、K先生は「上からの指示ですから」と言った。 Q:そのとき、校長は同席しなかったのか? A:その日は校長会があるので同席できないと言われたが、その日が一番早く話ができると言われた。私たちは切羽詰っていたので、その日にした。 Q:校長からは謝罪はあったのか? A:6月3日に電話があり、7日の夜8時過ぎに校長が来た。校長は謝罪しているように見えたが、納得いかなかった、 Q:なぜ納得いかなかったのか? A:謝罪と同時に脅しをかけられた。 K先生の謝罪文も、誰にあてたものなのか、いつ書いたものか、わからない内容だった。謝罪しているように見えるが、納得がいかなかった。 校長は「なんてったってぬけ作だからさぁ」と笑いながらもってきた。誠意が見えないので、「預かっておきます」と言って預かった。私たちは、子どもたちに「ごめんなさい」という気持ちを伝えてほしいと伝えてきた。子どもの苦しさ、現状を理解していな文としかとれなかった。 Q:その後は? A:11月以降、何度もK先生から電話があった。謝罪というより、校長の悪口や教壇に復帰したいという内容だった。 Q:校長の言葉が納得いかなかったというのは? A:校長は「ごめんね〜」「ゆるして〜」「おねが〜い」。そればかり繰り返していた。すべてに対して悪かったから「ごめんね〜」では謝罪とは言えない。 Q:調査公表からXくん転校まで、両親は学校に抗議や要求は何度もしていたのか? A:ずっとしていた。Xへのいじめや嫌がらせについて、公表直後の5月からずっと、K先生や教頭、校長、のちの担任のS教務主任もX姉の担任、学年主任にも話した。 Q:具体的にどのようなことを話したのか? A:XへのいじめやX姉の状態など。 Xは、目の前にいて、今にもベランダから飛び降りてもおかしくないくらいの状態だった。 私たちは、いじめを止めて、Xが普通に学校生活を送れるようにしてほしいと何度もお願いしてきた。 Q:要望に対して、学校側はきちんと対応したか? A:K先生は逆に、Xにひどい扱いをした。S先生はXといじめリーダーを議題にして、クラスで話し合いをさせた。 4年生の7月から3月にかけて、いじめはどんどんひどくなり、Xの状態もひどくなった。 私も校長の脅しがあって、不安定になった。 Q:校長の脅しとは? A:6月7日に、「この話を他の人たちにもれることがあったら、子どもたちがどんな思いをすると思う?子どもが一番つらい思いをするんだよ。この4人でやっていこう」と言われた。 Q:Xくんへのいじめは具体的にどういうものがあったのか? A:「きもい」「消えろ」と言われたり、悪口の手紙を書かれた。 Q:学校の対応は? A:その時々によって、対応したこともあった。しかし、教務主任に「Xを対応していいのか、誰を対応していいのかわからない」と言われた。 Q:ほかにはどんないじめがあったのか? A:Bに、頭や顔、背中を蹴られたり、殴られた。「冬休みが終わって転校していなかったらボコす」と言われた。 Q:そのことは誰から聞いたのか? A:学年主任から、「こういうことがありました」と電話があった。 Q:対応はしてくれたのか? A:相手の子を正すのではなく、「あなたが相手にしなければいい」とXをたしなめた。私は、善悪をきちんと教えてほしかった。 Q:掃除のときの話は? A:Xが休んだ日、掃除のときに、Xを「好き」か、「嫌い」か手を上げることを児童の中でした。 Xを隣の教室にいさせている間に、S先生はクラスの全員をランチルームに移動させ、Xを一人にさせた。 話し合いのときもまず最初に、8人の児童からXに対する文句を言わせた。その後、Xが今までの気持ちを言った。 S先生はXに、「クラスがよくなるためには、こういうことを何度も繰り返さなければいけない」と言った。また、親子の絆を切るようなことを言った。 Q:親子の絆を切るようなこととは? A:S先生は「Xの気持ちはわかっていると言った。Xは「なら何故、とめてくれなかったの?」と思い、S先生に「先生は僕の気持ちをわかってくれていない」と言った。するとS先生は、「君のお母さんだって同じだよ。君の気持ちが全部わかっているわけではない。先生も同じだよ」と言ったという。 私たちは、毎日、今日を生きるのが必死だった。S先生の言葉に、心を叩き潰されたように感じた。 Xは、クラスメイトから「だからお前はきらわれるんだ」「それが嫌われる理由だ」と言われるようになった。 Q:それは、調査公表があった5月以降のことか?調査公表が影響していると思うか? A:2月に、K先生の調査と同じことをクラスメイトからされたとき、S先生がみんなに「K先生のことがあったから、こういうことをしたの?」と聞いたら、児童たちは「うん」と答えたという。もう一度聞きなおすと、やはり「うん」と答えたという。 Q:5年生になってクラス替えがあったと思うが? A:クラス替えのその後もいじめが続いた。転校せざるを得なかった。 Q:X姉についても同じようなことがあったのか? A:X姉も、悪口を言われたりした。 5月に、F担任が、ある男の子がX姉に嫌がらせをまだやっているか気にしてくれた。11月に手紙が回されたりして、深く傷ついた。 Q:卒業アルバムについて。 A:11月にK先生から執拗に電話があった。そのなかで、「そういえば、卒業アルバムのことで、何か連絡があった?」という話になった。X姉は学校に連絡を入れて、校長とK先生の顔を黒く塗りつぶしてほしいと言った。文集についても同様のこと話した。 私は母親として悲しかった。教育委員会に相談したところ、アドバイスを受け、X姉に「将来、子どもを持ったときに見せてあげられるようにしたい。シールを貼ったら?」と話した。 Q:X姉は、なぜ校長とK先生の顔を黒塗りにしたかったのか? A:K先生の調査公表がきっかけで、弟のXが生徒から挙手事件をされて、先生を許せない気持ちになっていたので、削除したものがほしいと言ったのだと思う。また、K先生からは、Xがクラブをしていて朝礼台近くにいたところ、少し離れたところからK先生が凝視していた。 校長については、弟のことについてきちんと対応してくれない。また、校長が「それはお母さんが言わせている」「思わせている」と言うのに対して、拒絶感を抱いていた。 Q:裁判で言いたいことは? A:裁判になって、学校は事実とは全く違うことを書いてきた。1年半、学校は隠ぺいばかりしてきた。そのままの状況が続いて、私たちはお願いして、協力してほしいといい続けてきた。S先生とK先生はでっちあげの作り話が載っている書類を提出してきた。住民だったら誰でも、100パーセントうそだとわかることを書いてきた。学校の先生にも真摯に裁判に臨んでほしいと思った。 今、ここに座っていることもつらい。小学校は心を一番、大切に育てていかなければいけない時期。 ここまできて、まだそのようなことをする人たちが、教師でいていいと思わない。 ******** ここから、被告代理人弁護士からの質問。 Q:公表後の5月12日に、Xからいじめのことを聞いたというが、誰に、どういうことをされたと言ったのか? A:話したのは5月11日。Hくんと昼休みに遊ぶ約束をしいた。そしたらGに「なんでお前がいる」と言われて、仲間はずれにされたと聞いた。また、給食の係をしているとき、Gと女の子の2人は、給食当番の仕事を、他の子にやめさせてまで、「Xにやらせればいい」と言った。Xは別の仕事をしているのに。そのうえ、「早くやんなよ」と言われた。 Q:なぜ、Gがそういうことを言っていたのか? A:Gは「いるだけでウザイ」「だから嫌われるんだ」「俺たちは先生からも言われているから」と言ったという。K先生が、公表のあと、「みんなが書いたり言ったことを、この2人がやったときは注意してあげてね」と言ったことを後ろだてにしているのだと思う。 Q:もともとGくんとの仲はどうだったのか? A:2年生のとき、同じクラスだった。仲がよいときも、悪いときもあった。それが、公表によって、いじめになった。 Q:いじめとはどういうことなのか?Gくんと仲が悪いということなのか?公表前とは違うのか? A:もともとXの同級生はやんちゃな子が多い。日替わりでやんちゃな子が入れ替わっていた。公表までは、いじめがあったとは思っていない。男の子だから、やったりやられたりはあると思っている。 Q:Xは学校でトラブルがあったとき、いつも親に話していたのか? A:いいことも、悪いことも話していた。それがうちのなかの約束ごとだから。 Q:Gがどうしてそんなことをしたか、Xから聞いたか? A:Xは言っていない。S先生から聞いた。Gを呼んで話をしてみたところ「Xが泣いたからと言って、それはXの勝手。オレはHくんと遊びたかっただけだ」と言った。彼にはそういう考えがあるのでと言った。 私としては、教師に善悪の判断を示してほしかった。 Q:先ほど、15日に父親がK先生に会ったが、意味がわからず、S先生に会ったと言ったが、意味がわからないとはどういうことか? A:K先生が調査の公表については、「子どもたちの声を代弁しただけ」と言って弁解した。また、「私は自分がしたことを後悔していない」と言った。 Q:そのとき、K先生にいじめの話はしたのか? A:しなかった。 Q:17日はS先生に、何について話したのか? A:調査して公表したことについて、どうしてそういうことに至ったのか説明してほしかった。 Q:X姉については? A:X姉が弟に起きたことはいじめだと判断しているということを伝えた。X姉は、母親とともに、Xが毎日されていることを聞いていた。 5月11日にS先生に電話したときに、調査公表があったことについて、「いじめにつながると危惧されているということですね」と確認されて、そうだと答えた。6月1日に、XとX姉が学校でされていることや状況を時系列の日記にして伝えた。 Q:公表から転校まで、学校に要求や抗議を何度もしたというが、何に対して抗議したのか? A:5年生の11月。Xが学校を休むようになってからW先生から、「クラスの子たちが、Xがずる休みをしていると言っている。子どもたちに説明をしなければならないが、どのように話したらいいか指示ください」という内容のFAXがきた。「私たちと先生とが話し合ったうえで伝えてほしい。勝手に言われたら人権侵害だ」と手紙を出したが、勝手に言ってしまった。 学校側は私たちがXを学校に行かせないようにしたように、言ったり、書いたりしている。 私たちは、学校の対応があまりにひどいので、Xを学校に行かせられなかった。 親としては事実を説明してほしかった。何がきっかけで、こういう状態にあるのかを話してほしかった。 Q:Xがいじめられていることを前提として話してほしかったのか? A:ただいじめられているということだけではなく、教師がきっけてということ。 Q:学校は、トラブルはあっても、いじめがあるとは考えていないと言っているのは聞いているか? A:そのような言い換えは聞いている。 B、Cがいじめを認めたそのときには、対応してくれると言ったが、またいじめが始まった。その繰り返し。一旦はいじめを認め、その後、「あれ以降はいじめではなく、トラブルです」と言われた。 Q:学校に「協力してくれ」と何度も頼んだというが、具体的にはどういうことか? A:私たちと同じ認識に立って、学校には対応してほしかった。いじめをXの精神状態を踏まえたうえで対応してほしいと何度もお願いした。 Q:どうやって対応するというのは難しいことなので、わかってほしいということではないのか? A:XのPTSDはいじめによって起きたわけではない。調査公表の最中に耳が聞こえなくなった。 Q:学校側は、調査結果の公表が子どもにとってよくなかったということは争っていない。謝り方はXさんの以降を聞きながら行った。いじめがあったことと、調査公表とは別問題と言っていたのでは? あなた方のXくんが一方的にいじめられているという前提には学校が立てなかったということではなかったのか? A:(無言) Q:X姉についても、先生は男子のいじめにきちんと対応していたのではないか? A:きちんと対応していたら、あんなにひどいことにはならなかった。 中2のとき、同じ学校の違うクラスで、女の子が、「X姉を知っている?精神科に通っている頭の気持ち悪い子だよ」と言われた。 Q:アルバムについて、K先生だけでなく、校長までなぜ載せてほしくなかったのか? A:校長という立場にいるのに、あまりにおかしい対応だった。 Q:校長はいじめや公表について謝罪していた、話し方が納得いかなかったとは思うが。何もしてくれなかったということか? A:謝罪というが、「これは預かっておきます」と私たちが言って、預かったままだ。 Q:誠意とは、具体的にどういうことか? A:脅しをかけたその日、校長は、学校と保護者は信頼で成り立っているとも言った。 私たちが望んだのは、Xの状態をふまえたうえで、ふつうに学校にいけるようにすること。それを形にすること。 Q:なぜ、X姉が校長を嫌うのかわからない。あなたの気持ちをX姉が知っているということだね? A:違う。X姉は何があったか知っているから。 Q:先ほどの先生方がでっちあげているというのは? A:団地のなかを私が十数回、奇声をあげながら走り回ったと陳述書に書いていた。 Q:その日、K先生とS先生が面談しにうかがったと書いているが? A:小学校がアスベストの工事で使えなかったので、べつの小学校の団地に近い階段のところでずっと話していた。6時頃から11時半頃、夫が迎えにくるまで。団地は変質者が多いので、警察官も巡回していた。大声を出して走っていたら通報されている。 Q:この日、お母さんが大きな声を出しながら、K先生とS先生から逃げ回っていたということは? A:一切ない。もしそんなことがあれば、団地のひとが気づかないはずがない。 Q:Xくんが、かんばしくないほうで1位だったということはショックだと思うが、それについて家族で話し合ったことは? A:悪いところは改めるべきだと思っている。しかし、「ワースト1になったのは、たまたまその日、Xが休んでいたから、標的で書かれただけだ」と他のお母さんから言われた。私もそう思っている。だから、ワースト1ということは気にしていない。一つひとつ悪いところを直すことを子どもには言っている。ワースト1だからという対応はしていない。 ******** 宇野裁判官から質問 Q:家庭訪問のとき、入学式のあとの件で、お母さんが厳しくXくんを怒ったとあるが、これはどういうことか? A:4月の入学式のときに、Xのクラスの男子数人が式中にふざけた。そのことで学校は反省文を提出させた。このことについて、「自分が入学式のとき、そんなことをされたらどう思う?」と言って、とても厳しくした。 三代川裁判長から質問 Q:X母の気持ちとして、調査結果を公表したことについて、K先生や他の先生に謝罪してほしかっのに、してもらっていないということはあるか? A:はい。 Q:公表をきっかけに、いじめが起きた。公表のダメージプラスいじめでますますダメージを受けたということか? A:Xだけでなく、家族みんながダメージを受けた。 Q:Xが母親に具体的に話したことは、学校にはいろいろと伝えていたのか? A:自分の子どもを信じないわけではないが、学校に必ず確認をとっていた。 Q:XやX姉がこういう気持ちでいるということは、学校に全部伝えたか? A:おおむね伝えた。 Q:そのうえで、こうしてほしいということは? A:ふつう、そういう話を聞いたら、学校は関係者に確認すると思うが、確認しないままに、Xが女の子の顔を殴ったといわれた。 Q:何もしてくれなかったというのは?きちんと調査してくれなかったということか? A:はい。 Q:公表の謝罪について。6月1日に会ったとき、K先生には悪かったという認識がなかったということだったが、それ以降、会って、直接Xくんに謝ってもらう機会をつくるという話はなかったのか?両親の要望は? A:会っての謝罪が難しいだろうと思い、手紙で伝えてほしいとお願いした。 |
||
続いて、X父の証人尋問。 原告代理人・大石弁護士から。 Q:平成17年6月1日、夫婦で教頭とKと話したとき、「教頭先生が約束された」という内容は具体的には? A:具体的には、 1. Xへの謝罪と方法 2. 反省をふまえたうえで、今後のXへの対応 3. クラス全体への対応 4. 娘への謝罪と対応 Q:謝罪とは? A:K先生の調査と公表、その後の対応についての両方。 Q:XとX姉への対応とは? A:XとX姉が傷ついた状況について、その日までにあったこと。担任、クラスメイト、ほかからされたことが、6月1日以降もそういうことのないように、それを書面にすることを求めた。 しかし、約束は守られず、書面ももらえなかった。一週間たらずで、学校長から「できない」と連絡があった。弁護士の同伴を希望するといわれた。その後、学校長と教頭が我が家に来た。抗議そのものはそのまま。 Q:被害について、具体的には? A:Xの状態は、ずっと吐き気を訴えるなど。時間がたつにつれて起き上がることも苦痛になってきた。 眠れているのかなと思った。寝返りをすごくうつ。 Q:生命の危険を感じたことは? A:ある。自分で自分を・・・。自殺ということもあるのかなと思った。 Q:他の家族の被害は? A:X姉は、背中とお腹の痛みを訴えた。X姉は自分を責めてしまう、そういう傾向がある。公表があってから、同じ家族が、いろんな情報がきこえてくる。しかし、姉が弟に対してやってあげられることが少ない自分を責めてしまう。 母親は日に日にやせて、カーテンをあけることができなくなった。 私も眠れなくなった。人がたくさんいるところにいるのが困難になった。通勤も、早く出るようにしたので、睡眠時間が短くなった。 Q:そういう状態について、他に考えられること、原因として思い当たることはないか? A:このことがあるまでは、まったくなかった。楽しい家庭だった。 Q:学校には情報を逐一伝えたのか? A:はい。 Q:学校について。先生たちの陳述書を読んでどう思ったか? A:校長や教頭と話したことが、他の先生に伝わっていなかったことがいっぱいあるのではないかと思った。 校長は、X母に何をしたか。6月1日、教頭とKがした約束を反古にしたことを知らないのではないかと思った。 ******** 被告代理人から反対尋問。 Q:朝は何時頃、出勤するのか? A:いろいろある前は家を出るのは9時15分だった。それが、1時間前に出なければならなくなった。 Q:夜の帰宅は? A:11時。 Q:その時間だと、当時は子どもは寝ている?話を直接聞くことはできないのではないか。 A:朝は毎朝、顔をあわせている。 Q:子どもの様子は妻から聞いていたのか? A:はい。 Q:XがいじめられたということもX母から聞いたのか? A:妻から聞いたこともあれば、本人から直接聞いたこともある。 Q:6月1日に、教頭が約束したことが5項目。これはすぐには実現できないこともあったのではないか?なのに反古にされたというのか? A:一週間で反古にされた。文書にできないと電話で言われた。 Q:全部文書で提出するという約束を反古にされた?文書に書くという約束を反古にされたというが、6月7日に、教育委員会に相談して、謝罪文をもってきたいということではなかったか。一度は反古にした約束を実行したのではないか? A:教頭が約束した5項目の内容と謝罪文とは違うので、そうは思わない。 Q:フラッシュバックが激しくとあるが、X母のことか?どういうことか? A:たとえば、「可能性」という言葉に反応する。Xの中学校の担任が女性で、多少Kに似ているために、フラッシュバックが起きる。テレビを見ていて、いじめ問題を報道していると、見入ってしまう。他の方はどうなんだろうという気持ちだと思う。心が動きすぎという行動が見受けられる。いじめだけでなく、学校職員に関する報道にも敏感に反応する。 Q:離任式の前の日のことがでってあげと言われるが、あなたが妻を迎えに11時過ぎにきたのは、誰からの連絡だったのか? A:S教務主任の連絡で、迎えに行った。 Q:どういう連絡で? A:面談をしていたが、その後、面談がうまくいかなかった。妻のあとを追っていると。 Q:どこか? A:コンビニの名前を言って、コンビニに迎えに行った。○○小学校から離れている。家から5、6分のところ。 Q:迎えに行ったのは、心配される状況があったからか? A:記憶のなかで、「迎えに来てほしい」という言葉はなかった気がする。 妻がなぜそこに行っていたか、内容を知っていたから。その時間までということであれば、私が行くほうがいいのではないかと思った。 Q:妻の状況はどうだったか? A:話し合いがうまくいかなかったことは理解できた。妻は丁度、自分の車に乗り込む直前だった。私は歩いて迎えに行っていた。(後日訂正予定:X母は歩いて行き、X父は車で迎えに行った) Q:妻は冷静だったのか? A:はい。どういう経緯で、このくらいまで時間がかかったと話した。 Q:K先生は父親がいきなり怒鳴ったと陳述書に書いているが? A:そういうことはない。 Q:裁判の陳述書は、何か下書きがあって、それを弁護士がパソコンで清書して出したのか? A:克明な日記と、妻と、私のメモがあった。 ******* 宇野裁判官から質問。 Q:平成17年6月6日に面談を申し込んで、当時、相談していた弁護士に伝えたのはいつの段階か? A:5月15日、K先生と面談した翌週。弁護士さんに、調査公表で傷ついているが、それはやっていいことなのかと聞いた。 Q:学校に申し入れてほしいということは依頼したのか? A:この段階ではしていない。 Q:それは、この裁判の弁護士とは別の弁護士か? A:別の弁護士。 ******* 原告代理人の相川裕弁護士から、補足質問。 Q:X母を迎えに行った場所は? A:○○小学校が工事中だったので、△△小学校で面談した。 この時点で3時35分。10分間の休憩をはさむ。 |
||
Xくんの証人尋問。原告代理人の相川裕弁護士から主尋問。 Q:陳述書で、補足したいことは? A:4ページの「ランドセルをとりあげられて」のところで、「D、E2人に取り上げられて、Dが走って逃げたり、2人が交代で、1人が殴ってきたりしてきたりで、どちらがランドセルをもっているかわからない状態で、その場にランドセルを投げ捨てられたものを拾って帰った。 Q:投げ捨てられたものを拾って帰ったということだね? A:はい。 Q:陳述書にいろいろな出来事について書いてもらっているが、4年生の2月のときについて。クラスでの公表から10ヶ月後、休んでいるとき、掃除の班のなかで、K先生と同じことをされたとあるが、このことはどうやって知ったのか? A:月曜日に出たとき、午前中の給食の前に、Hくんが仲間はずれにされていた。「どうしたの?」と聞いたら、金曜日に僕が休んでいたときに、掃除の班のなかで、僕のことを「好き」か、「嫌い」か手をあげさせた。Hくんだけ、「好き」に手をあげて、仲間はずれにされ、掃除の場所も一人にされてしまった。離されたとHくんから聞いた。 自分のせいで、Hくんがそうなってしまったと泣いていたら、S先生がきた。 Q:S先生は、そういうことがあったのかと、他のクラスメイトに確認したか? A:たぶん、その日、掃除の班の人たちに確認したと思う。 Q:誰に、どんなふうに確認しようとしたのか? A:他の男の子に、Hくんから話を聞いたと言って、どうなったかと聞いた。「先生に聞いてみな」と言って、自分からは言わなかった。そこで、S先生に聞きに行った。その日は、話を聞いてみるというような内容だった。 「先生に聞いてみな」といわれて、廊下を見回したが、先生はいなかった。泣いていたら、S先生がきて、隣の研修室に僕を連れて行ってくれた。給食を教室で食べるか、研修室で食べるかと聞かれたので、「教室には戻れない」と言った。そうすると、他の子に教室に行って、給食を持ってきてくれて、4人くらいで、研修室で一緒に食べると言ってくれた。 S先生は教室に戻った。 給食を食べ終わってもまだ落ち込んでいた。保健室に行くかどうか聞かれたが、断って、研修室にいた。 研修室から教室に戻ったら誰もいなかった。クラスメイトを探したが、教室にも、校庭にもいなくて、探していたら、偶然校長先生とあって、みんなを一緒に探しに行った。 そうしたら、ランチルームからS先生とみんなが出てきた。 S先生が、掃除の班の子たちと、掃除であったときのことについて話はじめた。 Q:それはどこで? A:掃除をする場所。校庭で話した。 Q:と゜んな話をしたのか? A:僕の悪いところ、直したほうがよいところをみんなに言わせた。僕は納得ができなくて、「僕も言っていいですか」と聞いて、言った。「こそこそ話や陰でひとのことを馬鹿にするのはやめてほしい」と言った。 S先生が、掃除班のみんなに、「そういうことをしたのは、K先生がやったからか?K先生がしたのを真似したのか?」と聞いた。 みんなに手を上げさせた2人が「そうだ」と認めた。もう一度、先生が聞いたら、同じ答えだった。 僕は泣いていて、そういう会話が続いた。 S先生は、「つらいのはわかるけれど、クラスがよくなっていくためには、こういうことを繰り返さなければいけない」と僕に言った。 そのときの掃除は、Hくんが一人だけ離れていたが、みんなでやることになったが、その場にいられなかったので、僕は一人だけ離れた場所で、掃除をやっていた。 S先生は、僕の気持ちが分かっていると言ってきたので、僕はそれにしては対処が納得できなかった。 「分かっているつもりでしょ」と言って泣き出した。 S先生は、「そんなことを言ったら、先生は君の気持ちを100パーセント分かっているわけではない。でも、それはお母さんも一緒でしょ。君の気持ちは君にしかわからない」と言われた。 Q:K先生と同じことを仲間にされて、友だちまでもが仲間はずれにされたことに対し、S先生の対応にどんなことを感じたか? A:Hくんが仲間はずれにされて、一つの班でK先生と同じことをされて、どうしたらいいかわからなくなって、先生に助けを求めた。解決策を求めたのに、先生から「よくなるためには、このようなことを繰り返さなければならない」と言われて、何でこうなっているんだろう、わけがわからないと思った。 Q:裁判を続けるのは大変だと思うけれど、一番言いたいことは? A:先生方にはもう少し、納得がいく対応をしてもらいたかったし、大人として、いいことと悪いことをよく考えて行動してほしかった。 ********* 被告代理人弁護士から、反対尋問。 Q:掃除班について。君を「好き」か「嫌い」かと手をあげさせて、Hくんが仲間はずれにされたのは、君のことを好きだと手を上げたからか? A:そうだ。 Q:なぜ、掃除のときにそのようなことを班の人たちがしたかわかるか? A:わからない。 Q:誰が手を上げさせたかわかるか?アルファベットでいうと? A:アルファベットのなかにはいない。 Q:その子とは、もともと仲が悪かったのか? A:一人は幼稚園から一緒だった。たまにけんかしたが、それ以外はちょくちょく遊んだ。 もう一人は転校してきて、クラス内でちょくちょくけんかをしている子。その子は他の子ともけんかをするが、そう多くないが、僕ともけんかをした。仲が悪いということはなかった。 Q:一緒に遊んだことは? A:ある。 Q:一緒に遊ぶということは、仲がいいのでは? A:けんかをしなければ一緒に遊ぶ。その子がいても、根にもつほどではないから、一緒に遊んだ。 Q:とくに仲が悪いわけでもない2人が言い出した? A:はい。 Q:Hくんが君のことを「好きだ」と言って、別のところを掃除しろと言ったのは誰か? A:アルファベットにない子が言った。8人中の2人。 Q:S先生が、君の悪いところを言わせたというのは、どういうことか? A:「自分勝手」「暴力を振るうのはやめろ」と言われた。 Q:納得できなかった? A:納得できない。一方的だし、言っていることが違う。 言ってくる子もちょくちょく他の子とけんかするし、暴力をふるっていたから、納得がいかなかった。 Q:それを誰かに言った? A:その掃除の班の人全員に言った。 Q:「こういうこと」とは? A:僕がいないところで。4月にK先生が調査をやったときも僕はいなかったし、「好き」「嫌い」とされることもそうだと思う。 Hくんは幼稚園から仲よくしていて、そういう人が仲間はずれにされることが・・・・。(涙で言葉がとぎれた) Q:調査公開前は、けんかする一定のメンバーは何人くらいだった? A:殴ったり、蹴ったり、口げんかもいれると、5人くらい。 Q:その中で、掃除のときに手をあげたのは? A:4人。 Q:よくけんかするなかで、誰が一番強いのか? A:誰が特別強いということはなかった。一方的ではなかった。ただ、けんかをしても、僕は自分から悪口を言うことはなかった。 Q:どういうことでけんかをしたのか? A:サッカーやドッヂボールをやっていて、ボールが顔に当ったのを「まぬけだった」と話しているのを本人が聞いていて、口げんかから、手が出るとかあった。 Q:このようなとき、君はいつもやられていた?勝っていた? A:勝ち負けというのはなかった。周りや先生が止めるので、勝ち負けがあるわけではない。 Q:先生が入って、どのような話し合いで終わるのか? A:先生は原因をつくったほうに、「そういうのは必要なかっただろう」「もう、しないように」と言った。 Q:罰を加えることは? A:なかった。仲直りさせる、そんな感じ。 Q:調査結果の発表の頃のけんかは? A:けんかの原因が明らかに変わってきた。ささいなことで、陰口を言われる。何もしていなくても、何かちょっとしたことで言われる。さっき言ったメンバーとのけんかは減った。自分のことで精一杯で、極端に減った。 Q:先生は君のことにかなりの時間を費やしたんじゃない? A:そういうわけじゃない。調査後は、他の子同士のけんかというより、僕はけんかからいじめだと思っていて、他の子と、BくんとGくんが僕の悪口を言って、「なんでそういうこと言うんだよ」というだけで、殴ってきたり、けんかしているとそこにGくんが入ってきたり。状況を見ていないのに入ってきて、やり返したときに、「だから、嫌われるんだ」と言われた。僕だけが標的にされた。 Q:何人くらいで? A:殴ってきたり、陰口をたたくのは、クラスとか、学年とかにはほとんどいて。直接的になぐってきたりは、今までそういうことはなかった人もいたから、何人と言えない。 Q:本当に全部が君に対してそういうことをしていたのか?君に対して悪口を言っているかどうか、どうしてわかるのか? A:こっちを指差してこそこそ喋っている時点で。こっちを見て笑っていて、わざわざひとの顔を見て笑う。 調査公表は学年中が知っていることだから。 Q:時にはやり返していた? A:ほとんどが見過ごしていたが、やり返したこともなくはなかった。 Q:どういう遊びをしていた? A:5、6年生がサッカーゴールを使っている場合は、ドッヂボールをしたり、アスレチック、鬼ごっこなどした。 Q:公表後も参加していた? A:ほとんど参加していなかった。したことはしたけれど、すると必ず、何かあったから。 気が向かなくても、誘われれば行った。行っても何かあるだろうなと思いながら。前より、参加する数は減った。 Q:K先生の陳述書では、君がIくんをからかったり、泣かせたのを何度も注意したとあるが? A:僕がとくにということになっているが、一番最初は他の子がやっていた。2、3週間後に聞いて、たまにそういうこともあったけれど、僕が一番というのは納得がいかない。先生がその場にいて、そういうことを注意することはあった。 Q:2月19日に、K先生に、X姉と一緒に電話したことについて。どういうことから、電話しようということになったのか? A:K先生が、離任式に出ると聞いて、出てほしくないということを言った。 Q:お母さんやお姉さんも同じ意見だったのか? A:姉は同じ意見で、母に言って、どうしようということになって。姉と僕のどっちが言い出したかはわからない。僕か姉が直接電話して、やめてもらうことにした。 母は最初は止めた。やったほうがいいとは言わなかった。父や母が言うより、直接僕たちが電話したほうが伝わるかなと思った。自分たちの気持ちなので。 Q:5年生のクラスは面白くなかった? A:いやなことはあるんだけど、学校は行かなければならないから。学校に行けば、朝、学校に行けばそれだけで、他の子を使って、「死ね」とか言う伝言をしてきたり、ほとんどそういうことばかりだったので、行きたくなかった。 Q:何かあったとき、先生に相談したことはあるか? A:ある。 Q:学期の終わりに、「前学期の学習をふり返って」というアンケートがあったのを覚えているか? (用紙を示す) ここに君の名前が書いてある。2枚目の4と5の「悩み」のとろで、「けんかをした」と書いてあり、「解決できたか?」のところには、「こちらから謝った」と書き、「解決した」にマルがついている。 A:これは、さっき言った子とは別の子のこと。 Q:いじめられていると、なぜ書かなかったのか? A:書き出したら、たぶん終わらないと思ったので。そのなかで、とくに気になっていたことを書いた。 Q:こういうときにこそ、悩みについて書いておけば、先生もわかると思うが? A:先生にもいじめのことは何度も言ってあるので、先生も分かっていると思って。書き出したら、終わらないと思ったから。 Q:ここに名前の書いてある子は仲がいい人ではないのか? A:仲がいいわけではない。「参考になった人の名前」とあるので、書いた。 ******* 宇野裁判官から質問 Q:「暴言や暴力が二人に向けられた」と書いてある2人とは、君のほかにはAさんのこと? A:はい。 Q:どういう内容か? A:僕の目の前で、Aさんの悪口を言っていた。また、廊下でAさんが突き飛ばされているのを見るようになった。 Q:公表前はなかった? A:全くなかった。 Q:「Xと少しでも話したりすると馬鹿にされた」とあるが、自分のことをXと書くの?他のところは僕と書いているが。 A:ここは、僕でもよかったが、名前のほうが わかりやすいかと思った。 片山裁判官から質問 Q:けんかをするメンバーはXくんを入れて6人ということだが、仲がよいメンバーはクラスに何人くらい? A:公表前に仲のよかったメンバーと同じなのは、2、3人。クラスはごちゃまぜで。 Q:クラスの中がいくつかのグループに分かれていたというが、クラスは30人くらいか? A:4、5人で集まってしゃべっていたり、その4、5人は日によってメンバーが変わった。 公表後はあまりそういうのがなくなって、みんな一緒になったというか、グループの数が減った。くっついたといったらいいのか、大きくまとまったというか、グループのいるメンバーが増えた。 三代川裁判長から質問 Q:4年生のときに、クラス替えは? A:覚えていない。 Q:進級したとき、とくに仲がよい友だちはクラスのなかで、何人くらいいたのか? A:自分のクラス以外とも交流が多かったので、クラスという意識がなかった。 Q:では、4年生の調査前に、仲のよい友だちは何人くらいいたか? A:いつも一緒にいたのは5、6人。 Q:公表のあとはどうなったか? A:3人くらいは、一人でいると一緒にいてくれたりしたが、他の3人は自分と3人がしゃべっているのを見て、その子たちがばかにされているのをみて、関わらなくなった。 Q:離れていった3人は、積極的にあなたの悪口を言ったりしたことはないか?公表前、けんかのときに言ったら互いに、「キモイ」「消えろ」とかいうのはあったんじゃないか? A:あった。 Q:公表後はどういうところが違ってきたのか?方向が全部君に向いてきた? A:そういうのがあれば、男子だと基本が僕で、女子は基本がAさんだった。「だからきらわれるんだ」と言われるようになった。 けんかするときに言っていたのが、学校に来ただけで、「死ね」とか言われるようになった。 Q:先ほど、一番言いたいことを聞かれて、大人として良いことと悪いことをよく考えて行動してほしかった」と言っていたが、これは調査結果の公表のことを言っているのか? A:調査をしただけで、何もなしに終わるということはないと思うので、今回は公表だったけれど。調査というか、もっと違うやり方があったのではないかと思う。調査で、「好きな子」「嫌いな子」を書かせたら、誰に書いたという話になるのはわかることなので。発表というか、クラス全員に知らしめること。先生に話しかけられるときの表情でも、どうなるかわかったと思うし。 先生から「結果を知りたいか」と聞かれたときに、「知りたいか」と聞くことがおかしいと思う。 Q:納得のいく対応というのは?公表前と公表後と違うのは?先生が両方から話を聞くのは同じ? A:はい。 Q:その後のやり方が違う? A:Hくんが仲間はずれのうえに、4月と同じことをされて、どうしたらいいかを聞きにいったのに、先生は正面から解決することをしない。いきなり殴られたときも、今までは最後までとことん話し合って、互いが納得して帰ったのが、公表後はあいまいなまま、話が終わって帰ってしまう。話が中途ハンバで終わらせて、僕としては途中でとちらかから聞くより、前みたいに両方から話をきくというほうが納得できた。 自分の目の前でだったら、自分も相手の言い分を聞いているわけだし。互いがまだわかったと思うけれど、いないところだと、相手の言い分が、表現が変わったりする。それだけだと・・・。 Q:先生の仲裁のやり方が変わった? A:少なくとも。 被告代理人弁護士から補足質問 Q:4年生のS先生のとき、5年生のW先生のとき、話がきちんとつくこともあったか? A:5年生になっても、あいまいに終わることがなくならなかった。4年生のとき、5年生のとき、何回かはあったが、解決がつかないことが多かった。 |
||
X姉の証人尋問。原告代理人の相川弁護士から、主尋問。 Q:Xくんのクラスでソシオメトリック調査の結果が発表されたことの影響は、あなたやあなたのクラスにあったか? A:あった。同じ学年の友だちで、Xと同じ学年に弟がいる子に悪口を言われたり、プリントをまわすときに、後ろのひとにすぐに「けがれた」と言われた。 Q:Xくんのことが原因で、自分にもそういうことが起きていると考えた? A:はい。 Q:Xくんの様子について。学校に行きたくないけれど、がんばって行っていたと感じていた? A:はい。 Q:アルバムの件で、K先生と校長先生の写真や文章を自分のアルバムから外してほしいと言ったのはなぜ? A:言ったことが信じられなかった。対応してくれないし。顔や書いたものを見たくなかった。 Q:他のひとの分もではなく、自分の受け取る分について、そうしてほしいということ? A:はい。 Q:K先生に電話をあなたもした? A:した。 Q:お母さんやお父さんからの指示があったのか? A:なかった。 Q:どういう理由で、電話したのか? A:K先生が離任式に出ると聞いて、他のお世話になった先生の離任式は出たかったけれど、そうすればK先生を見なければいけないので。 Q:体調が悪く、カウンセリングを受けたりしたのは、この件がきっかけ? A:はい。 Q:中学生になってからも、いやなことを言われたり、そういう事実があった? A:はい。 Q:卒業アルバムには、どう対応してほしかったのか? A:小学校時代のいい思い出がひとつもないので、校長、K先生を抜いたアルバムがほしいと思った。 Q:裁判で言いたいことは? A:K先生が調査と公表をしたことは、大人というより、人間として、する理由もわからない。 そのあとの先生の対応もおかしい。自分たちのしたことがわかったうえで、きちんとしてほしい。口では何とでも言える。納得のできる対応を先生方にも、わかってほしい。 ********* 被告代理人弁護士から、反対尋問 Q:Xくんの公表があってから、「○○」と言われるとあるが、それはクラス全員? A:ワースト1と発表されてから、何人かの男の子から言われた。 Q:F先生は注意してくれたんではないの? A:「まだ言われている?」と聞かれたが、まだ言われるし、言われなくなったと答えていない。言われなくなったということはないので。 Q:「Xよりもひどい子はいっぱいいるのに」というのは、どの子のことか。アルファベットの表のなかに誰かいるか? A:ひとに暴力を振るったり、言っている内容でひどい子はいる。Hくんは聞かなかったけれど、それ以外はみんな言っていた。 Q:Iくんの話を聞いたことがある?XくんがIくんをからかったり、いじめていた? A:Iくんはいろんな子からひどいことをされていたのをXから聞いていたし、校庭で見ていてもわかった。 みんなで、何人かでやっていて、Xが全くやっていないとは聞かないけれど、Xが一人でやっていたというのを見たことも、聞いたこともない。 Q:校長先生は特別、悪いことをしたわけではないでしょう?ひどいことって何? A:K先生の調査公表を知っていたはずなのに、止めなかったのはひどい。学校の先生のことを校長先生が知らないとは思わない。学年主任の先生が知っているということは、校長先生も知っていると思う。 Q:抜いたものがほしいと言ったのはなぜ? A:大人になってアルバムを子どもに見せたときに不自然。抜いてあったらおかしいから、あとではがしたりできるように、シールでもいいと、本当はいやだけれど、思っていた。でも、その後の先生の対応を聞いて、シールを貼っただけでは許せないので。 Q:自分で塗りつぶせばいいんじゃないの? A:自分で塗りつぶすときに、先生の顔を見るのもいや。 Q:離任式は、あなたが卒業してからだから、関係がないのでは? A:その年の離任する先生は関係していたので、友だちに行くのを誘われた。 Q:結局、K先生が来たけれど、行った? A:K先生は来ていない。 (後日訂正予定:実際は、Xくんと、X姉がK先生宅に電話して「来ないでほしい」と言ったにもかかわらず、K先生が出席したため、XくんとX姉は出席することができなかった) Q:中学卒業のとき、3人の担任から祝電が来ていて気持ち悪くなったと書いているけとれど、○○先生が結婚するときに、お祝いしているよね? A:公表があってから、先生すべてに対して、信頼、親愛がなくなった。しかし、結婚のお祝いは、それはそれ。 Q:4月に、クラブの顧問がK先生とわかったときにはいやになったというが、それは公表より前? A:クラブの顧問がK先生だとわかったのは、公表の前か、後か、覚えていない。 ******** 宇野裁判官から質問。 Q:同じく公表されたAさんについて、いじめられているのを見たことがあるか? A:Aさんに、友だちが暴力を振るっているのは見たことがない。しかし、言い方がきつい、言っている内容がきついと感じた。 Q:Xくんが傷ついていくのが辛かった。自分も悪口を言われるのが辛かったと思うけれど、どちらが傷ついた? A:どちらも辛かったけれど・・・(泣き出して声がつまる)。それがあるまでは、家族みんなでいろんなところに行ったり、みんなで楽しく過ごしていた。それが、見てすぐわかるくらい変わった。Xも、父も、母も変わった。家族みんながそうなったのが、一番つらかった。 終了したのは、5時40分。 次回は12月18日(水)、10時00分から、16時30分の予定で、千葉地裁601号法廷。教師の尋問が行われる。 |
||
ここから私見。 私が小学校のとき(たぶん3年生)にも、ソシオメトリック調査があった。私はその頃、転校してきて間がなかった。 好きなひとを3人、きらいなひとを3人書かされることに、とても抵抗を感じた。特にきらいな子、好きな子がいなくても、誰かの名前を書かなければならない。 結局、きらいな子には、いつも遅刻をしていて先生に叱られている子の名前を書いた。好きな子には、本当は好きではなかった、むしろきらいだったが、クラスでも力のある、どちらかといえばいじめの中心人物になるような女の子の名前を書いた。 調査があった帰り道、そのリーダー格の女の子が、誰の名前を書いたか、グループのみんなに聞いた。みんな「好きな子」にその子の名前を書いたと言い、きらいな子に、私が書いたのと同じ男の子の名前を書いたと言った。そのとき、ほっとしたのを覚えている。 先生は、調査のときに、「これは誰が書いたかわからないようにするから、安心して書くように」と言ったが、家庭訪問のとき、関係を図にしたものをもってきた。 この子は、遅刻や忘れ物をするから、みんなに嫌われている、この子はリーダーシップがあるからみんなに好かれていると、図を見ながら親子に話した。図を見ると、名前ではなく番号が書かれていたが、それは出席番号だったから、誰が誰を好きで、誰をきらいかは一目でわかった。嫌われているという子にはたくさんの矢印が集中していた。いやな思いが残った。 何年も前に、この調査のことが新聞に出ていて(本件とは別件)、子どもの心を傷つける人権侵害であると書かれていたのを見たときに、まだこんなことをやっていたのかと驚いた覚えがある。 心理学か何かの本には、これでクラス内の勢力関係がわかるが、いじめにつながるとの批判もあり、保護者の理解を得たうえで慎重に行わなければならないとあった。 いじめが学校内でこれだけ蔓延している今、ソシオメトリック調査をしたらどうなるか。 いじめ防止プログラムでは、他人の悪いところではなく、良いところに目を向けましょうと、「友だちの良いとこさがし」をやらせる。 これは逆に「悪いところさがし」を児童たちにさせている。そして、今まで意識していなかったものが、書くことで決定的になる。レッテル貼り、ラベリングが行われる。 NPO法人ジェントルハートプロジェクトでは、子どもたちに「理由があればいじめてもいいのでしょうか?」と問いかける。 K先生のやったことは、「理由があればいじめてもいい」と暗に示唆しているようなものだ。 そして、「ピグマリオン効果」。「あの子は将来、伸びますよ」と無作為に選出した子どもたちの名前を教師に告げると、対応が無意識のうちに変わり、本当に名指しされた子は伸びていたという実験結果。 その逆の効果が教師間であったのではないだろうか。「ワースト1」とラベリングされたことで、「トラブルメーカー」「この子が問題を起こしている」インプットされてしまった。いじめがあっても、公平な立場にたつどころか、いじめる側の理論に引きずられた。本来、いじめられている側に教師は立つべきだが。 そして何より、教師がいじめの原因をつくっていることから、正面きって子どもたちに注意ができなくなった。「だって、先生がやっていた」「先生がやれと言った」と言われれば、同僚を非難することは言いがたい。 改めて、K教師の調査目的を考える。 仮に、いじめられている子を発見することが目的だったとしたら、まだ許せる(きわめて危険な方法だが)。しかし、その後の公表などを見れば、そういう意図ではないことは明らかだ。 K教師は、「調査公表は児童の気持ちを代弁した」と言っているが、クラス運営がうまくいかず、その原因探しをしたのか。 あるいは、「先生の言うことをきかないと、こういう目にあうぞ」「みんなからつるしあげをくうぞ」という脅しに使ったのか。 少なくとも、いじめがあると、クラスはかえってまとまる。 2006年10月11日にいじめ自殺した福岡県筑前町の森啓祐くんの場合もそうだった。教師がいじめのリーダーシップをとることで、クラスをまとめやすくなる。Xくんと、Aさんはスケープゴート(いけにえ)にされた。 この裁判のなかでも、Xくんは、クラス内のグループの規模が大きくなったと言っている。孤立すれば、いじめのターゲットにされる。みんながいじめの被害になることを恐れていたのではないか。大勢のほうにつくことで、自分を守ろうとする。 なお、この調査では、調査の当日Xくんがたまたま休んでいたこともあって、ワースト1にされてしまった。しかし、Xくんでなければ、ほかの誰かがワースト1となり、Xくんと同じ目にあっていた。Xくんにトラブルの原因があったわけではなく、調査と公表、教師の言動によって、なるべくしてなった結果だった。そのことは、小学校の児童でさえ、予測可能なことだった。 学校全体の体質について。 この事件はおそらく氷山の一角で、学校内にいじめが蔓延していたと思われる。それに対して、教師たちは一致団結して、対応しようとはせず、個別に当るだけだったのだろう。情報の共有がなされていなかったことが伺える。 また、Iくんがいじめられていたことを被告側はXくんを責める材料として堂々と出してきているが、むしろ、「誰から見てもいじめられている」状態の児童がほかにもいると認識しながら、それを個人(Xくん)のせいにするだけで、学校として何ら有効な手立てを打ってこなかったことをここでも暴露している。 なお、この裁判において、学校側はXくんのアンケート調査を尋問の席でいきなり出してきた。 他のいじめ裁判でいつも壁になるのが「個人情報の保護」。裁判に提出することや、他のひとに見せることを児童生徒の了解を得ていないのに、勝手に見せるわけにはいかないという理屈。 しかし、学校側は、自分たちの手持ちの情報を本人の許可も得ず、勝手に出し入れできてしまう。そのことに全く疑問を抱いてさえいない。アンケート調査の内容を個人を特定したうえで裁判に使用するなどというのは、「目的外使用」に当ると思うが。 Xさん一家について。 一家の心の傷は深い。それぞれの証言は、涙を流しながら行われた。 一方で、とても絆の強い家族だというのが、法廷での様子からも見てとれた。 そして、子どもたちは、とてもしっかりしており、きちんと自分の意見が言える。法廷で、弁護士から、「こうではないの?」と聞かれたり、「AかBか」と聞かれたりすれば、大人でも、その質問の仕方に引きずられて、不本意な答えを言ってしまう。 しかし、姉も弟も、相手の言葉に引きずられることなく、きちんと、自分の考えを述べていた。(たとえば、「AかBか」と聞かれても、AでもBでもなく、○○だ」というように) はやくこの裁判に決着をつけて、ひとへの信頼感を取り戻してほしいと思う。 |
HOME | 検 索 | BACK | わたしの雑記帳・新 |
Copyright (C) 2009 S.TAKEDA All rights reserved.