2009/2/27 | 開智学園の杉原賢哉くん(中3・14)自殺事件控訴審判決(2/26) | |
2009年2月26日(木)、午後2時50分から東京高裁824号法廷で、開智学園の杉原賢哉くん(中3・14)自殺事件控訴審(平成20年(ネ)4294)判決があった。裁判官は房村精一氏、中野信也氏、窪木稔氏。 同じ時間帯に15件もの判決があったが、冒頭から2番目だった。「一審原告らと一審被告学校法人の本件各控訴をいずれも棄却する」 2008年7月18日のさいたま地裁の一審判決(me080718)で、学校側の調査報告義務違反のみ認めて、原告父に10万円、母に10万円、弁護士費用として2万円の計22万円を支払うよう、開智学園に命じた判決を踏襲。 判決文受け取り後に、弁護士事務所で説明を聞かせていただいた。 高裁判決は、多少文言を変えてはいるものの、一審判決と骨組み的にはほとんど変わらないという。抽象的な言葉で覆い隠された。 杉原さん側は、「欠席確認は、危険発生の具体的な予見の前提ともなるべきものであり、しかも、家庭に連絡して所在を確認するという極めて単純かつ容易な行為であり、このような義務を学校に課しても何ら過大な負担を負わせるものではないから、生徒が連絡なく欠席しているということ以上に何の情報もない段階でも、教師に対して法的義務としての欠席確認義務が課されるべきである」と主張したが、高裁は「賢哉の身に危険が発生することを具体的に予見することが可能であったとはいえないから、一審被告Mに欠席確認義務を認めることはできない」とした。 杉原さんは、危険性が予測できないからこそ、危険性を予測するために、欠席確認が必要なのにと言う。 そして、「危険性を具体的に予見できなかった」としながら、一方で「いじめの存在に思い巡らすことは可能であった」としている。 賢哉くんが亡くなった2006年7月4日当時すでに、いじめは隠されるものであること、自殺のつながる可能性があることは知られていた。 学校が調査しなかったことにわずか10万円。これでは、学校は自分たちにとって都合が悪いことがあれば、10万円の損害賠償を覚悟のうえで、調査しないほうが得になる。 調査して事実がわかり、死亡との因果関係が認められれば、安全配慮義務違反を問われて、何100万、数千万円の賠償金を支払わなければならないかもしれない。事実調査と報告がなければ、本来受けられるはずの謝罪も、賠償も、受けられない。わが子の死に対して、責任を負っている誰かがいたとしても、親は知ることはできない。 子どもを奪われた時点で親は被害者であると思う。被害者にとって、知る権利がいかに大切か、学校内の事件についても、よく考えてほしい。 親は、わが子に何があったか知るために、裁判よりほかに方法がなかった。その裁判でさえ、何も新たな事実を知ることとができないとしたら、子を亡くした親にどんな方法があるのだろう。文部科学省や法務省には、道筋を示してほしい。 盗難をした人間ではなく、それを目撃し、教師に告発した生徒のほうが死に追いつめられた。その間、何があったかはわからない。しかし賢哉くんはきっと、この世に正義はないと思ったことだろう。そして両親もまた、わが子と同じ思いをしている。 |
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