2009/1/23 | ヤマトグロジスティクス、自閉症男性自殺事件の民事裁判、控訴審 | |
2009年1月22日(木)、午後3時30分から、東京高裁822号法廷で、ヤマト運輸の関連会社・ヤマトロジスティクスで、職場のストレスにより自殺した自閉症と知的障がいをもつ男性(46)の遺族が起こしている民事裁判(平成20年(ネ)第5398、第5331)の、控訴審第1回目を傍聴した。 この民事裁判の一審判決は、2008年9月30日。東京地裁の奥田正昭裁判長は母親の訴えを棄却した。 母親は東京都の心身障害者雇用センターからの紹介で、障害者枠で入社したと主張したが、判決は会社側の言い分を採用し、「母親は会社に伝えておらず、上司や同僚は自閉症とは知らなかった」と認定。障害者枠で入社したかどうかについては触れなかった。 また、自殺の数週間前、男性は職場で作業中に首にひもをあてるしぐさをしたが、会社から家族に連絡は一切なかった。訴訟の過程でそのことを知った母親が自殺未遂だったと主張したが、具体的な日時や当時の状況を立証できず、判決は自殺とまではいえないとし、「自殺の予見は困難だった」とした。 (東京新聞2008年10月27日付け 参照) 控訴審の裁判長は大橋寛明氏。裁判官は辻次郎氏と石栗正子氏。原告代理人は、児玉勇二弁護士や杉浦ひとみ弁護士、関哉弁護士、高辻弁護士、山下弁護士ら。 第一回目の今回、裁判長から和解勧告があり、石栗裁判官のもとで、話し合うことになった。 平行して、自閉症に詳しい医師の意見書が提出される予定。 次回の公開法廷は、3月3日(火)、11時から東京高裁822号法廷にて。 ****** ヤマト運輸といえば、障がい者雇用の先進的な取り組みで著名なところ。その関連会社で、障がい者を一般雇用している。 不況のなか、雇用状況は厳しい。さらに障がいのあるひとにとっては、自立支援方により自己負担が増える一方で、障害者雇用促進法があっても達成されていないなど厳しい状況がずっと続いている。 そんななかで雇用している会社に、「そんな面倒なことなら、障がい者はもう雇わない」と言われることは本位ではない。 二度と不幸なことが起こらないように、責任を認め、謝罪をし、改善してほしい。それが原告の願いだと思う。 職場のいじめも、学校のいじめと同じく、家族には何があったか知らされず、裁判での立証が難しい。理不尽な目にあいながら、泣き寝入りせざるを得ないひとたちがどれくらいいるだろう。 そして、大人も、子どもも、障がいがあると、残念ながらいじめの対象になりやすい。これは、国の分ける教育のツケだと私は思っている。障がいがあると養護学校や特殊学級などに隔離され、別々に成長してきたから、ほとんどの人たちが障がい者と接する機会もないまま大人になる。わからないものには、恐怖感や嫌悪感を抱きやすい。まして、障がいによって様々な特性がある。もちろん、個人差もある。もし、当たり前のように一緒に育つ環境があれば、障がいはその人そのものではなく、あくまでその人の一部であることが自然と理解できるだろう。男女の違い、年齢差、その人の得手不得手があって当たり前のように、受け入れることができるようになると思う。 しかし、時代は逆をいっている。今まで障がいに入らなかったものまで、細かく分けていく。職業能力で人の価値を判断する。 健康であって、能力の高いものだけが安心して暮らせる。ただし、どんなひとでも、けがをしたり、病気をすれば、年をとれば、今までできていたことができなくなる。 最も弱い立場のひとたちが安心して生きられる社会は、誰もが安心して暮らせる安定した社会。その逆は、その時々はよくても、将来に対して常に不安を抱えた不安定な社会になるだろう。 日本は超高齢社会。生活保護、介護、医療。セーフティーネットがなしくずしになるなかで、今、みんなが不安を抱えている。 |
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