2007/6/30 | 千葉県浦安市立小学校養護学級でのわいせつ事件裁判の傍聴報告 | |
2007年6月27日(水)、千葉地裁405号法廷で午前11時00分より、千葉県浦安市立小学校養護学級でのわいせつ事件の民事裁判の第5回口頭弁論が行われた。長谷川誠裁判長・高橋彩裁判官・飯塚素直裁判官。 いつもながらに、傍聴人の多さに配慮して、裁判所の職員の方が待合室の長いすを法廷の傍聴席後ろに運びいれてくれた。 いくつかの書類のやりとりが法廷で行われた。その中で、被告K元教師の学習指導案のノートが原告側弁護士に回覧された。自分たちの手元の写し書類と対照する。結果、被告側が必要と判断した部分しかコピーされていなかったことが判明。その他の部分についても、当時の児童の人数や様子がわかるとして、原告側がコピーを請求。出されることになった。 よく、法廷で裁判官らが原本であるかどうかを確認する。改ざんがあったかどうかをみること以外に、原本を提出することの意味がこういうところにもあったのかと改めて気づかされた。 今回、原告側はK元教師に対する詳細な反論を提出した。それ以外にも何人かの陳述書が出された。 裁判長は、次回、浦安市書面への反論を原告側が出せば、主張はほぼ出揃うと考えてもよいかと聞き、双方とも同意した。 裁判のあと、いつものように、地裁の向かい側の弁護士会館の会議室で、弁護団による説明があった。 この民事裁判では、争点が多岐にわたっている。そのために、提出する書類も膨大なものになっているという。 刑事裁判と民事裁判との違いは、刑事裁判では、選ばれた(限られた)証拠しか出てこないという。しかも、被告側が「同意しません」と言えば、裁判所の目に触れないものもある。 刑事裁判では、日時と場所を特定したうえで、有罪がどうかが争われる。言い換えれば、日時と場所が核心部分になるという。 この事件では、被害女児に知的障がいがあるというハンディと特別支援教室という密室のなかで行われたため、数ある被害のなかでも、はっきりと日時内容が特定できる主に2回のわいせつ行為についてしか、検察は立件することはできなかった。 (それでさえ、証言の難しさなどから、多くの知的障がい者の被害事件が立件さえしてもらえない) そして、刑事裁判では、「疑わしきは被告人の利益に」と言われるように、確証がなければ有罪にならない。 刑事裁判では、裁判所は女児らが被害にあったことは「ほぼ疑いをさしはさむ余地はない」としながらも、日時については、複数回にわたる被害のなかで、他のときと混同して説明した可能性があるのではないかという判断を出し、有罪にまで持ち込むことはできなかった。 一方で、民事裁判は、いろんな証拠が出せる。原告側弁護団は、被害にあった時と場所を限定しない過去の判決を根拠に、時と場所はこの事件の核心部分ではなく周辺事情にしかすぎない。被害にあったかどうかが問題であるとの主張を書面でしているという。 また、学校におけるわいせつ被害の新聞記事を集め、学校のなかで性的虐待は起こりえること、また、経験者からの陳述書などを使って特殊学級の現状を浮き彫りにすることで、K元教師による行為は可能であったことを立証しようとしているという。 刑事事件で無罪になったことが、被告や市を強気にさせている。K元教師は冤罪を訴えている。市や県は何もなかったことにしようとしている。 学校側は女児に対するあらゆる情報をもってる。裁判になると、こちらが要求する情報については、個人情報の保護をたてに明らかにすることを拒む学校・教育委員会が、自分たちを弁護するためには、平気で被害者のプライバシー、周辺児童のプライバシーを出してくる。原告側が傷つくことも多い。個人情報保護のあり方に疑問を感じる。 そんな思いまでして、被害者側は戦わなくてはならない。それは、自分の子どもの名誉回復はもちろんのこと、このままでは、事件は繰り返されると確信するからだ。自分の子どもが受けた被害を、もうほかの子どもたちに繰り返してほしくないと思うからだ。 次回は、9月5日(水)、午前10時10分より、千葉地裁405号法廷にて。双方の主張が出揃えば、次には、人証調べ(証人尋問)が行われる。 報告会のあと、県庁前で支える会のひとたちと一緒にビラを配り、県教委に面談に行った。 何度、手紙やFAXを出してもなしのつぶてだったり、短い文書で拒否の内容を伝えられるだけで、誠意ある対応がみられないために、直接、出向くことになった。何人かの県教委職員の方が入れ替わりで対応した。 K元教師が自己都合による退職で、責任の所在や処分があいまいにされてしまうこと、再犯の可能性が放置されてしまうこと。性的犯罪の再犯率は高い。今回、浦安市は、他の市から転任してきたので、前の学校でのトラブルについては知らなかったとした。 では、一旦、自己都合でやめたK元教師がどこか別の市で再就職を希望したとき、また「知らなかった」と言って、子どもたちを任せてしまう。別の子どもたちが再び被害にあってしまう。 そして、同じことが起きたときに、今の学校のあり方では、被害者が泣き寝入りせざるを得ない。 それは、ほんとうに仕方がないことなのだろうか。誰がその責任をとるのだろうか。 被害者両親と支える会では、再発防止のための具体的な対策をしてほしいことを求めた。 今まで、これだけのことがありながら、県による被害女児や家族に対する聞き取りは一度も行われていない。(K元教師に対する聞き取り調査は50分程度行われている。結果、「本人が否定した」ことを理由に加害行為はなかったことにされてしまった。) 再発防止のためにも、もっと被害者の思いを聞いてほしいことを求めた。 いじめでも、教師の叱責による自殺でも、少年犯罪でも、性的虐待にしても、再発防止のためには、やはり、まずは被害者側にたつこと、思いを十分に聞いて理解することが第一歩だと思う。被害者やその親は誰よりも、なぜ、被害あったのか、どうすればあわずにすんだのかということを誰よりも真剣に考えている。被害にあったものしかわからない大切な情報をもっている。それを共有することは、次の被害を防ぐ大きな力になると思う。 |
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