2005年7月8日(金)10時30分から、横浜地裁503号法廷で、口頭弁論。
被告の県側から、医師の意見書が提出された。死因をインフルエンザ感染による急性脳症とは考えにくい。むしろ心筋炎の疑いがあるという。心筋炎であるなら、死因や救命の可能性、延命期間も変わってくるという。
対して、原告側は、元々インフルエンザ脳症であるなどとは主張していない。原告側は、学校・教師が、過呼吸と即断して放置していたことを問題にしているのであって、論点を意図的にずらしていると反論。
また、医師の意見書に「データがないのでわからない」とあるが、本来、あるべきものがないのは、学校が病院に朋宏くんを連れていかなかったから、データがない。「発熱がない」というのも、発熱していなかったのではなく、養護教諭がきちんと体温をはからなかったので、発熱していたかどうかのデータがないのだと主張。
被告側は、学校の過失があって損害が生じたという、主張が充分でないということを主張しているのだと言う。
救命の可能性があったかどうか、立証責任は原告にある。
主要事実、証拠を確保するためにも、鑑定の必要性があるという鑑定を提出した。
医師の意見では、死亡前に急性脳腫脹が進行していたのであれば、話ができるなど、あんな意識レベルのはずがないという。救命の可能性はない、たぶんないということだったという。
前回に引き続き、被告の県側は、裁判所にしかるべき鑑定をしてほしいと要望。「わたしたちとしても、事実が知りたい」と言った。
河邊義典裁裁判長は、被告が事実を知りたいという理由で、裁判所が鑑定をすることはできないと言った。
そして、組織検体だけで、心筋炎という判定がでるものなのか、どうかを被告側に問うた。
被告は、その点については即答できないということだった。
医学論争に持ち込みたい被告側。
一方で、インフルエンザ脳症であるにしても、ないにしても、急性脳腫脹というのはいろんな原因でなる。今だ医学で解明されているものではない。それを焦点にもって行こうとするのは、こちら側の主張する論点を明らかにずらそうと意図する卑劣なやり方であると主張。
裁判所は、それぞれの論点を次回までにまとめて、書面として提出するよう求めた。
双方の主張は、前回とさほど変わらない。しかし、目の前での口頭による論争は、なかなか迫力だった。
ただ、論争とはいえ、「どのみち助からなかった」と遺族の前で、何度も繰り返す被告弁護士。自分の子どもが、もし誰かにそう言われたらどう思うだろう。そして、「事実が知りたい」それこそが、遺族が学校側に求めて叶わず、そのためにこの裁判を起こしているのだ。安易に口にしてほしくないと思った。
次回は、9月16日(金)午前10時から、30分程度の予定。
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