神秘の森からのメッセージ
初めてこの本を手にとった時、「しぃ〜ん」と音をたてるように不思議な静寂が私の中に忍び込んで来ました。
その表紙。太陽がすべてを照らしているのに、まるで満月の野に立つような感覚を受けたのです。
静かに静かにページをめくっていくと、アマゾンの先住者たちの威厳に満ちた神秘的な光と闇、そして知恵が水の流れのようにゆっくりとこちらにあふれて来ました。
そして物語を読み進むうちに、今度は私が忘れていたみずみずしい世界が広がって来ました。絵のページからことばに向かってどぅどぅと注ぎ込んでいるものが見えて来たのです。
賢者たちが愛する人々に語り継いできたことが一反の布のように紡がれてあって、それが今いっぺんに私のものになったという心地の良さでした。
簡潔であり、しかもたっぷりとした文体。朗読をして音として気に入るまで推敲を続けたという訳者の姿をエピソードとして聞いています。澄み渡った彼女の声が、森の中に凛々と咲いています。すっと先に立ってその森の案内人となってくれた彼女に私は感謝しています。
目から、耳から太古よりのメッセージを受け、見たこともないはずの森の思い出に、じかに感覚として触ってみて下さい。
見たこともない鳥となって、その梢の連なりをゆっくり旅してみて下さい。
松本 乃里子
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