路上の子どもたちと出会うための旅
  メキシコのストリートチルドレン

インターネット ホームページ紹介
Casa Alianza
Covenant House Latin America



国際NGO「コベナントハウス」では、インターネット上にストリートチルドレン支援組織「カサ・アリアンサ」のホームページを開設しています。世界の人々に向けて、中米におけるストリートチルドレンの現状を知ってもらうための、貴重な情報や記事が掲載されています。

メキシコ、グアテマラ、ホンジュラスの各支部の紹介を初めとして、各国の子どもたちの概説、子どもたちの人権を守るための情報、薬物と子どもたち、エイズと子どもたちなど、とても充実した内容のホームページになっています。子どもに関してのニュースも掲載され、またつねに最新のものは更新されています。インターネットを利用する環境をお持ちの方は、ぜひアクセスしてみてください。

今回はこのホームページの一部を翻訳し、掲載させていただきます。

URL http://www.casa-alianza.org/



 彼は、彼が生きてきたグアテマラの悪意に満ちた都会での路上生活ではなく、その死によって多くの人々に知られることとなった。エルサルバドルにおける内戦の暴力から逃れ、幼い少年とその家族は、グアテマラ・シティに逃れてきた。平穏な生活を求めたが、彼が見つけたものは、暴力と死、そして諦めることだけだった。


 彼の名はナーマン、13才だった。ある夜、通りを歩いている時、彼をリンチしようとしていた4人の警官に見つかり、蹴り殺された。

 彼の罪? それは路上生活をしているガキ・・・家柄がない下等な人間、グアテマラの恥部を思い出させる厄介者、落伍者としての屈辱的な証、生贄、そして苦しみ続けるしかなかった者としての死。


 私たちが1990年3月14日にナーマンを埋葬したとき、彼の墓碑にはこう刻まれた。

「ぼくは子どもでいたかっただけなんだ。

 でもそれは許されなかった」

 私はもう何人もの子どもたちの死と出会ってきた。ナーマンはその最初の子だった。ナーマンの死はあまりにも心の傷みをともなうものだった。その傷みは消えることはない。私たちは1994年に13人もの子どもを埋葬しなければならなかった。傷みはその度ごとによみがえってくる。そして1995年1月、私たちの墓地でオスカー・レネに最後の安息を与えた時、心の傷みはほとんどどうしようもできないほどのものになっていた。

なぜ! ああ、なぜなのだ・・・??


 大切な想い出のナーマン。あなたを失ったことがとても寂しい。私たちの力不足や、つねに味合わなければならない挫折の中で、タオルを投げ入れ試合を放棄したくなった時でも、戦いつづける力を与えてくれるあなたを、ほんとうに頼りにしている。あなたの写真が、私の壁に飾ってある。あなたの親友フランシスコは、今でもあなたのために泣いている。助けを求める叫びと、無力だった自分を忘れられずに。

 あなたの精神は、私たちの心の中で生きている。小さな少年よ・・・


 6年が過ぎた。まばたきの瞬間(とき)、ひとつの呼吸(いき)、心の鼓動。時は過ぎていく。しかし、記憶は薄れはしない。ナーマン、私たちは、あなたをけっして忘れないだろう。あなたと出会い、そしてあなたを愛していた人たちは、心の奥深くあなたの想い出を持ちつづけるだろう。いっぽう『善良な市民』のためにといって神を演じた4人の「勇敢」な警官たち。彼らには、自分たちがしてしまったことへの悔恨の念が、絶対に消しさることのできない警告の品として伸し掛かってくるだろう。ちょうど3月の「Ides」*のように彼らに復讐するために戻ってくるだろう。必ず!


1995 Casa AlianzaーRegional Office


注 ( * ) ローマ暦で3月は15日をさす。その日シーザーが暗殺された故事から凶事の警告という意味を持つ



訳:小池 彰(プラッサメンバー)




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