声 永井 雄彦 目に見えない羽根を震わせ 泣いている、笑っている、 生命(いのち)があります。 その生命は障害者と呼ばれています。 枝の先に、 葉の陰に、果実の香りに、 よせるさざ波に、野生の足あとに、 雨上がりの虹のかなたに、 泣き声と笑い声は響き渡る―。 ほら、そこの小さな石ころにまで・・・。 ―きっと、この宇宙で大切なメッセージ。 「でも、なぜ同じ人間たちにその声は届かないのか」
ケントとマリイは別々の公立小学校に行きました。それから2人は同じ中学校に通い、今年の春に卒業しました。その“例のない9年間”を写真でつづってみました。 ケントとマリイは現在15才の日本の少年、少女。2人とも体重がわずか20kg。歩けず、自分で体を動かすことができない。首すらすわっていない。 目がほとんど見えず、言葉を理解することも、知能がどれほどあるかもわからない。少量の流動食を口にし、マリイの場合は自分で排泄ができない。2人は一日の大半を車椅子かベッドで眠っている状態でいる。 「ぼくたちのまわりには、 いつも同じ空気が流れていた」
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