「今どきの小学校にナトセンがいる」

〜子どもたちの文化交流〜

山田 新吾



 1995年11月24日、藤沢駅から歩いて15分のところにある小学校で、興味深いイベントがあるというので、さっそく取材にいってきました。そのイベントは、『アイヌ民族の歌と踊りの会』と称され、アイヌ民族の山本えい子さんたち7人が、はるばる北海道の阿寒湖畔から来てくれ、アイヌの歌と踊りを生徒たちに披露してくれました。この会の発案者は、アイヌ民族の人たちと個人的な付き合いのある名取さんでした。

 会場になっていた体育館に入ると、そこは、子どもたちの活気に溢れていました。子どもたち一人一人が、思い思いに、アイヌの歌や踊りやゲームを楽しんでいました。舞台をくいいるように見ている子もいれば、友達とのはなしに夢中になっている子、自分の席にじっとしていることができずにウロウロしている子など、様々な子がいました。子どもたちのその楽しそうな笑い声を聞き、その笑顔を見ているだけで、なんだか楽しく幸せな気持ちになってしまいました。

 会が佳境にはいると、アイヌ民族の人たちは舞台から降り、子どもたちと手と手を取り合って、アイヌの歌に合わせて、民族舞踊を披露してくれました。子どもたちに優しく丁寧に踊りを教えるアイヌの人たちを見て、胸を動かされずにはいられませんでした。その優しさが伝わってか、子どもたちはとても無邪気で楽しそうでした。アイヌという未知なる文化に接し、素直にそれに興味を持ち、積極的にそれを知ろうとする子どもたちの目は輝いていました。

 そして、会の最後には、アイヌの有名な民謡『ピリカピリカ』を、みんなで合唱しました。以下は、その『ピリカピリカ』の歌詞と日本語訳です。


 ピリカピリカ

 タントシリピリカ

 イナンクルピリカ

 ヌンケ クスネー

 ヌンケ クスネー


 素敵な素敵な

 今日は良い日だよ

 良い子がいるよ

 その子はだれよ

 その子はだれよ


 とても短い歌ですが、なんて素朴で暖かい歌なんだろうと感動してしまいました。子どもたちも、この歌を伸び伸びと大きな声で歌っていました。それはまさに、素敵な素敵な光景でした。




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