「子どもを喰う世界」のなかには、様々な国の子どもたちが登場します。子どもたちの一日の労働時間の長さと、彼らを取り巻く人たちの冷酷さ。それに加え、どう考えても低すぎる労働賃金。「厳しい」や「ひどい」という言葉では表わしきれない悲惨な労働環境です。子どもたちが心身共に傷つけられている状況が、目の前につきつけられてくるようで、心が痛みます。
このような子どもたちの状況を知って「かわいそう」と思う人がいるでしょう。あるいは、「どうしようもない」、「しかたがない」と思う人もいるでしょう。どちらも多くの人が感じる気持ちでしょうが、これらの言葉で片づけてしまうのでなく、著者のピーター・リーライト氏の述べているとおり、知ることを出発点にしなければと思います。
「子どもを喰う世界」という本は、わたしたちに出発点に立つきっかけをくれます。心にのしかかってくる子どもたちの重い現実をはねのけながら、“強いこころ”で読み終えたい一冊です。
大野 京子
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