ブラジル便り

冨田 洋平



サンパウロでの青少年の殺害について

 7月4日のフォーリャ誌によると、7月3日現在で、サンパウロ都市圏で今年になって29件の大量殺人事件があり、97人が死亡し、22人が負傷しています。このうち、13件が解明されて、18人が逮捕され、15人が逃亡中です。29件のうち、15件が麻薬がらみでした。被害者に若者が多く、幼児や赤子が巻き添えにあった場合もあります。犯人には、義士(本人はそう思っています)や軍警官も含まれています。1991年に起きた264件の青少年殺人事件の犠牲者の5割は定職を持っていて、18%が就学していました。また、4%は5才以下の子どもでした。犠牲者の多くは、黒人の15〜17才の少年で、家族と共に暮らしていて、就職または就学しており、もっとも貧しい地区に住んでいました。また犯人の26%が軍警官でした。

リオデジャネイロでの青少年の殺害について

 今年の5月にリオのファベーラで麻薬組織間の縄張争いと、鎮圧に入った軍警官によって、多数の子どもたちが殺されています。今年の1月〜3月で、271名の青少年が殺害されました。うち189名は、銃による殺害であり、犠牲者の54%が15〜17才でした。

子どもの労働について

 米国のある小売企業は、ブラジル市場進出にあたって、未成年者を雇用しないと発表。米国のある輸入業者は、靴の糊付けを未成年者が行っていることを理由に、ブラジルからの靴輸入を中止。ブラジルの靴メーカーは、コスト削減のため下請制を導入、下請けの零細企業の多くが、未成年者の労力に頼っている。(先進国日本を手本に、下請制が流行しています)

レシィフェのFEBEMで暴動

 レシィフェのFEBEM(州立未成年者収容施設)で子どもたちが暴動を起こし、施設内にあった銃器で鎮圧に向かった警官隊に発砲。強姦罪で収容されていた17才の少年が射殺された。

青少年殺害のデータについて

 犠牲者の真面目さについては微妙な問題だと思います。私がずっと付き合っている長屋の連中(大部分は18才を過ぎました)で麻薬と縁を切れないのは、カーラジオ窃盗から、現金ひったくり(被害者は老人)にエスカレートしています。一人は頭を銃で撃たれ、言語障害になりました。去年会ったとき、仲間の妹と一緒になって真面目そうだった子も、麻薬でFEBEMにいます。残された少女は1才になる子どもを養うため、1万円の月給で女中をしています。「真面目に荷担ぎでもしていれば、こんなことにならないのに。泥棒すれば一日5万円だからね。楽ばかりしようとしてろくでなしの旦那だよ」彼女の言い分です。彼女は旦那の家族と住んでいます。



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