世界子ども通信「プラッサ」学習会のお知らせ
アルゼンチン軍政下国家テロ
3万人の行方不明者と
25年目の転機
《米国による第三世界への介入》
1976年、アルゼンチンのクーデターにより成立した軍事政権によって、7年間に約3万人(一説には26万人ともいわれる)の一般市民が誘拐、拷問、殺害されました。この中には14人の日系人も含まれていますが、日本政府は放置しているままです。 これらの行為はチリ、ウルグアイ、アルゼンチン3国の軍事政権による共同作戦でした。連れ去られた人々の大半が14歳から26歳までの若者たち。彼らは収容所に拘置され、拷問を受けたのち、生きたまま海に投棄されるなどして殺害されました。 また拘留中の女性が出産した乳児や、両親とともに愉快された幼児は国内の軍人や海外に売り飛ばされました。息子と娘を奪われた母親たちは25年間、犯罪の訴追と子どもたちの生還を、家族の会である「五月広場の母たちの会」「五月広場の祖母たちの会」で訴え続けています。 しかし恩赦法により、軍政時代の犯罪が不問に付されていた中、チリのピノチェト元大統領の逮捕がきっかけで、人権に対する動きは大きく動き始め、軍政時代の責任者の逮捕、そして今年、恩赦法を違憲とする画期的な判決が出るなど“闇の中の歴史”は大きな転換点を迎えています。 何故このようなことが起きたのか、史上稀にみる国家テロによる人権侵害や、転換期を迎えた人権運動及びこれからの展望を、今年9月の米国へのテロ攻撃とそれへのアフガニスタン攻撃とが、実は同一地平にあるのではとのことを含め、お話いただきます。 |
◎日 時:11月18日(日) 午後2時より5時まで ◎場 所:笹塚区民会館 4階和室 渋谷区笹塚3-1-9 Tel:03-3377-1060 ◎交 通:京王線 笹塚駅下車 徒歩5分 (京王線新宿より一駅。特急、準特急は止まりません) バス (渋谷<―>中野駅・幡ヶ谷経由)笹塚中学前下車 (渋谷<―>阿佐ヶ谷駅・幡ヶ谷経由)笹塚下車 ◎参加費:500円 ◎講 師:井乃上 かおる さん (シンガー 大阪在住) ◎主 催:世界子ども通信「プラッサ」 アムネスティ国立グループ |
◎講師プロフィール 立命大学文学部史学科西洋史学専攻卒。 1988年ジャズ・ボーカルとしてデビュー。以後、 演奏活動のかたわら、ファシズムなどの問題をテーマ にした演劇をこれまでに12作品上演、ジャズの即興 演奏を演劇にクロスオーバーさせ、また映像的フラッ シュバックを舞台に試みるなど、斬新な手法が高い評 価をえる。1996年アルゼンチン・フォルクローレ と出会い、70年代南米での軍事政権の人権侵害の実 態を知り、1999年アルゼンチンに渡航、行方不明 者の母親たちに取材をおこなう。 現在、コンサート、FM、雑誌、報告会などで、この 事実の報告活動をおこなっている。 |
◎講師より 五年前にアルゼンチンのフォルクローレと出会い、アルゼンチンでは25年前に軍事政権下で、膨大な数の一般市民が行方不明になっていることを知りました。三年前に現地へ行き、生き残った方や、行方不明になっている方のお母さんから話を聞き、コンサートや報告会の機会のある度にこの事実を伝えています。 76年から7年間のあいだに行方不明になった人、およそ3万〜26万人。そのほとんどが14歳から26歳までの若者でした。当時、アルゼンチンは内戦状態にはなく、平時に突然一般市民に対しておこなわれた国家テロでした。子どもたちも誘拐され、収容所で生まれた乳児とともに国内外に売買されています。現在にいたるまで、これらの行方不明者の消息はわからないまま、誘拐、殺害をおこなったものに対する訴追も、恩赦法のためにできないままになっています。また行方不明者の中には14人の日系人も含まれていますが、日本政府の支援も受けられない状態で放置されています。 もはや25年前に出来事であり、アルゼンチンの内政に関することですから、私達が今実際に出来ることは非常に限られていますが、史上類をみないこの人権侵害を“消えない歴史”として私達の認識の中に記し、日本であまりにも知られていないこの事実を、一人でも多くの方に、特に子どもを持つお母さんたちに知っていただきたいと思っています。 またわが国が軍隊の是非を問われている今、国家暴力の実態を知っていただき、軍事力が国内に対して発動されることの危険性を問うていきたいと思っています。 人権団体に限らず、あらゆる市民団体に、また一般のお母さんたちのところに出むき、報告活動をおこなっています。 そして、子どもを持っておられるお母さん、おばあさんに署名をいただいてアルゼンチンの行方不明者の家族の会である「五月広場の母の会」「祖母の会」にお送りして。子どもを持つ母親たちの連帯が築けないかとも考えています。 井乃上 かおる
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