ビデオを通してムミア問題を考える 死刑囚監房から見た米国社会とメディア
6 月21日(月)午後7 時より 中野商工会館会議室
6 月の例会は、アメリカの冤罪死刑囚ムミア・アブ・ジャマール氏の支援を続けている、ジャーナリストの今井恭平氏を講師として行われました。参加者はいつもより多い38名。
まず、知らない人もいるだろうという事で、ムミア氏とは何者で、何が起きたのかの簡単な説明がありました。ごくごく簡単に書くなら、1981年黒人のジャーナリストであるムミア氏が白人の警官を殺害した容疑で逮捕され、無罪を主張しているにも関わらず、いい加減な裁判によって死刑判決を受けた、という事です。
その後、この日のために今井さんが作ったビデオを流しながら、話が進められました。その中で、ムミア氏が逮捕されたフィラデルフィアで今年 4月24日に行われた「ミリオンズ・フォー・ムミア」大行動のビデオが流されました。想像以上に大人数で、パフォーマンスも行われていて、支援運動の熱気みたいなものをさすがにビデオならではで、よく伝わってきます。
ここで興味深かったのは、民衆のメディア連絡会のメーリングリスト(pmn-ML)に例会当日に届いた電子メールが印刷され、例会参加者に配られた事でした。メールの発信者は下村健一氏。知っている人も多いと思いますが、この 3月までTBSのニューヨーク支局にいた方で、ブラウン管でも時々姿を見せていた方です。今回の大行動に今井さんと一緒に参加したそうです(下村さんは現在もニューヨーク在住)。 3万人もの人が参加したにも関わらず、当日テレビ・新聞での扱いがとても小さかった事にふれ、下村さんの経験を踏まえ、なぜマスコミ報道がそういう状態になるのかを分析した上で、「民衆のメディア」の可能性(後半はその落とし穴についてもふれていましたが)が書かれていました。
ここで話は飛びますが、今井さんは今年 5月にムミア氏と面会した時に、民衆のメディア連絡会の事も話したそうです。ムミア氏も民衆がメディアを積極的に作る事が社会を変えていく可能性があると語っていた、との事でした。その一つの例が、アメリカの自主メディアグループ「ピープルズ・ビデオ・ネットワーク」が96年に獄中のムミア氏にインタビューした映像にあるように私には思えました(ただし、現在はムミア氏への面会はかなり制限され、メモも許可されないそうです)。ビデオは所詮間接的なものですが、わずかでしたが彼の肉声・表情を見ることができた事は強い印象を残しました。日本ではまず考えられない事です。
今井さんの話のあと、例会参加者と活発な質疑応答が行われました。アメリカ社会の事、死刑制度の事、メディアの事など話が多岐にわたりました。最後に、今井さんからムミア氏の再審請求と今後の広範な支援運動について話があり、 6月例会は終わりました。
(ムミア問題についてはこちらのサイトをご覧下さい)
本田孝義 記