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総合エネルギー調査会省エネルギー基準部会事務局 御中
(通商産業省資源エネルギー庁省エネルギー対策課 御中)

98年11月13日

省エネルギー基準案に対する意見

団体名 市民フォーラム2001地球温暖化研究会
住所  〒110 東京都台東区東上野1-20-6丸幸ビル3F
電話  03-3834-2436
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■工場の省エネルギー基準案に対する意見

 工場と発電所などエネルギー転換施設は日本の二酸化炭素排出量の60%以上(直接排出分)を占め、その対策が急務となっている。しかるに、90年以降はIIP当たりのエネルギー原単位は悪化傾向にあることが伝えられており、対策の抜本的強化が求められている。
 省エネ法では従来より、工場に対する判断基準が定められていた。「工場におけるエネルギーの使用の合理化に関する事業者の判断の基準」(平成5年7月29日 通商産業省令第388号)には、事業者全てが遵守すべき「基準部分」と、同省令に掲げられた「エネルギー原単位の年平均1%以上低減」の実現のため、事業者の自主的な努力目標とすべき「目標部分」とがある。
 しかし、「基準部分」にはほとんど数値目標はない。「目標部分」には「エネルギー消費原単位を年平均1%以上低減させることを目標としてエネルギーの使用の合理化に努力するものとする」との規定があるが、通産省は「『1パーセント』の意味は、個々の工場または事業者に対して努力目標を設定することによって、事業者の自主的な省エネルギー努力を奨励するもの」であって「個々の事業者がこの数値を満足していないことをもって直ちに不利益処分が行われることはない」(省エネルギー対策課「省エネ法の逐条解釈」)と、自主的な努力目標であることを強調している。
 事業者の対策が進んでいないのは明確な数値目標や措置、レビューシステム等がないからである。今回の審議会提案にもこうした点は盛り込まれていない。
 そこで、この点を改善する提案を以下に行う。

(1)数値目標
 「エネルギー原単位の年平均1%以上低減」について、義務規定とすべきである。
 前項の規定が未達成となった事業所名、通産省に届出のあった「理由」をすみやかに公表すべきである。

(2)措置
 工業用ボイラーなど共通的に使われる機器については民生機器と同様、効率基準を制定すべきである。

(3)その他
 レビューシステムについては判断の基準自体には含まれないと考えられるが、以下のシステムを構築すべき
 ・未達成の理由の報告(事業者)
 ・未達成事業所とその理由の公表(通産省)
 ・次年度の目標達成の誓約と具体的行動計画の策定(事業者)
 ・不遵守の理由、次年度計画の妥当性の審査(NGOの参加する委員会で実施)
 ・四半期毎の進捗状況調査(事業者が委員会に報告)
 ・1年後の達成状況の審査
 ・2年連続未達成の場合の不利益処分




■自動車の省エネルギー基準案に対する意見

 自動車は日本の運輸部門の二酸化炭素排出量の約90%を占め、その対策が急務となっている。しかるに、90年以降、燃費は新車ベースでもストックベースでも悪化傾向にあることが伝えられており、対策の抜本的強化が求められている。
 省エネ法では従来より、自動車に対する判断基準が定められていた。にもかかわらず対策が進んでいないのは数値目標が甘すぎたり、大型の車に過度に甘い基準となっているためである。近年の自動車は大型化や多機能化が進み、単体としてのエネルギー消費量も増加している。大型化すれば燃費が悪化しても仕方がないという発想で基準を定める限り、単体対策は進まない。
 そこで、この点を改善する提案を以下に行う。

(1)数値目標
 ガソリン車の目標年次が2010年というのは遅すぎる。ディーゼル車と同様、2005年を目標年度とすべきである。
 また、現在のトップランナーを目標値にするだけでは今後の技術革新を無視することになり、技術革新の速度によっては護送船団方式と変わらなくなり、本来の意味のトップランナーとは言えない。

(2)カテゴリー
 車両重量毎にきめこまかく、かなり傾斜した目標値を採用しているが、普通車に極端に甘い基準を適用する理由はなく、小型化を誘導すべきである。最小値である702kg以下の車種の基準の2倍を超えない基準を定め、またカテゴリー毎の傾斜を緩くすべきである。
 
(3)適用除外
 まず、車両重量2.5トン以上のディーゼル車も新たに基準を設定すべきである。このままではディーゼル車は大半が引続き適用対象外になってしまう。
 直噴等エンジン搭載車はトップランナー技術と見做して基準を策定し、除外されているハイブリッド車は一定台数が導入されることを前提として目標値を制定すべきである。




■電子計算機、磁気ディスク装置の省エネルギー基準案に対する意見

 電子計算機、磁気ディスク装置は業務部門における電力急増の原因であり、また業務部門の省エネが進まない大きな理由が、民生機器の効率強化がなされてきていないことにある。電子計算機、磁気ディスク装置の効率の大幅強化はこの点で極めて重要であり、日進月歩であるこれらの技術開発から見て大幅な削減が十分可能だと思われる。
 今回の案ではこの点が十分でないと考えられるため、以下の通り意見を提出することとする。

(1)数値目標(共通)
 現在のトップランナーを目標値にするだけでは今後の技術革新を無視することになり、技術革新の速度によっては護送船団方式と変わらなくなり、本来の意味のトップランナーとは言えない。

(2)待機電力(共通)
 待機電力についても基準を設けるべきである。エネルギースタープログラムはこの規定を設けない理由にはならない。

(3)適用除外
 電子計算機は事務処理専用機、携帯情報端末についても基準を定めるべきである。また、旧型機種のうち平成17年の出荷台数がピーク時の10%以下のものを適用除外とすべきではない。
 磁気ディスクは記憶容量1GB以下のものについても基準を定めるべきである。また、旧型機種のうち平成17年の出荷台数がピーク時の10%以下のものを適用除外とすべきではない。
 磁気ディスクのうち、近く普及が想定されるタイプについて、いつ基準化にとりかかるか時期(何年何月、あるいは年間販売台数が5千台を超えた次年度、など)を明示すべきである。



■テレビジョン受信機、ビデオテープレコーダの省エネルギー基準案に対する意見

 テレビは家庭の電力の10〜15%を占める大型機械であり、その省エネ化が求められている。近年のテレビは大型化や多機能化が進み、単体としての電力消費量も増加している。機能が付加されれば電力消費が増えても仕方がないという発想で基準を定める限り、単体対策は進まない。家庭の省エネが進まない大きな理由が、民生機器の効率強化がなされてきていないことにある。テレビ、ビデオの効率の大幅強化はこの点で極めて重要である。
 今回の案ではこの点が十分でないと考えられるため、以下の通り意見を提出することとする。

(1)数値目標(共通)
 現在のトップランナーを目標値にするだけでは今後の技術革新を無視することになり、技術革新の速度によっては護送船団方式と変わらなくなり、本来の意味のトップランナーとは言えない。

(2)待機電力
 テレビについては、待機電力についても基準を設けるべきである。
 待機電力が消費電力の大半を占めるビデオについても、動作時電力の数値目標を策定すべきである。

(3)カテゴリー(テレビのみ)
 現在の基準はブラウン管の寸法に係数をかけた基準(付加機能に応じて一定数が加算される)が採用されているが、これでは機器が大型化すればそれだけ電力消費量が増加することを認めてしまう。
 将来的にはこうした大型機に甘い基準は廃止すべきであり、当面は増加率が低減する基準とすべきである。

(4)適用除外(テレビのみ)
 近く普及が想定される液晶タイプについて、いつ基準化にとりかかるか時期(何年何月、あるいは年間販売台数が5千台を超えた次年度、など)を明示すべきである。




■エアコンディショナーの省エネルギー基準案に対する意見

 エアコンは家庭の電力の20%を占める大型機械であり、その省エネ化が求められている。業務、家庭の省エネが進まない大きな理由が、民生機器の効率強化がなされてきていないことにある。エアコンの効率の大幅強化はこの点で極めて重要である。
 今回の案ではこの点が十分でないと考えられ、また今回提案の中でも適用除外機種が特に多いため、以下の通り意見を提出することとする。

(1)効率基準
 現在のトップランナーを目標値にするだけでは今後の技術革新を無視することになり、技術革新の速度によっては護送船団方式と変わらなくなり、本来の意味のトップランナーとは言えない。
 なお、冷房専用機の目標年度も冷暖房兼用機と同じ2004冷凍年度とすべきである。

(2)待機電力
 待機電力についても基準を設けるべきである。

(3)適用除外について
 カークーラーが除外されているのをはじめ適用除外が多すぎる。特に、販売台数ベースでほぼ適用機種全体に匹敵するカークーラーの基準を早急に整備すると共に、業務用大型機をはじめ、基準を整備すべきである。こうした機種を安易に適用除外するようで
は基準の意味をなさない。



■複写機の省エネルギー基準案に対する意見

 複写機は業務部門における電力急増の原因であり、また業務部門の省エネが進まない大きな理由が、民生機器の効率強化がなされてきていないことにある。複写機の効率の大幅強化はこの点で極めて重要である。
 今回の案ではこの点が十分でないと考えられ、また今回提案の中でも適用除外機種が特に多いため、以下の通り意見を提出することとする。

(1)数値目標
 現在のトップランナーを目標値にするだけでは今後の技術革新を無視することになり、技術革新の速度によっては護送船団方式と変わらなくなり、本来の意味のトップランナーとは言えない。

(2)待機電力
 待機電力についても基準を設けるべきである。

(3)適用除外機種
 複合機、カラー複写機について基準を定めるべきである。とりわけ、ファックスとの複合機は省スペースのために台数も急増し(中間取りまとめのデータでも既に2割を超えるシェア)標準機種になりつつあり、今後はさらに増加が予想される。このような大きな部分を占める機種を安易に適用除外にしては基準の意味をなさない。ファックスとの複合機は必ず入れるべきである。尚、ファックスそのものは対象機器でないが、このように大量かつ一般的に普及していて多くのエネルギーを消費している機器が対象でないことが非常におかしく極めて問題である。



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