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2001年9月10日発行162号ピースネットニュースより

【連載】反グローバリゼーションの運動のいま(6)

グローバリゼーションへの異議申立て行動
次は9〜10月ワシントン、IMF・世界銀行年次総会

環境と金融リサーチ 田 中 徹 二

●グローバル・ジャステス(地球規模での公正)を
 新自由主義的グローバリゼーションへの異議申立ての運動はますます勢いづいている。7月のジェノバ・サミットにはヨーロッパを中心に20万人以上がデモに参加した。これは、イタリア治安当局のヨーロッパでは近年にない過剰警備と暴力にもかかわらずで、もしそのような弾圧がなければ空前の人々が結集したと思われる。
 ベルギーのCADTM−COCAD(第3世界債務帳消しのための委員会)のエリック・トゥーサン氏は次のように述べている。「 現在G8、IMF、世界銀行、そしてWTOが直面している『正統性の危機』は、彼らがこの種の華やかな会合をあきらめざるをえないほどに深刻になっている。彼らは今後はもっと少人数で、できる限りデモ隊が近づけない場所で会議を開くだろう。WTOは今年11月にカタールのドーハで会議を開く。2002年のG8はカナディアン・ロッキーの人里離れた村で開催される。ワシントンで今年9月末から10月初めにかけて開かれる世界銀行とIMFの年次総会は、より大規模なデモに迎えられるだろう。そしてこれはこの種の会議の最後となるだろう」、と。
 その最後になるかもしれない世界銀行とIMF総会に対し、次ぎのような行動が準備されている。

《ATTACニュースレター91号より》
1.2001年9月30日、世銀・IMF会合に抗議する大規模草の根動員
 IMFと世界銀行は、2001年9月29−30日の日程でワシントンDCにおいて合同年次総会を開催する。世界中の活動家にその間ワシントンに結集して両機関並びにその職員に抗議し、その違法性をあばくよう呼びかけたい。彼らは引き続き世界経済の進路を決定する権利を主張しているのだ。この会議には、IMFと世銀の他にWTOそして25ヵ国から蔵相および中央銀行代表が参加するが、それは正にグローバル経済の役員会議である。
http://www.globalizethis.org/s30/

2.グローバル・ジャスティスに向けて行動を:グローバル・ジャスティス行動週間2001年9月26日−10月1日、ワシントンDC
 米労働組合は世界中の広範な活動家と共に、グローバル経済のルールと機構が労働者のためのものとなるよう主張したい。IMFと世銀が合同年次総会を開催するのを機に、大規模行進や集会など予定し
ている。11月のWTOカタール会合を目前にして、国際自由労働組合連合主催の国際団結行動にも加わる予定。更に、同じくワシントンDCで9月24日から25日まで、女性団体国家委員会が女性平等サミットを開催する。
 グローバル・ジャスティス運動は次の3つの要求を掲げている。
1)米国議会がファーストトラック貿易交渉権を大統領に与えることに反対する。
2)最貧国のIMFおよび世銀に対する債務の無条件の帳消しに賛同する。
3)米州自由貿易地域に反対する。
http://www.aflcio.org/globaleconomy/global_justice.htm

●ヨーロッパでは9月22日〜23日に「市民ヨーロッパ会議」開催
 これに先立つ9月22日〜23日には、ベルギーのリエージュでECの経済相・蔵相理事会(ECOFIN)が開催されるが、これに対抗して、市民ヨーロッパ会議(The Citizen's European Congress)が開催される。9月21日にはヨーロッパ労働組合連合が組織する大規模なデモが行われ、引き続き1.税金、2.公共サービス、3.国際貿易、4.南北問題のワークショップが開催される。
 今期のEU閣僚委員会議長国であるベルギーのギイ・フェルフォスタット首相は、ト−ビン税に関する議論を促進しようとして、同首相はこの提案を、今年9月22日に非公式のECOFIN(財務相)会議の議題としている。ヨーロッパの社会運動は、各国の経済相・蔵相に対して「金融市場での破壊的で不安定さを増長する通貨投機の量を減らす方法として、ト−ビン税を支持します。同税はまた、開発目的のための少なからぬ資源を確保することにもなるでしょう」旨の手紙作戦を提案している。

●ATTAC・J設立のための第2回相談会
 7月25日の第1回に続いて、8月31日に第2回目のATTAC・J設立のための相談会が開催されたが、第1回の42人を上回る48人が参加した。NGO、労働組合、野宿者・滞日外国人支援、研究者など多彩であったが、とくに今回は若者の参加が多かった。やはり先のジェノバサミットでの大規模な運動を眼のあたりに見て、魂が揺さぶられるものがあったのだろう。
 相談会は、まずアジア農民交流センター事務局長の大野和興さんから「日本農業をとりまくグローバリゼーションの新段階」と題しての問題提起が行われ、続いて自己紹介に移ったが、予想以上の参加で時間がとられてしまった。次ぎに、事務局から1.トービン税チーム;学習と研究、講演会などを準備、
2.ポルトアレグレチーム;関係資料の収集と宣伝、派遣団の組織と世界社会フォーラム参加、3.ニュースレターチーム;週刊「サウンド・イン・ザ・ホイール」の日本訳発行はもとより、日本での課題・闘の報告、という3つのプロジェクトチーム立ち上げの提案があった。
 参加者から、どんな運動を目指すべきかの討論をじっくり時間をかけて行いたいとの積極的提案があり、結局次回相談会を午後・夜間を通して話し合うということになった。
 アメリカで、そしてヨーロッパで、またアジアでも韓国、タイ、台湾で新自由主義的グローバリゼーションへの異議申立て運動が大きく盛上がっている。大量失業時代のとば口に立った日本でも、今や全世界の運動と連帯なしには生活が守れない時代に入りつつある。なぜなら、資本側はWTOやIMF・世界銀行などを通し、国際的規模での競争、民営化そしてリストラを強行しつつあるのだから。

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