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2004年11月10日発行199号ピースネットニュースより

〈相次ぐ大型台風・大地震被害、そしてブッシュ米大統領再選・イラク・ファルージャ総攻撃・香田さん殺害〉
大揺れの日本・世界で問われていること

ピースネット・市民平和基金 青山 正

台風・地震被害で明らかになったこと
 10月23日に起きた新潟中越地震は日を追うごとに被害の深刻さが明らかとなりました。最大10万人近くが避難し、いまだに3万人近い被災者が避難所やテント暮らしを余儀なくされています。余震もまだ続く中被災者は不自由な生活と復興の先行きに対する大きな不安の中で厳しい状態に置かれています。その中で地震後にショック死や疲労死する方が相次ぎました。阪神大震災の時に比べれば政府や行政の動きも比較的早く、しかも私たちも成立に関わった被災者生活再建支援法により、かろうじて上限300万円まで政府から支援されるようになったとは言え、それで決して十分なわけではありません。進まない生活基盤の復興に加え、間もなくやってくる豪雪による建物の2次被害や仮設住宅建設問題、破壊された地域の家屋と産業の復興の見通しの暗さなど、被災者が抱える問題は山積です。
 それは台風23号などの被害を受けた他県の被災者も同様です。予測不能な自然災害ではありますが、しかし風水害や地震が毎年起こるのは明らかであり、今回の中越地震でも活断層の集中する地域で起こったにもかかわらず、地震対策はほとんどないに等しかったことが、被害を拡大させたと言えるのではないでしょうか。上越新幹線もかろうじて人命の大被害は免れましたが、この地震国で直下型地震への対策がほとんど取られず、車両の軽量化と高速化が進められてきたことは重大な問題です。原子力発電所も同様です。地震の巣のすぐそばに原発がどんどん建てられてきたことは、まったく安全性を無視したまさに犯罪的な国策です。
 「テロ問題」があたかも安全保障の重大問題であるかのように政府は喧伝しています。しかし「テロ」は人間が起こすことでありその根本原因を解決すれば防ぐことは可能です。戦争もまったく同様です。しかし自然災害は防ぐことは極めて困難です。それでもその被害を減らす政策を取ることは十分可能です。そして被災した後の復興策を事前に立てておくこともできるはずです。災害後生き残った被災者が相次いで命を落とさざるをえないという悲劇は防げるはずです。ましてや阪神大震災で繰り返された生活再建の困難な被災者が次々と自殺に追い込まれたようなことが絶対に今後あってはならないと思います。それは政府・行政の責任です。

ブッシュ再選がもたらすもの
 11月3日に行われた米大統領選挙で僅差ながら共和党のブッシュ現大統領が再選されました。この選挙はコンピュータの意図的な操作や誤作動、そして投票できなかった多くの有権者の存在など幾多の不正疑惑が伝えられ、複雑で制限の多い選挙制度の問題もあり、どう見ても「公正で民主的」な選挙だったとは言えないと思います。国際的な選挙監視団は米国にこそ必要だったかもしれません。今回の選挙を通して明らかとなったのは米社会の内向きの保守化の進行と歪んだ民主主義の実態ではないでしょうか。ブッシュ再選により世界はさらに4年間米国の軍事力優先の力の政治のごり押しで混乱と破壊が続くのではないかと、危惧せざるをえません。その象徴がイラク・ファルージャで続く米軍と同盟軍による総攻撃です。武装勢力を一掃するという名目で始まったこの無謀な攻撃により、ファルージャの多くの市民の生命が奪われ、家々も破壊されました。これにより米軍が得るのはさらなるイラク市民の憎悪と反発だけだと思います。
 ブッシュ再選を選挙前から歓迎していた小泉首相は、このファルージャでの殺戮も肯定し、さらに12月で期限の切れる自衛隊派兵の延長も強行しようとしています。イラクでは10月31日に日本人の香田証生さんが武装勢力に拘束された上で、首を切断された状態で遺体で発見されましたが、これは何ら解決に向けて動こうとしなかった小泉首相の責任が大きいと思います。自国の市民の人命よりも米国ブッシュ政権への忠義を選択した小泉政権のあり方には、さすがに自民党の中からも批判の声が出始めています。これ以上の犠牲者を出さないためにも、イラクの人々のためにはまったく役に立たないサマワにこもるだけの自衛隊を撤退する時です。そして、米国に無謀で混乱と破壊しかもたらさない軍事政策を中止させる時です。米国では仮に支持されたということにしても、ブッシュ政権の政策は世界では認められないということを示して、やめさせていかないとこれからさらに大変なことが起こるかもしれません。世界の平和を願う市民と一緒にブッシュ政権とそれに追随する小泉政権の暴走をくいとめましょう。 

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